商標登録は、商標を使用する商品・役務(サービス)を指定して行うのが基本であり、商標出願では商品・役務(サービス)の指定がキモとなります。

そして、商品・役務(サービス)の指定をするときは、まずは基本となる「類似商品・役務審査基準」を参照しますので、商標業務において「類似商品・役務審査基準」は必須文献といえます。

「類似商品・役務審査基準」は、毎年のように改訂されます。改訂によって、商品・役務の区分が変更になったり、新たな商品・役務が追加になる等するので、必ずチェックする必要があります。

来年も、1月1日から、新しい「類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2020版〕」が施行される予定です。

新しい基準では、これまで第30類一択だった「菓子」が、下記のように第29類と第30類に分かれるとのことです。

第29類:菓子(果物、野菜、豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)
第30類:菓子(果物、野菜、豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)

 
ふーん。

…てゆーか、「主原料」って、どゆこと!?
 

特許庁のHPによると…( https://www.jpo.go.jp/news/public/iken/document/190919_ruiji_kekka/01.pdf

(1)第29類に分類される商品の考え方
…これまで第30類「菓子」として取り扱ってきた商品のうち、主として、果物、野菜、豆類又はナッツを主たる材料とし、それらの根本的な性質を変えない程度の煎る、煮る、焼く、揚げる等の加工及び調味をしてなる商品が、第29類の「菓子(果物、野菜、豆類又ははナッツを主原料とするものに限る。)」に該当します。
例えば、「加熱した小石で蒸し焼きにし甘味をつけた栗の実」〔新村出. 『広辞苑』. 第7版. 岩波書店,2018年,p.83〕である「甘栗」や、「アズキ・キントキ・インゲンなどの豆類をゆでて糖蜜で煮つめ、汁気をよく切って砂糖をまぶした菓子」〔同上,p.85〕である「甘納豆」が該当します。
なお、じゃがいも等の野菜等をチップ状等の形に成型したうえで加⼯及び調味をしてなる商品についても、その根本的な性質が変わるものではないため、第29類に分類されます。

(2)第30類に分類される商品の考え方
…例えば、小麦粉やうるち米、もち米を主原料とする「せんべい」や、穀物としてのトウモロコシを主原料とするスナック菓子である「ポップコーン」のように、「穀粉及び穀物からなる加⼯品」に該当する商品は、第30類に分類されます。
また、「アイスクリーム」や「あめ」、「クッキー」、「チョコレート」、「ドーナツ」、「パイ」等のように、「ペストリー及びコンフェクショナリー」又は「チョコレート」、「アイスクリーム、シャーベット及びその他の氷菓」に該当する商品は、その商品を構成する原材料の中で果物やナッツ等が最も大きな割合を占めてなる場合であっても、これまでどおり第30類に分類されます。
すなわち、本商品表示中の「主原料」が指すものは、必ずしも、その商品を構成する原材料の重量の割合が最も大きいものとは限りません

なお、主たる原材料の加工の度合いが極めて高い等により、その根本的な性質が変わっている商品については、もはや上記第29類に含まれる商品の性質には該当しなくなっているため、第30類に分類されます。
例えば、「ようかん」は、「餡・砂糖などで作る棹物菓子の一種」〔同上,p.3011〕で、原材料の餡にはゆでた小豆等の豆が主原料として用いられていますが、もとの小豆からは、その加⼯の度合いが極めて高く、第29類の「加工済みの食用の豆類」の性質に該当する商品から、第30類の「コンフェクショナリー」の性質に該当する商品へと変わっているため、第30類に分類されます。
また、国際分類表の「アルファベット順⼀覧表」に掲載されている「チョコレートで覆われたナッツ菓子」についても、ナッツがチョコレートでコーティングされたことによって、第29類の「加工済みの食用のナッツ」の性質に該当する商品から、第30類の「コンフェクショナリー」の性質に該当する商品へと変わっているため、第30類に分類されます。

 
えー

「柿ピー」みたいなやつは、「柿」が第30類の「菓子」で、「ピー」が第29類の「菓子」ってことになって、両方を指定しなかんくなるの!?
 
いや、あの「ピー」は、上記でいう新設の第29類の「菓子」ではなく、現行 第29類の「加工済みピーナッツ」(「加工果実」系)?ということは、現行でも2区分になるってこと?
 
でも、「ピー」を”煎る”と、新設の第29類の「菓子」になるっぽいけど、そこんとこどうなの?

 
深い… 深すぎます…
(考えすぎ?)

 

また、クリティカルポイント(臨界点)の菓子が結構ありそう…

上記の説明では、「チョコレートで覆われたナッツ菓子」みたいに全体がチョコで覆われてるのは第30類の「菓子」に該当するとのことですが、そうではなく、「先端だけにちょこっとチョコがついたナッツ菓子」は、どっち?
 
“煮る”系だけど、加工の度合いが高いのか高くないのかよくわからん「きんとん(菓子)」はどっち?
 
 
こういった「どっち」問題に答えるべく、個々の商品がどちらに分類されるかについては、J-PlatPatの「商品・役務名検索」で公表されていくようですが、
公表されない商品がどっちに分類されるのかよくわからんかったら、とりあえず具体的な記載としておいて、審査官の判断を待ってみる、という手もありそうですね。

ちなみに、新設の第29類の「菓子」も第30類の「菓子」も、類似群コードは「30A01」みたいなので、相互に類似と推定されると思います(類似群コードが共通の商品は、相互に類似すると推定されます)。

 

ところで、新設の第29類の「菓子」は『果物…を主たる材料とし、それらの根本的な性質を変えない程度の煎る、煮る、焼く、揚げる等の加工及び調味をしてなる商品』とされてますが、
果実を煮たものでも、現行、「コンポート」や「果実の缶詰」は、「加工果実」系に分類されてますし、「ドライフルーツ」も「加工果実」系に分類されてます。
これらは、このまま「菓子じゃない」系として維持されるのでしょうかね…

 

このように、商品・役務は毎年チョコチョコ変わるので、年始は特に緊張感をもって出願書類作成に当たる必要があります。