商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

 先週末は米国特許セミナー、今日のお昼休みは所内判例報告会、そして今朝は新着とはいえないぞー商標審決のご紹介。勉強目白押しのあいぎ特許事務所です(^o^)/ 張りきって行ってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2009-9505    
本願商標(商願2008- 22384)
指定商品:第25類「被服,履物,帽子」

引用商標1,3~5
指定商品:第25類に属する商品等
GORILLA」or「ゴリラ

引用商標
指定商品:第25類に属する商品等

本願商標は引用商標1~5と類似と判断されました。
*請求人の主張について: 『本願商標から生じる観念(ひいては称呼)について、「ゴリラ」という観念が生じる可能性を否定するものではないが、「ゴリラ」以外にも、例えば、「原始人」、「猿人」、「オランウータン」、「チンパンジー」、「猿」、「怒った猿」、「顔」、「ボノボ」、等の観念が、「ゴリラ」という観念が想起される可能性と同程度の可能性で、想起されうるものと思われ、本願商標からは「ゴリラ」という一義的な称呼及び観念のみが生ずるとは言い難く、その表現方法からすれば、特定の称呼及び観念が生ずるものではない旨主張する。
 しかしながら、本願商標は、前記3(1)のとおり、まゆの位置が出っ張っている額、眉間の縦じわ、つり上がった目尻、横に広くあぐらをかいたようにつぶれた鼻、上向きに大きく開いた鼻の穴、牙の見える口元、ヘルメットをかぶったかのようにでっぱった頭頂部、深くくぼんでいる目、頭の横についた小さなこぶのような耳等の特徴からみて、取引者、需要者が、直ちにこれを「ゴリラ」であると判断するに足りる特徴を十分に備えているものということができ、加えて、「ゴリラ」が我が国で十分に知られた動物であることを考え合わせると、請求人の主張するように、本願商標から「原始人」、「猿人」、「オランウータン」等が想起される可能性は極めて低いものといわざるを得ない。

●不服2010-7187            
本願商標(商願2009-39354)
指定商品:第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
イルカ店

引用商標
指定商品:第12類「自動車並びにその部品及び付属品」

本願商標は引用商標と類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…その構成中前半の「イルカ」の文字部分は、「いるか【海豚】歯クジラ類のうちの小形種の総称。」を表すものであり、また、後半の「店」の文字部分は、「品物を置き並べて商売するところ。みせ。たな。」(いずれも広辞苑第六版)であることから、本願指定役務との関係においては役務の提供場所を表示したものというのが相当である。
 そうとすれば、本願商標は、「イルカ」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字部分より、単に「イルカ」の称呼をも生じ、「いるか【海豚】歯クジラ類のうちの小形種の総称。」である「いるか」の観念を生ずるものである。』
*本願商標と引用商標との類否: 『図形のみからなる商標と、文字商標の類否については、「観念は副次的なものであるから、外観、称呼が相違する場合には、たとえ観念において類似しても全体として類似の商標とはいえないということはできない。取引者、需要者は商標の外観、称呼ばかりでなく、その有する観念(意味)を記憶し、これのみによつて商品を選択する場合も稀ではないから、観念において紛らわしい商標である以上類似の商標というべきである。」(東京高裁昭和37年(行ナ)第215号判決)との判例、及び、商標の類否については、「商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)」との判例がある。
 そこで検討するに、本願商標は、「イルカ」の文字部分より、単に「イルカ」の称呼及び「いるか」の観念を生ずるものであり、引用商標は、「イルカ」を描いた図形であることから、「イルカ」の称呼をもって取引に当たる場合も少なくないものであり、「いるか」の観念を生じさせるものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、外観において類似するとはいえないものの、「イルカ」の称呼及び「いるか」の観念を同一にする類似の商標であって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し
て、全体的に考察すると、同一又は類似の指定商品又は指定役務に使用した場合、その出所につき誤認混同されるおそれがあるということができる。

●不服2010-8003        
本願商標(商願2009- 46549)
指定商品:第30類「菓子及びパン」
六花饅

引用商標
指定商品:第30類に属する商品

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…その構成文字は、同書、同大、同間隔で、まとまりよく一体に表されているものであって、構成文字全体から生じる「ロッカマン」及び「リッカマン」の称呼も、4音と短い音構成で、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、たとえ、その構成中「饅」の文字が、「饅頭」の意味を有するとしても、かかる構成及び称呼の本願商標にあっては、これに接する取引者、需要者は、「六花饅」の構成文字全体を一体不可分のものと認識、把握するものとみるのが相当である。
 さらに、本願商標は、その構成中「六花」の文字部分のみを分離抽出し、検討しなければならない事情も見いだせない。
 そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体に相応して、「ロッカマン」及び「リッカマン」の称呼のみを生じるものといわなければならない。

●不服2010-15134          
本願商標(商願2009- 20457)
指定商品:第30類「生タイプのクッキー」

引用商標
指定商品:第30類「菓子及びパン」
レアー\Rare

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。

*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…菓子業界においては、「生のようにしっとりとした柔らかい食感のクッキー」を表すものとして、「生クッキー」及び「レアクッキー」の語はそれぞれ普通に使用されていることから、本願商標からは、その構成文字に相応して、「ナマクッキー」及び「レアクッキー」の称呼を生ずるものであり、「生のようにしっとりとした柔らかい食感のクッキー」の意味合いを容易に認識させるものである。
 ところで、上記のとおり、本願商標は指定商品との関係において識別力が強いものとはいえないが、引用商標との関係においては、本願商標全体として、特定の観念を有し、外観上もまとまりよく表されているものであり、構成全体より生ずる「ナマクッキー」及び「レアクッキー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
 してみれば、本願商標は、構成全体をもって一体不可分の商標として認識されるというのが相当であり、…

●不服2010-12764      
本願商標(商願2009- 40270)
指定商品:第3類「せっけん類,頭髪用化粧品」
seze\セゼ

引用商標
指定商品:第3類に属する商品等
sese

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標と引用商標との類否: 『…称呼については、両称呼は共に2音により構成され、第2音において「ゼ」の濁音と「セ」の清音の差異を有するものであるところ、全体の称呼がわずか2音という短い音構成からなることよりすると、該差異音が両称呼に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、その語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
 また、両商標は、前記のとおりの構成よりなるから、外観上も明らかに区別し得る差異を有するものであり、共に特定の観念を有しないものであるから、観念上比較できないものである。

●不服2010-5508            
本願商標(商願2009- 23268)
指定商品:第9類に属する商品等

引用商標1~3
指定商品:第9類に属する商品等
  

本願商標は引用商標1~3と非類似と判断されました。
*引用商標の称呼・外観・観念の認定: 『…「円図形」は、3点に切れ込みがあり、その上に、小さな四角形図形をも配してなり、さらに、「R」や「Hm」の文字に比して、大きく描かれていることからすると、たとえ、かかる円図形が、構成中の「R」の文字と「Hm」の文字の間に位置するものであるとしても、かかる円図形に接した需要者等が、直ちに、これを欧文字「O」であると認識し、引用商標1が、「ROHm」の文字からなるものと看取するとはいい難い。
 また、引用商標2は、別掲3に示すとおり、「R」の文字の右に、円図形内にさらに円を描いた図形(以下「二重円図形」という。)を配し、その右横に、「Hm」の文字を書してなるところ、「二重円図形」は、前述した理由に加え、円図形内にさらに円が描かれていることから、かかる二重円図形に接した需要者等が、直ちに、これを欧文字「O」であると認識し、引用商標2が、「ROHm」の文字からなるものと看取するとはいい難い。
 さらに、引用商標3は、別掲4に示すとおりの構成からなり、「R」、「二重円図形」及び「Hm」の各部分を肉太で描いているものであるところ、引用商標3の構成中の二重円図形は、前述のとおり、これを欧文字「O」であると認識し、引用商標3が、「ROHm」の文字からなるものと看取するとはいい難いものである。
そうすると、引用商標は、その構成態様から「ローム」の称呼を生ずるものと判断しなければならない特段の事情はなく、引用商標は、「R」と「HM」の文字から、「アールエイチエム」の称呼を生ずるとしても、「ローム」の称呼は生じないものである。

●異議2010-900071              
本件商標(登録第5286515号)
指定商品:第14類、第18類及び第25類に属する商品

引用商標ア~エ
指定商品:第14類、第18類及び第25類に属する商品等

本件商標は引用商標ア~エと出所混同を生じるおそれがあると判断されました。
*本件商標と引用商標との出所混同: 『…本件商標と引用各商標とは、それぞれの構成中「Y」、「S(と覚しき欧文字)」及び「L」と「熊の図形」の各構成要素の配置を共通にし、引用各商標は、前記のとおり、我が国はもとより世界各国の取引者、需要者の間において広く知られていたものであり、本件商標の指定商品と引用各商標が使用されている商品は共にファッション関連の商品であって、取引者、需要者を共通にするものである。
 そうとすると、これらを総合して考慮すれば、たとえ、本件商標は、その構成中に特異な形態の熊の図形を有しているとしても、これを商標権者がその指定商品に使用するときには、取引者、需要者をして、引用各商標を連想、想起させ、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない…

本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【紹介記事】
  知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
  2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 2008/07/23 商標の話題で出演

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>

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