クリスマスの識別力

 原告の登録商標は、指定役務「宿泊施設の提供」に商標「クリスマス」。
 このネーミング、冬以外どうしてるのでしょうか?と、いらん心配をしたくなります。
 (ちなみに原告は「チャペルクリスマス」という名称のラブホテルチェーンを行っているらしいですが、これは「チャペル系」というらしいです。)

 一方、被告は「OLIVE Christmas」なる標章を、ラブホテルのネーミングとして使っていたのでした。
 これは侵害と判断されたのでしょうか?というのが昨日の事件のあらましです。

 クリスマスの時期は、ホテル営業(宿泊、パーティ、イベント、食事等)に関して「Christmas」とか「クリスマス」という表示がよく使われますよね。「クリスマスプラン」とか「クリスマス宿泊プラン」とか。
 また、この時期にホテルの外観に「サンタクロース」とか「雪」とか「キャンドル」等の飾りつけを行うことは一般的です(ホテルに限らず、我が家の周りの住宅なんか、ピカピカしてます)。

 ということで、裁判所は、『ホテル営業に関して「Christmas」とか「クリスマス」という文字を含む結合標章が用いられている場合、「Christmas」とか「クリスマス」の文字部分は(特別な図案化が施されている場合を除いて)一般に識別力が弱い』と判断しました。
 だから、被告標章は、「Christmas」だけを分離して捉えることは相当でなく、全体として「オリーブクリスマス」の称呼を生じるか、「オリーブ」の称呼・観念を生じるかのどちらかである、と認定しました。

 つまり、原告商標の要部は「クリスマス」で、これと対比される被告標章の要部は「オリーブクリスマス」又は「オリーブ」。両者は称呼・外観・観念のいずれの点でも原告商標と異なり、類似しない!とのこと。

 結合標章として「Christmas」とか「クリスマス」という文字を含んでいると、これら文字部分は識別力が弱いのですか…。
 結合標章のうち「クリスマス」の文字部分が目立つように使われたとか、「クリスマス」ドンピシャで使われたとか、クリスマスの時期と全然関係なく使われていたとか等でないと権利行使しづらいようです。

 本日はこの辺で。
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