意匠新着審決【3条1項3号系】

 今日は2ヶ月振りに東海支部の商標委員会がございます。識別性と類否判断について期末に研究発表を行う予定でございます。
 ↑こう書くとなんだか立派な感じに思えますね(汗)。でも『東海支部は、会員数は関東や関西に比べて少ないけど、自前で会員向け研修を行おうと思って頑張ってるんだよ!』的なアピールでした(笑)。

 で、木曜日なので意匠の新着審決をご紹介する日でございます。今日は3条1項3号系だ!


■■■意匠新着審決【3条1項3号系】


●不服2009-21418 
意匠に係る物品「コンセント」

本願意匠(意願2007- 20267)と引用意匠(意匠課公知資料番号第HH16549057号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 『共通点の態様は、この種のコンセントの分野において従来から多数見受けられる態様であって、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず

本願意匠

引用意匠

 
 『差異点(a)に係る態様は、フラッシプレートの薄板状の態様であって、両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠を斜め上方から観察した場合の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の
注意を強く惹くもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(b)乃至(d)に係る態様については、それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)に係る態様と相俟って、両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。


●不服2009-23871 
意匠に係る物品「表示装置付きスイッチ」

本願意匠(意願2008-10648)と引用意匠(登録第1323765号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点につき『この種の揺動スイッチの分野においては、従来からスイッチ本体部を含めた全体観察に基づき、類否を判断してきたところであり

本願意匠

引用意匠

 
 『共通点の態様のうち、…揺動スイッチの中央部に長方形状の表示部を設けた点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。
 そうして、スイッチ本体部を含めて意匠全体を観察すると、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左
右するものというべきである。
 すなわち、差異点(a)及び(b)に係る態様は、スイッチ本体部の全体形状及び側面部に表された掛け留め部の態様であって、両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠を斜め上方から観察した
場合の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の注意を強く惹くもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(c)及び(d)に係る態様については、それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)及び(b)に係る態様と相俟って、両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意
匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。



●不服2010-4258 
意匠に係る物品「電気機器収納函用支持具」


本願意匠(意願2009- 3479)と引用意匠(意匠課公知資料番号第HC01053024号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 共通点につき『いわゆる三脚の分野においては,極めて普通にみられる形態であって

本願意匠

引用意匠


 『各部の具体的な相違点について検討すると,とりわけ,取付け用支柱を挿通する管状連結部において,脚部を挟むように保持する2組の略台形状板を120度間隔で形成した点,連結部における脚部用のボルトとナットの位置を変えることにより脚部の開脚角度を変えられるようになっている点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。


●不服2009-24644 
意匠に係る物品「浴室用手摺」


本願意匠(意願2008-33050)と引用意匠(ドイツ意匠登録番号第40001358号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 観者(←ママ)
*公知意匠の参酌: 共通点の握り部につき『握り部を略丸棒状とすることは、人が掴み易くするための極ありふれた形状で、何ら特徴的なものではなく

本願意匠

引用意匠


 『握り部…本願意匠が単なる丸棒状であるのに対して、引用意匠は、観者が注目すべき正面側にあって、横筋状に明暗調子の2層の明確なラインが見て取れ、このラインが、単なる陰によるものなのか、模様なのか、あるいは、異なる材質や溝の凹凸を伴った形状線なのか等不明であり、この相違点は類否判断に大きな影響を及ぼすものであり
 『各固定部の略四角柱状が、本願意匠は、やや縦長直方体状の上面を、前方に向けて緩やかに立ち上げた傾斜面とし、下面を上面よりさらに強く立ち上げた傾斜面とし、側面視先細り状に前方斜め
上方向へと延伸して、丸棒状の握り部の後面下半部とに接合するのに対して、引用意匠は、横長直方体状として、厚みを、斜視状態で正確な厚みは不明としても、握り部の径とほぼ同幅とし、前方へ水平状に延伸して、丸棒状の握り部の後面ほぼ全面に接合するものであり、この相違は、一概に略四角柱状と括れるものではなく、固定部が単なる後方に隠れる支持部材というわけでもなく、固定部と握り部とが一体となって手摺りが形作られるものであり、観者が固定部に十分注意を注ぐところであって、本願意匠のやや縦長直方体状の側面視先細り状に前方斜め上方向へ延伸して、握り部の下方を支えるものと、引用意匠の扁平な横長直方体状が前方へ水平状に延伸して、先端に握り部を取り付けたものとでは、その構成態様は異なるものというべきである。


●無効2009-880014 
意匠に係る物品「半導体ビューティフェースローラ」


本件意匠(登録第1360836号)と引用意匠は類似と判断されました。
*判断主体: 見る者
*公知意匠の参酌: 相違点(ローラ本体部の多角柱が六角形VS.八角形)につき『この種物品を見るときの態様が,本件登録意匠の図面における「斜視図」のような態様においてであることがほとんどである』『この種物品分野において,ローラー本体部の基本形状を八角柱状とするもの(略)も,六角柱状とするもの(略)も,いずれもありふれた態様』、相違点(ローラ本体部の半導体突起部が4列vs.3列)『いずれもありふれた態様であって

本件意匠

引用意匠


 
『(1)共通点の評価
両意匠の基本的構成態様に係る共通点(A)及び具体的構成態様に係る共通点(B)ないし(E)は,両意匠の形態全体に渡り,両意匠の形態の骨格をなすものであると同時に,この種物品分野における先行公知
意匠に照らすところ,両意匠にのみ特徴的なものと認められるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいという他ない。
 ちなみに共通点(A)及び(B)ないし(E)はこちら。
 『(A)全体が,略「丸棒」状の「手持ち部」の先端に,回転可能で,「半導体突起部」を配設した略「多角柱」状の「ローラー本体部」を接合してなるものである点。
 (B)半導体突起部は,略多角柱状のローラー本体部の1面おきの面に,縦1列に3個ずつ,一定の間隔を置いて,「半球」状に突設されている点,
 (C)ローラー本体部の頭部は,略「円形ドーム」状である点,
 (D)手持ち部は,断面円形の丸棒であり,その中程を緩やかな逆弧状にくびれさせ,その下端部を略「なすび形」状にしたものである点,
 (E)ローラー本体部(半導体突起部を除く。)と手持ち部のそれぞれの最大径は,ほぼ等しく,長さについては,手持ち部の方がローラー本体部もよりもやや長めである点。



以上です!個人的には最後のローラーがおもしろかった。

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