商標権侵害か否かわからんのも無理からぬ

 ドラゴンズ、ノリさんのおかげで勝てたけど、山本昌に勝ちはつきませんでしたね。ちょっと残念。
 
ドラブログを見たら、ドアラのしっぽストラップがあるとのこと。ちょっと欲しい…
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 さて、昨日の続きです。
 なお、事件の概要はこちらでおさらいを。
 
 今日の主題は、裁判所がどんな判断をしたか、です。

 まず、『B社は商標権に基づく差止請求権を有していない』か。
 
 B社が所有する登録商標では印刷物や雑誌等が指定商品とされています。
 でも、A社が「人と地球に貢献します」を表示していたのは、リサイクルボックスやリサイクルを呼びかける広告です。これでは、印刷物や雑誌等の識別や出所表示のために使っているとはいえません。
 なので、結論としては、『B社は商標権に基づく差止請求権を有していない』ということです。
 商標をかじったことのある方には簡単だったのではないでしょうか。

 また、A社の「人と地球に貢献します」も、全体の中で比較的小さく表示されている等の理由から、B社の商標と類似しない、とも判断されました。

 ○次に、B社の行為は不法行為であるか。

 これについては、裁判所は、B社の肩を持っています(表現が適切でない?)。

 『B社は商標権者なんだから、被疑侵害者に差止めを求める権利を有することは当然で、警告文書の送付自体は、少なくとも外形上は商標権に基づく権利行使というべきもので、直ちに不法行為を構成するということはできない。
 といっているのです。
 裁判を受ける権利(憲法32条)からすると、原則として正当な権利行使として適法だと。

 で、不法行為といえるのは、
 『提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限る(最高裁昭和60年(オ)第122号同昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁)』と。
 
 また、裁判提訴に至らない段階の主張であれば、
 『不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為(競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為)にわたるものでない限り,上記判断基準に即してその違法性の有無を判断すべきである』と。

 で、本件については、不法行為とはいえないと判断しました。

 その理由の中で、こんなことを述べています(おもしろい箇所の概要のみ)。
 
 『一般に,他人の表示が商標権侵害をするものとして差止めを求め得るか否かの判断は,~比較的高度な法律知識を要するものといえる。
 本件についてみると、原告A社の表示は「人と地球」の文 言を含むものであって,商標法に関する知識に乏しい通常人がその部分だけをみれば,~原告A社表示が被告B社の商標権を侵害するとみることも無理からぬところがあるというべきである。

 
 『商標権侵害警告を受けた原告A社も,~「原告A社の表示は被告B社の商標とは類似せず,指定商品も異なることから,原告表示は被告商標権を侵害していない」と,結論のみに等しいとも見える回答に終始しているところ,原告は,法律専門家である弁護士を代理人として被告との交渉に当たらせていたのであるから,商標権侵害の意味を誤解している疑いが強い被告に対し,原告表示が被告商標権を侵害するものではないことの具体的な根拠を本判決が上記に説示した程度に具体的に説明しておくことも可能であったと考えられる。そして,そのような対応をとっておれば,被告の応答も異なっていた可能性があったことも否定できないというべきである。

 などなどの理由により、B社の行為は不法行為を構成するということはできない、と結論付けました。

 裁判所、B社の事情を酌んでくれたんですね。

 この判決は教訓になります。
 相手方との交渉においては、きちんとした具体的な根拠を示して説明すべきだ、と。

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