商標新着審決【3条1項各号(&4条1項16号)・2項系】

 金曜日ですので、商標の新着審決をご紹介いたします。今日は記号の識別性プチ特集もやってみました。張り切っていってみよー!

■■■商標新着審決【3条1項各号(&4条1項16号)・2項系】

●不服2009-650133
本願商標
指定商品:第25類「Hosiery」
HOT SOX

本願商標(国際登録第962191号に係る国際商標登録出願)は登録すべきものとは判断されませんでした。
*商標の構成: 『…構成中の、「SOX」の文字は、「socksの異形 靴下」(同上)の意味を有する英語であり、本願指定商品を取り扱う業界において「靴下」を表示する語として、普通に使用されている。そうとすると、「HOT SOX」の文字よりは「暖かい靴下(ソックス)」を容易に認識できるものといえる。
*一般使用の事実: 『審における拒絶査定で示したインターネット情報の他にも、例えば、下記(1)及び(2)の新聞記事情報及びインターネット情報において「SOX」あるいは「ホットソックス」の語が使用され、商品が販売されている事実からも裏付けられるものである。
*請求人の主張について: 『請求人は「本願商標が、国際登録における本国官庁である米国及び欧州共同体、イギリスにおいて登録されている事実をもって、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有する」旨、主張しているが、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様を勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、我が国と外国とでは商取引の実情等を異にするものであり、外国で登録されている事実をもって、我が国においても直ちに本願商標を登録すべきであるとはいえないことは明らかというべきである…

●不服2009-9053
本願商標
指定商品:第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製建造物組立てセット」及び第19類「建造物組立てセット(金属製のものを除く。),建具(金属製のものを除く。)」

本願商標(商願2008-37294)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『…該3文字目及び6文字目の文字がやや図案化して表されているとしても、それぞれ「A」、「E」の各文字を表したものと無理なく認識されるものであるから、構成全体をもって「GLASSES」の欧文字を、いまだ普通に用いられる方法の域を脱したとはいえない態様で表してなるものである。
 ところで、「GLASSES」の欧文字は、たとえ、「ガラス、ガラス製品」の意味を有する「GLASS」の語の複数形を表すものであるとしても、むしろ、「GLASS」の文字に「ES」の文字を付加した場合には、「眼鏡」を意味する英語として我が国において一般に知られているというのが相当であるばかりでなく、「GLASS」の文字自体が「ガラス(製)の」を意味する語としても知られているというべきものである(「研究社 新英和大辞典 第6版」〔株式会社研究社発行〕、「小学館 ランダムハウス英和大辞典」〔株式会社小学館発行〕、「ジーニアス英和大辞典」〔株式会社大修館書店発行〕、「研究社 新英和中辞典」
、「WordReference.com英和辞書」
*一般使用の事実: 『当審において調査するも、本願商標を構成する「GLASSES」の文字がその指定商品を取り扱う業界において、「ガラス製」を意味し、商品の原材料又は品質を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実を発見することができなかった。

●不服2009-22630
本願商標
指定商品:第3類及び第5類に属する商品
クリアソープ」(標準文字)

本願商標(商願2007-72831)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『…「ソープ」の文字部分が、「せっけん」を意味する「soap」に通じるものであるとしても、本願商標の指定商品との関係において、「クリアソープ」と一連に表されている構成にあっては、これに接する取引者、需要者をして、「ソープ」の文字部分のみを捉え、これを商品の品質を表示したものとして認識するとはいい難いものであって、むしろ、構成全体をもって、一種の造語を表したものとして理解されるものとみるのが相当である…

●不服2010-13988
本願商標
指定商品:第14類及び第26類に属する商品
k eighteen\ケーエイティーン

本願商標(商願2009- 78944)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『…直ちに特定の意味合いをもって親しまれ、あるいは、特定の商品の規格、品番、金の含有率を具体的に表示するものとして、一般に理解されているとは認め難いところである。
*一般使用の事実: 『当審において職権により調査するも、該文字が本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の規格、品番、金の含有率等を表すものとして、取引上一般に使用されている事実を発見することはできなかった。

●不服2007-29319 
本願商標
指定商品:第9類に属する商品

本願商標(商願2006- 39269)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『かかる構成よりなる本願商標を全体としてとらえた場合、本願商標は、一種独特の図案化がなされているということができ、商品の品番、等級等を表す記号、符号として普通に用いられる域を脱しているというのが相当である。
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査したが、本願商標が、その指定商品の分野において、商品の品番、等級等を表す記号・符号として普通に使用されている事実を発見することができない。
*請求人の使用について: 『…請求人の提出に係る各資料によると、本願の指定商品を取り扱う業界において、本願商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして相当程度認識されて、取引されている実情にあることを認めることができる。

●不服2009-15818 
本願商標
指定商品:第12類に属する商品

本願商標(商願2009-15818)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成・一般使用の事実: 『原審説示のように欧文字及び数字の組み合わせからなる商品の記号、符号の一類型であると認識させることがあるとしても、本願商標の補正後の指定商品「二輪自動車」を取り扱う業界において、「DN-01」の文字が商品の記号、符号を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実は発見できなかった。
 しかして、「二輪自動車」を取り扱う業界においては、欧文字と数字を組み合わせてなる標章が商品の出所識別標識として使用されている実情にあるうえ、請求人が当審において提出した証拠によれば、同人は、本願商標を商品「二輪自動車」に使用していることが認められるものである。

●不服2009-5195
本願商標
指定商品:第12類「自動車」

本願商標(商願2008- 25446)は登録すべきものとは判断されませんでした。
*商標の構成: 『本願商標は、赤色の「RS」の文字をやや右に傾け、その文字の周囲を白色と黒色で縁取りしてなるが、「RS」のローマ文字2文字であることを容易に認識することができる程度のものであるから、本願商標は、極めて簡単、かつ、ありふれた標章からなるものであり…
 『…本願の指定商品を取り扱う業界においては、本願商標のようなローマ数字2文字は、商品の規格又は品番等を表すための記号、符号として類型的に商取引上、普通に採択・使用されている実情にある。してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、前記実情から、商品の規格又は品番等を表すための記号、符号の一類型と理解するにとどまり…
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査したが、本願商標が、その指定商品の分野において、商品の品番、等級等を表す記号・符号として普通に使用されている事実を発見することができない。
*請求人の使用について: 『…請求人の提出に係る各資料によると、本願の指定商品を取り扱う業界において、本願商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして相当程度認識されて、取引されている実情にあることを認めることができる。
 なお、本願は3条2項に該当しないとも判断されています。

●不服2009-19617 
本願商標
指定商品:第19類、第36類、第37類及び第42類に属する商品・役務

本願商標(商願2008-44287)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『上段の「PF‐EW」の文字部分は、看者の注目を惹くように顕著に表示されており、また、その中間に位置するハイフンが小さく表されていて、「PF」と「EW」の文字を近づけて一体的に結合させた造語として看取されるものである。また、下段の「PC-No.」の文字部分は、その構成文字からみて、これが直ちに商品の種類、種別等を表示する記号、符号にすぎないものということはできないというべきである…

●不服2009-9397 
本願商標
指定商品:第42類「類「農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」

本願商標(商願2007-87676)は登録すべきものとは判断されませんでした。
*商標の構成: 『…「新井」、「荒井」の姓は、我が国において、ありふれた氏の一つと認められるものである。
そして、「日本人の氏性も、日常これを表現する手段として、漢字、片仮名、平仮名、ローマ字等種々な文字を使用することは顕著な事実である。」(昭和41年(行ケ)49号 昭和48年2月23日判決言渡し 東京高裁)と判示されているとおり、姓氏をローマ字で表すことは、ごく一般的に行われているものであることからすれば、本願商標中「Arai」の文字に接する取引者、需要者は、我が国においてありふれた氏の一つである「新井」または「荒井」を欧文字で表したものと容易に理解すると判断するのが相当である。
 また、標章の輪郭を表す装飾図形として、楕円形の図形は、しばしば採択使用されているものであるところ、本願商標中、横長楕円形の図形部分は、両脇をやや太く描いてはいるものの、依然として、輪郭としての形象を脱し得ないものであり、この程度の構成態様をもってしては、いまだ普通に用いられる方法の範疇で表示されたものといわざるを得ない。

*請求人の使用について: 『本願商標の文字部分より生ずる「アライ」の称呼より、姓氏としての「新井」及び「荒井」の他、「洗い」、「新井(新潟県西部の地名)」及び「荒い、粗い」を想起させ得る旨、主張している。
 たしかに、請求人が主張するとおり、本願商標からは、上記意味合いも生じ得るものであるが、姓氏に関する書籍、ハローページの掲載はもとより、広辞苑(第六版)においても、「新井、荒井」は、「姓氏の一つ。」と記載されているとおり、「新井」及び「荒井」の姓氏は、我が国において数多く存在すると認められる姓氏であるから、ありふれた氏の一つであると認められるものである。

●異議2010-900084 
本件商標
指定商品:第29類に属する商品

本件商標(登録第5293386号)の登録は維持すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『…申立人が主張するように、ミルクに雫が落ちたときにできる「ミルククラウン」をモチーフにしたと看取させる場合があるとしても、該図形は黒く塗りつぶされており、かつ、真ん中が抜け落ちて空白となっていることからしても、直ちにこれが「ミルククラウン」であるとはいい難いものである。
 また、申立人の提出に係る証拠を勘案しても、申立人が主張する如く、本件商標の指定商品中「ミルク、ミルクを使用した商品及びミルク風味の商品」の品質を直接的かつ具体的に表示している事実を見いだすことができない…

 *一般使用の事実: 『申立人が主張するように、「種々商品デザインのモチーフとして」使用されている場合があるとしても、それらの商品は、いずれも本件指定商品に含まれるものではなく、…
 なお、4条1項7号の申立てに対する判断もなされています。
 『申立人は、「本件商標は、ミルク、ミルクを使用した商品、ミルク風味の商品、カタログ、それらの商品を掲載したホームページ等販促ツールにおいて多用され、また、将来的にもそのような商品及び販促ツールにおいて使用される可能性が推認され、さらに、多くの商品デザインのモチーフとして採用されており、独占適応性を欠く商標である」旨主張するが、前記(1)で述べたとおり、本件商標は、その指定商品との関係においては直接的かつ具体的な商品の品質等を表すものではなく、また、商標法第3条との関係においても独占適応性を欠く図形であるとはいえないものである。

 本日は以上です!来週も見ていただけるのならぷちっと押してくださいね…
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>

コメント

  1. 超遅いコメントですが
    英数字の短い組み合わせは審査では例外なく3条拒絶されますね。意見書で必死に反論しても、まるで木で鼻を括って鼻血が出そうな拒絶査定を書いてきやがりますが、審判にいけばきちんと見てくれます。

    こんな出願人を馬鹿にした審査でよいのか!(と松田先生が怒ってらっしゃいます)

  2. Unknown
    シェンムーさん、おはようございます。

    特に3文字以上となると、争う気満々になりますよね。
    でも、審判に行く余裕のあるお客さんでないと、拒絶査定が来てしまうとがっくりしてしまいますね。
    審査官殿は、審判に行く大変さはわからないですから…

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