デジャブ的な?

<平成20年(行ケ)第10285号審決取消請求事件>(判決文はこちら

 年末に出た判決をご紹介いたします。この判決を見た瞬間、デジャブ的だと思ったので取り上げます。
 
 ○事件の概要
 本願商標は「CIS」、指定商品「配線付きハードティスクドライブ用サスペンション」(補正後)です。
 この本願商標は、次の引用商標と類似するとして4条1項11号により拒絶審決が出されました。
 この引用商標の指定商品は「…,その他の電子応用機械器具及びその部品,…」です。
 
 ○さて、
 本願商標「CIS」と上記引用商標の類否に関していえば、これで争うのはわりかし大変そうですよね。
 となると、指定商品の類否で頑張ることになるでしょうか。
 しかし、本願商標の指定商品「配線付きハードティスクドライブ用サスペンション」は、引用商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれます。どうすんだ~??

 …ここで、デジャブ的な判例が…
 
 「SUMCO」の事件、覚えていらっしゃいますか?(よろしかったら、こちらこちらをご参考に)。
 「SUMCO」事件では、本願商標の指定商品「半導体ウエハ」と、引用商標の指定商品「電子応用機械器具」の類否が争いとなったのでありました。「半導体ウエハ」は「電子応用機械器具」と同じ類似群コードです。
 この事件では、半導体ウエハ業界の特殊性が考慮されて、
 『半導体ウエハと集積回路等の電子応用機械器具とについて、同一又は類似の商標が使用されたときに、半導体ウエハの需要者であるデバイスメーカー等において、それらの商品が同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれはないというほかはない
 と判断されたのでありました。
 いわゆる取引実情が結構重視されたわけです。

 そんな目で見てみると、今回の事件の原告(出願人)の気持ちがよく伝わってくるような(私にだけ?)。
 原告が主張した取引実情は、
 ・原告が指定商品に関する特許を有すること,
 ・引用商標の商標権者は,本願商標の指定商品を製造していないこと,
 ・原告は,本願商標に係る指定商品について,全世界で30.8%のシエアを占めており,そのうちの80%が本願商標を付したものであること
 などでございました。

 さて、この取引実情、裁判所のココロを動かしたのでしょうか?

 …については、また明日。
 明日も読んでくださる方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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コメント

  1. Unknown
    ひろたさま、今年もよろしくお願いいたします。

    本件判決、当方も冬休みの宿題ということで目を通してました。
    引用商標の登録が最近なので「その他の電子応用機械器具」が取り消せなかったのが痛かったですね。

    それから不思議なのですが審査官はなぜ3条1項3号なり6号を引かなかったんでしょうかね?
    最近表舞台には出てきませんが、「独立国家共同体」ってまだあるはずだと思うのですが、、、

  2. Unknown
    m-kenさん、あけおめです!本年もよろしくお願いいたします。

    本願商標の出願時点で引用商標が登録されていたようなので、なかなkチャレンジャーだなぁと感心したのですが…。

    確かに取消しは無理ですね。

    そして、なるほど、3条1項各号系ですか。“「独立国家共同体」で製造販売される商品と認識される得る”??

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