スキャンティーとリゼネレィティブ

<平成19年第10217号 審決取消請求事件>(判決文はこちら
<平成19年第10252号 審決取消請求事件>(判決文は
こちら

 年末は裁判所の判決が一気に出て、12月25日~28日の判決数はいつもに比べたら歴然の差がありました。

 今回は、争点が似た2つの判決を取り上げます。
 
 『商標権を取得しても、継続して3年以上日本で使用していないと、取消されてしまうこともある』という話をこれまでも何度か紹介致しました。
 ここでいう『使用』というのは、簡単にいうと『登録となった商標と殆ど同じものを、指定商品・指定役務について、商標として使用する』ということです。
 
 …ちょっと抽象的でしたか。
 例えば、「あいぎ」も「あいぎ特許事務所」も登録商標ですが、わたくしがこのブログの中で「あいぎ特許事務所は…」と書けば、ここでいう『使用』になるのか?というと、おそらくならないでしょう。
 (あ、でも他の場所でちゃんと『使用』してますから、取消し対象にはなりませんよ!念のため。)

 それでは、今回の事件では、どんな『使用』が問題となったのでしょう?
 
 第1の事件:登録商標「スキャンティー」(特殊な字体)、指定商品「下着、洋服」等。
 第2の事件:登録商標「REGENERATIVE/リゼネレィティブ」、指定商品「化粧品、香料類」等。

 まず、第1の事件ですが、若い方、「スキャンティー」って知ってます?…一定の年齢以上の男性なら知ってそう?
 最初は、昭和30年(!)に、ある下着デザイナーが設立した会社が「生地が薄くてタイトなパンティ」に付けたネーミングですが、「スキャンティー」の商標権者は下着デザイナー本人です。
 それ以後は、…知ってる方は知ってると思いますが、「薄くて小さいパンティ」を表す語として広く知られるようになりました。
 
  商標権者の設立会社は、女性用の生地が薄くてタイトなパンティのタグに「1955年、スキャンティとその家族は生まれました。」「ヒップ85-93、COL.A QUA.スキャンティ ポリエステル100%」等と表示して販売していました(ただし、ここ3年以上は販売していたかどうか怪しいので、“仮に”販売していたとしたら…として)。
  また、色んな書籍や新聞記事の中で「スキャンティー」のネーミングの成り立ちや、どんなパンティなのかの説明等が記載されていました。

  さて、こういった事実が『使用』に相当すれば、「スキャンティー」の登録は取消されませんが、どうなんでしょう?

 次に、第2の事件ですが、「REGENERATIVE」というのは、「再生させる、改造する」等の意味を有する英語の形容詞です。「generate」に接頭辞「re-」を付けて、語尾を形容詞ちっくに「ive」にした、といえばわかりやすいですか?
 化粧品に使う言葉としては、効能がありそうな感じですね。…ってことは、“指定商品の効能をそのまま表す”っぽい言葉なの?

 商標権者は、化粧品の容器に、「REGENERATIVE LOTION」「リゼネレィティブ ローション」とか、「REGENERATIVE ESSENNCE」「リゼネレィティブ エッセンス」とか、「REGENERATIVE MASSAGE&MASK」「リゼネレィティブ マッサージ&マスク」とか付けていました。

 さて、こういった事実が『使用』に相当すれば、「REGENERATIVE/リゼネレィティブ」の登録は取消されませんが、どうなんでしょう?

 …答えは、次回。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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コメント

  1. Unknown
    「スキャンティー」って知ってます?…一定の年齢以上の男性なら知ってそう?

    これって、私も含まれますね。
    知ってますが、登録商標とは存じませんでした。被服全般に使えるのですね。
    「スキャンダラスなパンティ」の意味と聞いてましたが、そうじゃなく、普通名称でもなくて、実は手続されていて、それが昭和30年とは驚きです。
    「生地が薄くてタイトなパンティ」の定義は分かりませんね??
    見比べたら理解に役立つかな。(何の)
    ポリエステル100%ということは、絹のような光沢も要素だったのでしょう。

    天むす、ひつまぶしと似たところありますね。

    そんな先の見通せる目が欲しい。

  2. Unknown
    デザイナーの鴨居羊子さんは、文筆・絵画等の才能もあったようで、60年代~70年代に日本のアヴァンギャルドの旗手として女性の社会進出等にも影響を与えていたとのことです。
    いわゆる“飛んでる女”だったんですね…

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