今度のLEDは照明器具

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<平成24年(行ケ)第10179号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

皆さま、今年も「名古屋の商標亭」をご愛顧いただき誠にありがとうございました。

今年を振り返りますと、個人的なことでは、ここ数年ずっと体調が思わしくなかった状態を(←見た目はすこぶる元気だったけど)、夏に手術して根本原因を取り除いたことが一番の出来事でした。
手術も入院も初めての経験でしたが、退院後、順調に回復しております。実はまだ回復途中なのですが、たぶん、あいぎ所員の中で一番元気だと思われ、誰も私が手術入院したことを覚えていないことでしょう(汗)。
来年は、完全治癒いたしましたら、今年あまり更新できなかった「名古屋の商標亭」をもっと盛り上げたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします

さて、本日は、今年最後になるかもしれない判決のご紹介となります(年末年始、事務所のサーバーが完全ダウンしてしまうので、更新できないぽれす(泣))

50条取消審判で請求を認めなかった審決に対する取消請求事件(ややこやしい)において、商標権者(被告)さんが商標を使用していた商品が、指定商品に該当するか否かが争われた事例です。

■本件商標


取消審判請求に係る指定商品:「,「LEDランプ,LEDランプを使用した乗物用又は家庭用の読書灯,LEDランプを使用した自動車内用ブラックライト,LEDランプを使用した自動車用ライト,LEDランプを使用した自転車用照明灯,その他の電球類及び照明用器具」

■使用商標(被告製品カタログ「OPTOELECTRONICS PRODUCTS 2008」に掲載)

左に表された外縁が六角形の図の右に「TRUE WHITE Hi」の文字を配し,下線が多色の色調のものである点を除き,本件商標と同一の構成,態様の,本件商標と社会通念上同一といえる商標(以下、「本件使用商標」といいます。)
使用商品(以下、「本件使用商品」といいます。):品番「E1S40-1W0C6-01」の白色の表面実装型LED

取り上げられたのはカタログですが、ご参考として下記をご覧ください。
http://www.toyoda-gosei.co.jp/seihin/opto/01.html
http://www.futurel.bg/datasheets/8/E1S40_xWxxx_EL.pdf

■JPOの審決での判断

JPOは、“本件使用商品は、「照明用器具の部品」であることから、本件請求に係る指定商品中の「照明用器具」の範ちゅうに含まれる商品とみるのが相当である、したがって、商標権者は本件商標を指定商品に使用している”と判断しました。

■原告(取消審判請求人)さんの主張

原告さんは、
本件使用商品は,表面実装型(プリント基板の表面に直接接続する型)のLED,すなわち発光ダイオードであり,発光ダイオードは電流を流すと発光する半導体素子の一種であるから,国際分類第9類の「電子応用機械器具及びその部品」中の「半導体素子」の範ちゅうに属する商品であって,審判請求に係る指定商品である「電球類及び照明用器具」には属しない
と主張されておられました。

■裁判所の判断

結論から言うと、裁判所も、本件使用商品「表面実装LED」は、省令別表第11類1の「電球類及び照明用器具」に該当するものと認められる、と判断しました。

その理由をかいつまんで一部抜粋すると、以下のとおりです(判決文9-12頁)。
…本件使用商品は,…発光ダイオードを使用した,光源としてのLEDランプであると認められる(甲9,乙1,2)。
 そして,…,LEDランプについて,「単一の発光源として機能する可視LEDの総称」と定義し,チップLEDについて,「面実装用で,基板又はそれに類するものの上にLEDチップをのせ,樹脂で封じたLEDランプ」であると定義し,その英文名称として「Chip LED,Surface mount LED」,すなわち「表面実装LED」と表示していること,また,LEDとは,狭義には化合物半導体のチップ状態を指すが,実用上は実装可能なパッケージに入った状態のものをいい,表面実装型LEDがLEDランプとして例示されていること(乙12,13)に照らすと,本件使用商品は,単体で照明用器具としての機能を有する商品であると認められる。
また,指定商品に関する国際分類という観点からみても,以下のとおり,原告の主張は理由がない。
 …本件審判の請求に係る指定商品は,商標法施行規則別表(以下「省令別表」という。)第11類1に定める「電球類及び照明用器具」に属するものであるから,上記アに説示したところを踏まえて,省令別表第11類1に定める「電球類及び照明用器具」の意義について検討する。
 省令別表第11類1の「電球類及び照明用器具」には,「アーク灯」,「蛍光灯」,「白熱電球」,「豆電球」等が例示され,他方,第9類16「電子応用機械器具及びその部品」の「(三)半導体素子」には,「トランジスター」,「ダイオード」等が例示されている。

 また,国際分類を構成する類別表注釈において,第11類に「この類には,特に,次の商品を含む:/……電気式湯沸かし;/電気式調理用具」と記載され,第9類に「この類には,特に,次の商品を含まない。/次の電気式機器;/……(d) 暖房用又は液体加熱用,調理用,換気用等の電気式器具(第11類)」と記載されている。
 上記例示及び注釈を参酌すると,省令別表第11類1に定める「電球類及び照明用器具」は,単体で照明用器具としての機能を有する商品をいい,半導体素子(例えば,LEDチップ)のように回路に組み込んで使用される部品は含まないものと解するのが相当
である。

 …本件使用商品は,上記のとおり,LEDチップから放射された光により蛍光体が励起され,白色発光を生ずるものであり,単体で照明器具としての機能を有する商品であるから,これと異なる原告の主張は採用することができない。』

 以上のように、本件使用商品は「電球類及び照明用器具」に該当すると判断され、原告さんの主張は認められませんでした。

■コメント

以前ご紹介した「LUNA」事件では、ネオンランプ(ネオンブランケット)が、表示灯としての機能も有するけど、回路保護機能も有するとして、「電子応用機械器具及びその部品」に該当するとされていました。
今回の事件と対比してみると面白いかもしれません。

本日は以上です!来年も見てくださいね~
今年最後のぽちっとなー(。-_-。)/

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