アナタのお気に♪「寒梅」

<平成10年(ネ)第3070号商標権侵害差止等請求控訴事件>(判決文はこちら
<平成11年(行ケ)第240号審決取消請求事件>(判決文は
こちら

 今日も酒バナシです。
 
 この前触れた商標法4条1項17号って「日本酒」が入ってないですよね。そもそもTRIPs協定対応系の規定なので。

 でも、日本酒の産地も結構重要だよね?
 …といった判決が出たのが、今日の2つの事件です。お酒好きの方ならおそらくご存知ですよね。
 
 「寒梅」といえば「越乃」が有名ですが(…一応世間では)、IPDLで日本酒系だけに絞って調べてみても「寒梅(naked)」「越乃寒梅」の他、「宰府の寒梅」「水戸の寒梅」「京乃寒梅」…などなどが登録されています。

 本日の第3070号事件(侵害事件)も第240号事件(無効審判審決取消請求事件)も、両方とも原告は「寒梅(naked)」の商標権者です。

 この商標権者の方が日本酒系で持っている登録商標はこちら。
 
 第45256号
 

 第380356号
 

 第1010683号
 

 一方、第3070号事件(侵害事件)も、第240号事件(無効審判審決取消請求事件)も、被告の方は同じで、「筑後の寒梅」「筑後の国寒梅」という標章を使用していて、かつ、登録商標も持っていました。
 
 被告の登録商標はこちら(第3368418号、第3369856号)。
 
  

 それで、原告は、
 第3070号事件(侵害事件)では、被告の標章使用行為が原告の商標権侵害に該当するとし、
 第240号事件(無効審判審決取消請求事件)では、被告の商標は原告登録商標により4条1項11号規定違反で登録を無効とすべきだとしました。

 「筑後」も「筑後の国」も、基本、地名ですので、識別力は弱いとして…。
 
 そして判決は…

 第3070号事件(侵害事件)では、
 『…、日本酒の名称に地名が含まれている場合には、取引者・需要者は、その地名に着目するのであるから、その地名部分は取引者・需要者の注意を惹く部分として要部となり得るものであり、かつ、他の部分(地名部分が要部となるからといって、他の部分が要部とならないものではないことはいうまでもない。)と相俟って自他商品識別機能を果たし得るものと認めることができる。
 とされ、
 第240号事件(無効審判審決取消請求事件)でも、
 『…、日本酒の名称に地名が含まれている場合に、その取引者・需要者は、通常、その地名が当該日本酒の産地名を表示しているものと認識し、かつ、その地名に着目するものと推認できるのであるから、その地名部分は、取引者・需要者の注意を惹く部分として要部となり得るものであり、かつ、他の部分(地名部分が要部となるからといって、他の部分が要部とならないものではないことはいうまでもない。)と相俟って自他商品識別機能
を果たし得るものと認めることができる。
 とされ、

 かつ、被告の使用標章も被告の登録商標も、全て、全体が一つのまとまりのある標章であると判断されて、原告登録商標と非類似とされたのでした。

 そう、判決の言うとおり(?)、日本酒好きにとって、地名はとても大事ですよね。
 だって、銘柄を言えば、即座に地名が出てきますよね?殆どの場合、銘柄と地名は直結すると思います。

 …とか書いていたら、日本酒飲みたなった。
 今晩、また一人晩酌するか…

 ということで、本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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