あの「堤」

<平成21年(行ケ)第10104号審決取消請求事件>(判決文はこちら

 最高裁で争われた「つつみのおひなっこや」事件がございました(その記事はこちら)。
 そのときの引用商標2が、今回の主人公(本件商標)でございます。

 今回の本件商標はこちら(登録第2365147号)。指定商品は「土人形」です。
 

 本件商標は、当初、ありふれた氏である「堤」あるいはこれを認識させる「つゝみ」の文字を普通に用いられる方法で表して成るものにすぎず、3条1項4号に該当するなどとして拒絶査定がされました。
 しかし、不服審判において、明治以来継続して商品「土人形」に使用された結果、需要者が上記被請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったから同条2項に該当するとして、商標登録が認められたのでありました。

 そんな本件商標に対し、不使用取消審判が請求されて(請求人は「つつみのおひなっこや」事件の上告人です)、審決で取消しが認められました。
 この審決の取消しを求めて商標権者が原告となって提起したのが、今回の訴訟です。

 ちなみに、取消審判の審決では、被請求人(商標権者)が使用していた「堤人形」、「つゝみ人形」、「堤人形製造所」、「堤人形製作所」、「つゝみ人形製造元」及び「堤人形山芳園」とういう標章をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標の使用と認めることはできない、とされたのでした。

 特に、「堤人形」「つゝみ人形」については、
 商品の普通名称を表示するもので、「ツツミニンギョウ」の称呼及び「仙台市堤町で生産される土人形」の観念を生ずる一連一体の成語を表したものとして把握、認識されるものであり、たとえ、その構成中に「堤」又はその字音を表したと認められる「つゝみ」の文字を有しているとしても、「ツツミ」の称呼及びその生産地との関係において、地名としての「堤」等の観念を生ずると認められる本件商標に、商品の普通名称である「人形」の文字を付加したものとして、上記「仙台市堤町で生産される土人形」の観念とは別異の事物、事象を認識するとみるべき特段の事情を見いだすことができない
 とされました。

 つまり、審決では、本件商標である「堤」を独立に使用したことの証明はない、とされたわけです。
 
 なので、今回の訴訟で原告(商標権者)は、土人形を収納する包装箱の蓋の裏側にこんな感じで使用していた9件ほどの標章…
     
 …などなどに基づいて、「「堤」を使用していた」と主張したのでした。

 これに対し、被告(取消審判請求人)は、
 「堤」の文字は、商品の産地表示であって、自他商品識別機能又は商品の出所表示機能を発揮していない(使用時期も不明である)
 などと主張したのでありました。

 さて。

 裁判所の判断はいかに?
 …については、また次回。
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