「商標・意匠・不正競争判例百選」読み合わせ勉強会No.12

毎週1回『商標・意匠・不正競争判例百選(第2版) 別冊ジュリスト』の読み合わせ勉強会に参加しています。勉強会の内容を自分的に整理した覚書メモです。

 

23.橘正宗事件(S33(オ)1104)

【テーマ】商品の類否判断基準

【メモ】

商品等の類否判断基準を判示した最高裁判決

○概要
X 「花橘政宗」×清酒 を登録(原登録商標)
Y 「橘焼酎」×焼酎 を登録
X 「橘政宗」×清酒 を出願(連合商標)→拒絶査定→ 拒絶審決→ Xが審決取消訴訟提起→、非類似の判決→Yが上告

○商品・役務の同一・類似に関する諸説
①出所混同説(本最高裁判決)
2つの商品に同一/類似の商標を使用するときに同一営業主の製造/販売にかかる商品と誤認されるおそれがあると認められる場合に、商品等は類似する
②商品属性説(原審判決)
商品等自体で判断

筆者により提示された枠組み(基準)
「出所混同説」でいう「2つの商品に同一/類似の商標を使用するときに出所の混同のおそれがある」を概念的指針とし、
具体的事案において問題となっている商品等間において混同を生じさせるおそれがあるか否かを評価する基礎となり得る要因(「商品属性説」が念頭におく原材料、品質、用途、形状等、完成品・部品の関係、生産部門/販売部門/流通経路の同一性/近似性、需要者の共通性…等)を抽出し、概念的に同一/類似と考えられる任意の2つの商標を仮に当該商品等に使用したとして、出所の混同が生じる恐れがあるか否か

○審査実務・近時の裁判例
・商標審査基準(4条1項11号)11.の項
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/20_4-1-11.pdf
「出所混同説」に依拠しているぽい
・近時の裁判例も、上記枠組み(基準)によって判断されているぽい

 

◆勉強会で話題になった点

商標の類否が商品・役務の類否に影響している事例はよく見る。
商品・役務の類否が商標の類否に影響している事例はあるか…?

 

24.PITAVA事件(H25(ワ)767)

【テーマ】含有成分の説明的表示

【メモ】

○概要
X「PITAVA」×薬剤 の商標権者
Y ピタバスタチンカルシウムを有効成分とし、販売名を「ピタバスタチンカルシウムCa錠 ○mg 「MEEK」などとするY商品(ジェネリック薬品)を販売。錠剤に「ピタバ」の文字を表記
Xが、Yの行為を商標権侵害として訴訟提起
(※関連特許権訴訟等も絡み、複雑な様相に。
医薬系特許的判例ブログ

2014.01.15 「興和 リバロ後発品 特許権・商標権侵害訴訟を提起」
興和は、同社が保有する商標に基づき、当該商標権の侵害のおそれのある高コレステロール血症治療剤「リバロ」(一般名:ピタバスタチンカルシウム)の後発品製造販売会社に対し、商標権侵害行為の差し止めを求める訴訟を、日産化学は、相模化成工業、日医工、

 

○争点&裁判所の判断
争点は、Yの標章表示が商標的使用といえるか否か。
裁判所は、Y有効成分の略称を記載したものであり、商標の使用とは認められないと判断。

○26条1項

本判決後に、改正により26条1項6号新設。
H27(ネ)10074 PITAVA事件は、26条1項6号が適用された最初の事件だったような(←記憶が曖昧)

 

◆勉強会での議論

・本件の取引者・需要者である医療関係者の間では、医薬品は略称では取引されないことが多い?

・患者については、「購入後の混同」も起こり得る…かも

・Xの商標「PITAVA」は、審査段階では、識別力が問題にならずに登録された

 

 

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