やや遅きに失しましたが埼玉県警ポスターの件

 本日は、先週話題となっていた埼玉県警ポスターの商標の件。
 やや遅きに失して今更な感じがしますが、敢えて取り上げます。
 (Mendozaさんのブログと同じようなこと言ってます。新味はないです。言いたいことが同じになってしまうので…)

 このブログを読んでいただいている知財マニア(?)の皆様は、埼玉県警のポスターのメディアの記事を読んで苦笑したことでしょう。
 例えば、こんな記事。
asahi.comの3月18日の記事
 
 でも、ここで苦笑しているだけではいかんですよね!
 いつまでも「わかる人にはわかるけど、わからん人にはわからん」知財では。

 ということで、急遽「この話題、飲み屋で使える!? 接待知財コーナー」を立ち上げました(今回だけ)。

この話題、飲み屋で使える!? 接待知財コーナー
 
 まあ、知財マニアの方ならすぐわかると思いますが…

 ポスター見たら一目瞭然、“商標としての使用”っぽくないですよね。

 “商標としての使用”って何でしたっけ? 
 商標登録されてるコトバや絵を使えば何でもかんでも商標権侵害になるってわけでなく、それが、その商品やらサービスやらの識別標識として機能しているときに“商標として使用”されていると言えるのでした。
 
 おっと、「識別標識」なんて、ちょっとマニアな言い回しになりました。
 もっとわかりやすく。

 
 こんな表示が野菜ジュースのパックに付されてたとします。
 
 「おいしい!」という部分だけ取り上げたら、それは“商標としての使用”でないです。
 だって、だれかの商品だってことを表してるわけでないから。野菜ジュースにありがちな表現ですしね。
 
 “商標として使用”されてるといえるのは、「AIGI」の部分です。
 「AIGI」っていうブランドの野菜ジュースなんだな~ってことがわかります。
 また、「AIGI」は社名かもしれませんが、その場合は、「AIGI」って会社が出してる野菜ジュースなんだな~ってことがわかります。

 で、今回の埼玉県警のポスターで使われた『守りたい、「ひと」がいる。』の部分は、「おいしい!」の部分に似てると考えられます。埼玉県警の商品とかサービスだってことを表してるわけでないので。

 さて、もいっかい「おいしい!」に戻ります。

 それでも、「おいしい!」という商標権を「包装パック」について持っている権利者さんがいて、その権利者さんから文句をいわれたら?
 「おいしい!AIGI」の「おいしい!」がジュースの「パック」に書いてあるからってことで。

 実は「包装パック」についてなら、「おいしい!」というコトバも商標登録できる可能性があります。
 「包装パック」自体には「おいしい!」というコトバは馴染みませんよね。そんな場合は、商標としてはむしろパワーがあるとみなされて、登録できたりします。「おいしい!」っていうブランドとして成り立ちそうですよね。

 でも、野菜ジュースのパックに「おいしい!」と付されていても、それはあくまで野菜ジュースについて言ってること。
 「包装パック」について言っているわけではありませ
ん。
 なので、そういう場合は、形式の上でも「包装パック」の商標権の範囲外になるわけです。

 それで…、
 今回の埼玉県警のポスターの「キャッチフレーズ」は、何について言っているかというと、強いていうなら「警察の業務」について?ですか。

 一方、自衛隊の「守りたい人がいる」の商標(第4489386号)は、警察やら防衛やらの業務について登録されているわけではありません。この商標、ポスターと同じ種類の「パンフレット」等について登録されてるようです。
 ですが、埼玉県警のキャッチフレーズはポスターとかパンフレットについて言っているわけで
ないでした。なので、そもそも商標権範囲外のハナシです。
 (ちなみに「広告」も誤解されそうですが、「広告」について言っているわけでもないです。だって「広告」は、他人のために行う役務で、例えば広告代理店さんなんかが行う場合の役務のことを指すからです。)

 ちなみに、原則では「キャッチフレーズ」っちゅーのは、識別標識と認められにくく商標登録できません、となっています。

 自衛隊の「守りたい人がいる」の商標も、自衛隊の業務?についてのものだったら、識別標識と認められにくく商標登録できなかったかもしれません。
 
 商品とかサービスと関連性の低いキャッチフレーズでも、原則を考えて「ひょっとしたら登録できんかもしれんな~」と心配だったら、識別標識としてのパワーが強いコトバとか図形なんかと抱き合わせて出願するっていう策を取ることも、場合によってはあります。
 
 そんな感じがびみょーにするのが、これ(登録第4491514号)。
 
 図形やら「陸上自衛隊」やらと抱き合わせてますね。
 「守りたい人がいる」だけ商標(第4489386号)のバックアップ出願だったのでは?
 …なんて、いらぬ勘ぐりですか。

 というわけで、埼玉県警のポスターが商標権侵害っていうことにはならんと思うのですが…※1

 まあ…
 それがわかっていても、自衛隊から文句を言われそうだな~ということは予想できたでしょうね…

 でも、自衛隊が商標登録した理由は、「悪用されずに長く使いたい」だったそうです(YOMIURI ONLINEの3月18日の記事)。埼玉県警、別に悪用してるわけでないし…

 以上、「この話題、飲み屋で使える!? 接待知財コーナー」でした。
 うまく使えそうですか?(笑)
 
 本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
 ↓↓↓
 
 
※1それに、今回のようなキャッチフレーズは著作物性が認められにくいと思います。
※最初の記事からだいぶ書き直してます。
***************************
この記事をご覧になって、商標などに興味を持たれた方は…

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商標登録出願サイトにも是非お立ち寄り下さい。

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※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
  また、判例は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>

コメント

  1. 第4489386号
    こんにちは。
    第4489386号の方はどうなんでしょうか?

  2. Unknown
    nomnomさん、こんにちは!

    第4489386号は、まさに
    「守りたい人がいる」だけ商標、
    バックアップ“された”方の商標だと思いますが、いかがでしょう?

  3. ありがとうございます
     キャッチフレーズは難しいですね。で、読んでいてひらめきました! 「守りたい人がいる」は、本件の指定商品・役務のキャッチフレーズではないから登録は正当かもしれない。が、これは防衛庁や県警の本来業務(役務?)のキャッチフレーズといえる。仮にそういう役務を指定すれば登録拒絶。役務も違うし出所表示として機能しないから県警の使用も侵害でもない。これでどうでしょう!?
    <参考>
    9 録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,映写フィルム,スライドフィルム,録画済みのビデオディスク及びビデオテープ
    14 貴金属製き章,貴金属製バッジ
    16 紙袋,カレンダー,パンフレット,カード,手帳,ノートブック,便せん,封筒,名刺用紙,書類挟み,ステッカー,ラベル(布製のものを除く。)
    26 衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)
    35 広告
    36 前払式証票の発行
    42 陸上自衛隊に関する印刷物に掲載された記事情報の提供

  4. Unknown
    外堀を埋める商標と本丸の商標との関係は、連合商標があったころ(古っ!)はまだ分かりやすかったんですけどね。

    「守りたい商標がある/AIGI」

    なんて権利化してみたりして、、、

  5. Unknown
    Mendozaさん、こんにちは!

    そうですね、商品・役務との関係が抜け落ちておりました。

    今回の例、ちょっとしっくりこないな~と感じつつ書いていたのはそのせいか…

    より良い例&解説を考えてみます!

  6. Unknown
    m-kenさん、こんにちは!

    連合商標ですか…

    わたし、若いからわかんない~☆

    …というのはもちろん大ウソですが、
    ディフェンス側としては、ディスクレーマー的な部分がどこか明確にわかるといいな~と思うことしばしば。

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