特に、せめぎ合っているときは、使用商標を登録商標と同一に

<平成26年(行ケ)第10118号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

今日は、なんと1か月以上前の判決を「最新判決」として紹介するという (^_^;)  うかうかしとったら、あっという間に1か月経ってしまった…

今日ご紹介するのは、被告さんの本件商標に対し、原告さんが無効審判請求したものの請求が認められなかったので、その審決を不服として取消訴訟を提起したという事案です。争点となっている無効理由は、4-1-10です。


■本件商標

無効審判請求の対象となった本件商標はこちら。指定役務は第43類「飲食物の提供」です。
 

■原告さんが過去に持っていた登録商標

 
原告さんは、「鶴橋 岩山海」「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」「海鮮!岩山海 布施(本)店」等の店舗で飲食物の提供を行っており、過去に上記の登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」を持っていました(指定役務は第43類「飲食物の提供」)。
ところが、本件商標「とっとり 岩山海」を被告さんに譲渡した以前の商標権者さんが、この登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」の登録を不使用取消審判で取り消したという経緯があります(取消2011-300439)。

なぜ取り消し審決がなされたかというと、
登録商標と同一の「海鮮炭火焼 岩山海」が表示されていることを示す証拠資料が不自然と認められ、また、店舗名の「海鮮!岩山海」と登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」の実質同一性が認められない等のため、
登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」の使用が認められないと判断されたからでした。

ちなみに、本件商標「とっとり 岩山海」の以前の商標権者さんが、この「海鮮炭火焼 岩山海」の商標登録取消審判を請求したのは、その商標権者さんが本件商標「とっとり 岩山海」を出願した日でありました。

その後、本件商標「とっとり 岩山海」が登録されたので、原告さんが無効審判を請求し、本件訴訟に至ったものと思われます(たぶん…)。
 

■本件訴訟における判断

本件訴訟では、主として、原告さんの使用している商標が、4-1-10でいうところの“周知”と認められるかが争点となりました。

原告さんは結構たくさんの証拠資料を提出したと思うのですが、結論として、裁判所は、原告さんの商標の周知性を認めませんでした。
その判断が判決文の20-26頁に詳細に述べられているので、興味のある方はご覧ください。どんだけ新聞、雑誌、テレビ等で取り上げられないと周知性が認められないかの参考になりそうです(判決文はこちら)。

そして、原告さんの商標の周知性が認められなかったこと等により、結局、裁判所は、原告さんの請求を棄却しました。


■コメント

この事案を見て最初に思ったのは、原告さんが過去に持っていた登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」が、もし「岩山海」の文字だけ(「海鮮炭火焼」の文字なし)の構成だったら、使用証拠として不自然なものを提出する必要もなく、使用商標との実質同一性もそんなに問題にならんかっただろうから、登録は取り消されずに、本件訴訟には至らんかったんだろうなーということでした。

しかし、さては「岩山海」だけでは登録できんかったのかな?

と思ったら、その通りでした。

商願2012-091880  「岩山海」  出願人は原告さん(4-1-11で拒絶理由通知)

商願2012-093995  「岩山海」  出願人は被告さん(4-1-11で拒絶理由通知)

上記2つの出願はまだペンディング中なんですが、なんと、出願日は、たったの6日違いです。

このような、かなりせめぎあっている事情があるときは、特に、別途登録できた商標(本事案でいえば原告さんが過去に持っていた登録商標「海鮮炭火焼 岩山海」)と実際の使用商標との同一性に、十分気を付ける必要がありますね…


次回も見ていただけるならぽちっと押してくださいな(。-_-。)/

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