発想の転換!意味のイノベーションでヒット  「富士山消しゴム」「うんこ漢字ドリル」

「カタチ・意味・仕組み・価値のデザイン」 シリーズ
ここでいう「デザイン」は、カタチ等のデザイン(知財でいうところの「意匠」)、意味のデザイン(意味のイノベーション)、ビジネスモデル等の仕組みのデザイン、顧客提供価値のデザイン…等、いろんな「デザイン」を意味します。
このシリーズでは、こういった「デザイン」がどのような知財で守られているか?を  ごく興味本位で検索し、その知財がいかに活用されているか?を あくまで独断で考察してみたいと思います。
 
今回は、特に、新しい商品・サービスを考えたい/考え中の中小企業さん向けに書いてみたいと思います。
 
原点から離れがち
 
新しい商品・サービスを考えるときは、まず、
『その商品・サービスで、お客さんをどう喜ばせることができるか?(お客さんのニーズを満たすことができるか?)』
から出発しているでしょうか。
 
『そんなの当たり前じゃん』


…はい、そうですね。
ええ、ビジネスパーソンならわかってますよね。

なのですが、社内/社外のいろいろな人が関わって、あっちの意見/こっちの意見を取り入れていくと、
「他社もやっているから(いま流行りだから)」「自社にある資源だとここまでしかできないから」「○○さん/○○部を説得するのが面倒くさいから」…
等など言われて、途中から知らないうちにだんだんとベクトルの異なる方向に進んでしまって、出来上がったものがなんとなく既視感ある商品・サービスになっちゃってるなぁ…と思うこと、ありませんか?
(我々も、この仕事をしていると、いろんな新製品・サービスを見る機会が多いのですが、ぶっちゃけ、そういう風に思うこともあります…。)

そんな方向に進んでるかも…と感じたときは、一度、原点に立ち返って、再度、
『その商品・サービスで、お客さんをどう喜ばせることができるか?(お客さんのニーズを満たすことができるか?)』の視点で眺める…と、方向修正がきくかもしれません。

そして『原点から出発して考える』という一貫した方向性を見間違わないと、意外なイノベーションを起こすことができ、面白い商品・サービスが生まれるかもしれません。

『イノベーション?
うちはローテク企業なので関係ないよ。』

いやいや、イノベーションは、ハイテクから生まれるとは限りません

いままで提供してきた商品・サービスの意味をずらすことで生まれる
『意味のイノベーション』
なら、ハイテク・ローテクにかかわらず、どんな業種でも生み出すことができます!

 

意味のイノベーションをめちゃくちゃ大雑把に簡単に説明すると

 

意味のイノベーションとは、ごくごく簡単にいうと、『商品・サービスの意味を変化させること』ということになります。

意味のイノベーションの提唱者であるミラノ工科大学教授のロベルト・ベルガンティ氏が説明する有名なロウソクの例では、
ロウソクの役割:
明るくする

むしろ暗い部屋で使い快適な空間やぬくもりを感じさせるような雰囲気を出す
と意味を変化させて、1990年代まで斜陽産業だったロウソクの売り上げを急上昇させました。

 

この変化には、ハイテクは使われていませんが、全く新しい観点で商品を捉えることでイノベーションを起こしたともいえると思います。

 

氏が特に取り上げるのはYankee Candleという会社ですが、創業時の原点にあったのは、創業者が高校生のときに母親へのプレゼントを買うにもお金がなく苦肉の策でロウソクをデコレーションしたら近所のおばさんに買いたいと言われたこと、だそうです。
つまり、「明るくする」という役割のロウソクが、「ギフトとして受け入れられるロマンティックなもの」となり得る、といういう意味の変化が、ここにあったわけです。

 

大きな設備投資などができない中小企業さんにとっても、こういったイノベーションなら十分に可能だと思います。

 

※ご興味があれば、もう少しだけ詳しく「デザイン思考」との比較で書いた記事もご覧ください。

こちらも中小企業さん向き?デザイン思考の一歩先をいくデザイン・ドリブン・イノベーション
前回のエントリでは「デザインシンキング」について触れました。「デザインシンキング」は、①”改良型・漸進型イノベーション” には向いている②”マーケット・プル型のイノベーション”、”より多く売るためのイノベーション”と評される、...

 

身近な「意味のイノベーション」の例

 

わたしが勝手に『「意味のイノベーション」だな!』と思った最近の例を挙げてみたいと思います。

 
どちらも、それを使って行う作業を
「面倒だなぁと思う作業→ 楽しいと思う作業」
に変化させているところが『意味のイノベーションだな!』と思いました。
身近な商品でありながら「おお、その発想はなかったわ!」と思わせます。

 

◆富士山消しゴム

消して作る自分だけの富士山「エアイン富士山消しゴム」|プラス株式会社ステーショナリーカンパニー(PLUS Stationery)
消して作る自分だけの富士山「エアイン富士山消しゴム」。左右前後バランスよく消すことで、自分だけの富士山をつくることができます。

プラス社の「富士山消しゴム」です。”2019年ヒット商品ランキング 日経トレンディが選んだベスト30” にも選ばれ、箱買いするユーザーもいるほど大ヒットしているようです。

 

商品詳細は上のリンクでご覧いただくとして、
この商品のコンセプトが、まさに、意味のイノベーションを表しています。

本来消しゴムは、間違った文字や修正したい箇所を消す道具。
どうせなら、『消す』を、もっと楽しくできないか?
こんな思いから、この消しゴムは生まれました。
消しゴムに求められる『よく消える』機能と、『消す楽しみ』を
同時に実現する、新しい消しゴムです。

 

こちらには開発担当者さんのお話が掲載されています。

使うほど富士山になる消しゴム 学生時代に発案、入社4年目で商品化
使っていくうちに、消しゴムが富士山になっていた――。そんな商品がネット上で注目を集めています。
「富士山消しゴム」 ヒットを生んだデザインの力|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE
一見、何の変哲もないただの四角い消しゴム。しかし使い込むうちに角が削れ、真っ白く冠雪した富士山の勇姿が現れてくる。ありそうでなかったアイデアを形にしたプラスの「エアイン富士山消しゴム」は発売前からSNSなどで大きな話題となった。富士山の開山…

 

プラス社のAirInというもともとあった技術を使ってきっちり「よく消える」という機能を担保しつつ、
デザインの力で、人が日常的にマイナスに感じている行為をポジティブに変換しているところが、『デザインによる意味のイノベーション』であり、マジ参考になります。

それを支えるのも知財権のチカラということで、検索してみました。

意匠登録第1647518号

 

※ちなみに、「富士山消しゴム」という名称は、商標登録出願されてないみたいですね…
識別力なしという理由で登録されなさそうだという見立てでしょうか(実際、過去に別人の「富士山」という商標が同様の理由等で拒絶されたようです)。

 

 

◆うんこ漢字ドリル

うんこ漢字ドリルは日本一楽しいドリル! | うんこ学園
シリーズ累計400万部の大ヒット書籍「うんこ漢字ドリル」が学校になった!遊ぶ・学ぶ・笑う・楽しむ。こどもたちに大切な要素がたくさん詰まった「うんこ学園」は今までになかった教育プラットフォームです。

ご存知の方も多い「うんこ漢字ドリル」。この種の製品としては、大ヒット商品ですね。

こちらは2017年グッドデザイン賞の金賞にも選ばれています。動画でこの商品の想いが語られていますので、是非ご覧ください。

漢字ドリル [うんこ漢字ドリル]
グッドデザイン賞の仕組みや、過去のすべての受賞対象が検索できる「グッドデザインファインダー」など、グッドデザイン賞に関する情報をご紹介するサイトです。毎年1回(4~6月頃)募集する、グッドデザイン賞への応募もこのサイトから行うことができます。

 

漢字学習の弱点であった「作業的に書く」ことから脱却し、子どもが笑いながら勉強する姿を想像して作った

とのこと。

こちらも、ネガティブに捉えがちな作業を、ポジティブなものに変換しているというところ自体が
「意味のイノベーション」ではありますが…

それより、教育という場に、親御さんが眉をしかめそうな「うんこ」をあえて持ち込んだことが、わりと衝撃的な「意味のイノベーション」(笑)。

でも、本来の教育という目的もきっちり果たしているところがポイントです。

 

そしてこの商品の知財まわりとしては、キャラクターなどの著作権が中心になってくると思いますが、他には「うんこ」系商標を登録しまくってるところが面白いです。

うんこの第一人者になろうという強い意志を感じる(笑)。

 

イノベーションの役割

 

ところで、そもそも企業とはなんぞや?ということについては、こんなふうに定義されたりします。

将来への変化をどうするか模索するに際しても、(IN側から考えた製品ありきではなく)OUT側からバックキャストして、『顧客にどういった価値を提供できるのか』を出発点とした逆算の発想が必要になりますね。

このとき、現状と未来の間にギャップがあれば、それを埋めるのがイノベーション。
こんなイメージでしょうか。
そして、『意味のイノベーション』であれば、ハイテクも必要とせず大きな設備投資なしでも、生み出すことが可能です。
 
新しい商品・サービスを考える際には、下記の関連書籍などを是非ご参考になさってください。

 

 

以上、意味のイノベーションについて、事例紹介をしながらつらつらと述べました。

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