商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】No.2

 さて、本日のNo.2バージョンです。
 張り切っていってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2010-7091 
本願商標
指定商品:第14類「宝玉を用いた身飾品,貴金属を用いた身飾品」
COLIN(「O」の文字の上には山形の記号「^」を有する。)\JAPAN

引用商標
指定商品:第26類「和装用ベルト」
コーリン

本願商標(商願2009- 40342)は引用商標(登録第4118422号)と非類似と判断されました。
*指定商品の類否: 『商品の類否の判断は、取引の実情、即ち商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するか否か、完成品と部品との関係にあるか否か等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきものである。
 そこで、本願商品と引用商品との類否について判断するに、本願商品は、貴金属や宝玉が用いられることも多く、身に飾ることで、直接的にその人の美しさを増すことを目的とするものであって、主に宝飾品を取扱う部門で販売されるものである。
他方、引用商品は、着物の着崩れを防ぐことを目的に、着付け用の小物として腰ひもやだて締めに代わるものとして使用され、主に和服を取り扱う部門で販売されるものである。
 してみると、両商品は、その販売部門、原材料、品質、用途、需要者の範囲等において著しく相違し、また、完成品と部品との関係にないことも明らかであるから、両者に同一又は類似の商標が使用された場合において、これに接する取引者、需要者が商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。

●不服2010-17621                
本願商標
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
AIRpants」(標準文字)

引用商標1
指定商品:第25類「洋服」等
AIR\エアー

引用商標2
指定商品:第25類「被服」等

本願商標(商願2009-64641)は引用商標1,2(登録第502137号号等)と類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…その構成中の「pants」の文字については、例えば、「新・田中千代服飾事典 第一版新訂」(株式会社同文書院発行)によれば、「パンツ[Pants]両脚を別々に包む形の下体衣。・・・日本では,パンツというとパンティーズなどの下着をさす語として用いられることが多いが,1970年代後半ころからはズボンをさす言葉としても用いられている。・・・」及び「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店発行)によれば、「パンツ【pants】ズボンに同じ。運動するときなどにはく短いズボン。ズボン風の下ばき。ズロース・ブリーフなど。」との記載もされているところであって、一般に本願商標の構成中「pants」の文字は、本願の指定商品の普通名称、あるいは形状、用途等の品質を表したものと理解されているものである。
 したがって、当該「pants」の文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、又は、その機能が極めて弱いというべきものである。
 そうとすると、本願商標に接した取引者、需要者は、構成中前部に位置し、自他商品の識別標識として強く印象づけられる「AIR」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼、観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当であるから、本願商標は、その構成文字全体に相応した「エア(ー)パンツ」の称呼のほかに「AIR」の文字部分に相応した「エア(ー)」の称呼及び「空気」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。

●不服2009-22311          
本願商標
指定商品・役務:第9類「電子出版物」等、第16類「印刷物,紙類,文房具類」、第35類「印刷物の小売等役務」等
ERI

引用商標1
指定役務:第41類「国家資格取得のための講座における教授,論文作成の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授 」
ELI

引用商標2
第41類「国家資格取得のための講座における教授,論文作成の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授」

本願商標(商願2008-101951)は引用商標1,2(登録第4946381号等)と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…「ERI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語といえるものである。
 ところで、本願の指定役務である「知識の教授」や「試験の提供」等の教育サービスの分野においては、欧文字3文字を羅列した綴りにおいて、それが特定の意味合いを有する成語を形成するものでない場合は、構成するアルファベットを一文字一文字区切って発音する場合が多いといえるから、本願商標は、その構成文字に相応して、「イーアールアイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。』
*引用商標の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標1は、前記2のとおり、「ELI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字も、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語といえるものである。
そうとすると、引用商標1もまた、上記と同様の理由で、その構成文字に相応して、「イーエルアイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 また、引用商標2は、別掲のとおり、黒色の太字で書された「ELI」の欧文字と、該欧文字中の「E」の文字部分に接するように配された交差する2つの円の図形からなるところ、該文字部分と該図形部分とは、これらが一体となって特定の観念を有するものとは認められないばかりでなく、両者が渾然一体として融合した構成態様ともいえず、他にこれらを一体不可分のものとして把握しなければならない特別の理由も見いだすことができないことから、引用商標2は、該文字部分と該図形部分とがそれぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすと判断するのが相当である。

*本願商標と引用商標の類否: 『本願商標から生ずる「イーアールアイ」の称呼と引用商標1及び引用商標2から生ずる「イーエルアイ」の称呼とを比較するに、前者は7音、後者は6音構成からなるところ、その中間音において「アール」と「エル」の音の顕著な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、聴者に与える語調、語感が相違し、互いに聞き誤るおそれはないというべきである。
 そして、本願商標と引用商標1及び引用商標2は、上記の構成よりみて外観においても相紛れるおそれはなく、観念については、いずれも特定の観念を生ずるものではないから、比較することができない。

●不服2009-23417            
本願商標
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」等
ORU

引用商標
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」等
OLU

本願商標(商願2008- 62985)は引用商標(登録第1798074号)と非類似と判断されました。
*本願商標と引用商標の類否: 『本願商標及び引用商標のように、アルファベット3文字からなり、かつ、特定の意味合いを有する語ではない場合、その構成各文字を、一気一連というよりも、一文字一文字を区切って明確に発音される場合が多いといえることから、本願商標は、その構成文字に相応して「オーアールユー」の称呼を生ずるものであり、引用商標は、その構成文字に相応して「オーエルユー」の称呼を生ずるものである。
 そこで、本願商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、第2字に位置する「R」の文字と「L」の文字に差異を有することから、その外観において明らかに区別し得るものである。
 また、両商標より生ずる称呼を比較すると、両者は、長音を除き、同音数の構成からなるものの、中間音において「エル」と「アール」の差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
 さらに、本願商標の構成文字中の「RU」が、「ル」を表するローマ字であるとしても、引用商標の構成中の、「LU」が、「ル」を表するものとは認め難い(
http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=show&id=1000001932&clc=1000000068&cmc=1000003935&cli=1000004673&cmi=1000004675)ことから、引用商標が、ローマ字読みで、「オル」と称されると判断しなければならない特段の事情は認められない。

●無効2010-890029             
本件商標
指定商品:第10類「足裏つぼ刺激具」、第25類「被服,履物,運動用特殊靴,インソール」及び第28類「運動用具」
ウナパッド」(標準文字)

引用商標
使用商品:「鎮痒剤」
ウナ

本件商標(登録第5230293号)は4条1項15号に該当しないと判断されました。
*引用商標の著名性について: 『…引用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、「鎮痒剤」の取引者の間では知られていたとしても、その範囲を超えてなお、我が国の需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。』
*本件商標と引用商標の類否: 『本件商標は、…「ウナパッド」の文字を同一の書体をもって一連に横書きにしてなるものであるから、外観上一体のものとして看取されるばかりでなく、これより生ずると認められる「ウナパッド」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。また、本件商標の構成中の「パッド」の文字部分が、本件商標の指定商品全般について、商品の品質等を表示するものとして普通に使用されているという事実を認めることができる証拠は見当たらない。
 そうすると、本件商標は、構成する文字全体をもって、「ウナパッド」とのみ称呼される一体不可分の造語を表したと把握、認識されるものというべきであって、その構成中の「ウナ」の文字部分のみが独立して印象づけられるものではない。

本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

 【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

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