二つとも拒絶査定だったのに?

 昨日の続きです。
 
 第1事件の原告NW社と、被告W社(及びN社)との間には、なかなかややこしい問題があったようですね。
 でも本店は「商標亭」なのでその辺の問題は深追いせず、原告WN社の登録商標と被告N社の出願商標の経緯に触れてみます。

 まずおさらいです。

 原告NW社の登録商標はこちらでした。
 商標:快通バーブ粒(標準文字)、指定商品:第29類「ハーブを主成分とする粒状の加工食品」。

 被告N社は、上記原告WN者の登録商標が出願された一週間ほど前に、同じような商標を出願していました。こちらです。
 商標:快通ハーブ粒(標準文字)、指定商品:第29類「ハーブを主原料とする粒状の加工食品」。

 …ほとんど同じ…
 判決文を読む限りでは、被告N社は、原告NW社の商品名である「快通ハーブ粒」を勝手に出願したように見受けられます。
 そうはいっても、原則、出願は早いもの勝ちですので、両者の関係からいえば、被告N社の出願の方に分があったはずですよね。

 ただ…。
 被告N社の出願は4条1項11号で拒絶されました(拒絶査定確定)。つまり、被告N社の出願より前に同一/類似の引用登録商標があったわけです。
 じゃあ、当然ですが、原告NW社の出願も、その引用登録商標を引かれて拒絶、かつ、被告N社の出願を引かれて拒絶、ということになりますよね。
 
 ちなみに、問題の引用登録商標は「快通粒」です(登録第4221278号)。
 「ハーブ」があるか否かの違いで、しかも、指定商品が「ハーブを主成分とする…」「ハーブを主原料とする…」では、ちょっと厳しかったですか。

 じゃあ、なんで原告NW社の商標は登録になったの?

 実は、原告NW社は、不服審判を請求しています(不服2007-6702)。
 この審決を読んでみると、どうやら原告WN社は上記引用登録商標「快通粒」を譲り受けたようです。それで、出願人と権利者が同一ということになり、拒絶査定の理由が解消しました。
 ※経過情報を見てみると、審決が出た後に、引用登録商標についてさらに移転登録が行われたようです(現在の権利者はもとの出願人と同じなようですので、いわゆる○サ○ン○ックしたのかも)。

 といった経緯で、原告NW社の商標の方は登録になったのでした。

 そして、今回の判決的には、被告W社とN社の行為は、原告NW社の商標権侵害となったのでした。

 まあ…上の経緯を知ったところで、今回の判決にはあまり関係がないですが…。
 何となく興味をそそられたので調べたのでありました。

 ということで、本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
  ↓↓↓
 

関連記事:駒沢公園行政書士事務所日記
(この事件のモトになった契約についてコメントされています)
-------------
この記事をご覧になって、商標に興味を持たれた方は…
  本店「商標登録出願サイト」にも是非お立ち寄り下さい。
   ★商標の基礎的・一般的な知識などをご紹介しています。 
   ★その他にも、商標のお役立ち情報をご紹介しています。一例をご紹介いたします。
  ・新規事業・フランチャイズ化をお考えの方は「ネーミングと社名の商標登録出願」へ。
  ・ネット上でネーミングなどを使用するときは「ますます高まる商標登録の重要性!
  ・商標に関して実際にどんなトラブルがあるかは「商標にまつわるトラブル事例集」へ。
   ・「商標登録FAQ」では商標に関してよくあるご質問をQ&A形式でご紹介しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました