ピポピポ♪

<平成21年(行ケ)第10052号審決取消請求事件>(判決文はこちら

 森永のお菓子といえば、チョコボール。コンビニにふら~と入ると、覚えこなしに(=知らないうちに)キョロちゃんが手の中に…。い、いつの間に?と驚きつつも、抗うこともできずそのままレジへ誘導され、気づいたときには、口の中がsweetに…。といった、怪談じみたハナシがよくあります(私にだけ?)。
 
 そして森永製菓といえば「天使」ピポピポ♪でございます。本日は、「天使」絡みの商標の事件です。

 ○事件の概要
 原告は森永製菓さんで、「エンゼルスィーツ/Angel Sweets」の二段商標を登録しておりました。指定商品は「菓子及びパン」です。
 被告は「天使のスィーツ」という商標を登録しておりました。指定商品は「菓子及びパン」です。

 原告は、被告の有する登録商標(本件商標)に対し、原告の有する上記商標を引用して、4条1項11号を理由とする無効審判を請求しました。
 これに対し、特許庁は、請求を認めない審決を出しました。
 よって、原告は、この審決を不服として、今回の訴訟を提起いたしました。

 ○審決
 審判での争点はもっぱら両商標が類似か否か、でありました。
 
 よ~く考えてみると(よく考えてみなくても?)「エンゼルスィーツ/Angel Sweets」の「エンゼル」「Angel」は所有格でないやん?(=「天使“の”」になるん?)と思ったりもしますが、この点、原告は、審判の審理において、「Angel Wing(天使の羽)」「Spring Song(春の歌)」「Apple Tree(リンゴの木)」などの翻訳例を挙げつつ、『日本人の一般的な理解として、格助詞の「の」を補って翻訳することは多く、その点からも、全く同一の観念と言わざるを得ないものである。』と主張しております。
 
 ただし、審決では、
 
・外観:本件商標は漢字、平仮名及び片仮名を横一連VS.引用商標は片仮名及び欧文字を二段→著しく相違、
 ・称呼:本件商標は横一連なので「テンシノスィーツ」の称呼のみを生じるVS.引用商標は上段が下段の称呼を特定したものと認められるので「エンゼルスィーツ」の称呼のみを生じる→称呼上互いに相紛れるおそれはない、
 ・観念:本件商標「天使のスィーツ」の文字自体は全体として特定の観念を生じない造語VS.引用商標「エンゼルスィーツ」「Angel Sweets」の文字自体は、辞書等に掲載されている語ではなく、特に親しまれた語でもないことから、引用商標は、全体として特定の観念を生じない造語とみるのが相当→観念においては比較することはできない、
 以上より、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても同一又は類似のものということはできない。
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 取引の実情についても、提出された証拠及び職権において調査するに、両商標が、商品「菓子及びパン」の出所に誤認混同をきたすおそれがあるものとする特段の事情が存在するとは認められない。
 という理由で、結果的に両商標は非類似と判断されたのでした。

 さて、それでは、審決取消訴訟ではどのように判断されたのでしょうか?
 続きは次回。次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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