<昭和52年(行ケ)第197号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
毎回トピックが目まぐるしく変わり、統一感のないブログへようこそ。
(自分が)飽きないように工夫していると、こうなってしまうのです。提供する話題が豊富(?)ってことで、お許しを。
さて、今回取り上げるのは、「図形から自然的称呼が生じる」と判断された、ちょっとニッチ…かもしれない事件です。
問題となったのはこの図形です。
(一)の商標が原告の商標です。当時ナウでヤングな若者だった方なら「ハンテン」というブランドをご存知でないでしょうか?そのマークが(一)の商標です。
この訴訟の発端は、こうです。
原告が(一)の商標を特許庁に出願したところ、(ニ)の引用登録商標と類似するとして拒絶されたので、審判で争いました。審判では、本願商標(一)から「アシアト」という称呼が生じ、引用登録商標(ニ)からも「アシアト」という称呼が生じるので、両者は外観、観念の類否について判断するまでもなく、称呼を共通にする類似の商標だ、と判断されました。
この審判の判断を不服とした原告は、審決を取消すために訴訟を提起した、ということです。
これに対し、裁判所は、以下のように判断しました(かなり端折っています)。
『外観について
顕著な相違が存する。
称呼について
・証拠や弁論の全趣旨等からして、原告の(一)の商標は、「ハンテン」もしくは「ハンテンマーク」と称呼され、「アシアト」とは称呼されていないと認められる。
・証拠や弁論の全趣旨等からして、引用登録商標(ニ)は、権利者自ら「フットマーク」と称呼しており、取引者も同様に称呼していると認められる。
・原告の(一)の商標を「アシアト」と称呼しようとする場合も、商標の出所表示機能等を果たし得るよう適切に考量すると、商標の実体に即して(「アシアト」という広い称呼よりも)もっと限定的に称呼されるはずである。また、似たような図形の商標が他にも多数存在すること等からして、需要者・取引者は明確に各商標を識別していると認められる。よって、(一)の商標を単純に「アシアト」という称呼とするのは適当でなく、少なくとも「二つの人の足跡」の意味に限定し、例えば「リョウアシアト」「フタツアシアト」等と称呼されるとみるのが自然であろう。
・などなど…から、称呼上の類似性はないというべき。
⇒外観も称呼も類似しないし、称呼のところで述べた理由から観念上も類似しないといえるので、原告の(一)の商標と引用登録商標(ニ)は非類似。』
実際の取引の事情や、他の同じ様な図形が多数存在していたこと等を考慮して、大味に「アシアト」とは呼ばないだろう、ということですか。
図形から生じると考えられる称呼も、色んな事情によって判断が変わり得るという例でした。
本日はこの辺で。
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