おしゃれ用カラーコンタクトレンズの類否

<平成23年(行ケ)第10159号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

知財業界に生息している方なら、ちょっと忙しかったりするだけで、割りと軽く過○シラインを超え… いや、何でもないです(汗)。
考えたら前月から“軽く超え”をさらに軽く上回るペースで、最近、ちょと動悸が… いや、何でもないです(汗)。

こんな状態で酒飲んだらポックリいくんじゃないかと心配しましたが、昨日の会派の合格祝賀会も「だが屋」も、無事乗り切りました。
つか、「だが屋」では、お久しぶりの方や、大阪からいらしたイケメン2名にもお会いできて、楽しかったです。生き返ったわー、よかった、よかった。
で、お久しぶりの方がらみのネタがあるのですが、それはまた今度。

今日は、久しぶりに、意匠の判決をご紹介いたします。おしゃれ用カラーコンタクトレンズの意匠につき、3-1-3で類否が争われた審決取消訴訟です。

まずは、本願意匠と引用意匠を並べてみます。

本願意匠

次に、引用意匠

さて。

本願意匠と引用意匠は類似でしょうか?

…まず、JPOの審決における判断は、「類似」。

「やたっ、当たったー」
と喜んでいるアナタ、残念でした

なぜなら、裁判所の本判決における判断は、「非類似」だからです。

「非類似」っすか…
その理由を早く知りたい… (って、上で喜んでたのは、アナタでなくわたしだったのか(汗))

その前に、本願意匠と引用意匠のカラコンの模様ですが、ざっくり言って、3つの模様部を略同心円状に配置・構成しとりますね(=三重円状に、濃黒色の「外周部」・薄墨の斑点が集まった「内周部」、濃黒色の斑点が集まった「内周縁部」)。

で、本願意匠と引用意匠との違いはどこかというと、複数あるんですが、中でも、「内周縁部」が、本願意匠では濃黒色の斑点が不規則に連結して外側に向けて放射状に延びたりして「太陽のコロナ」状(原告さんの表現)になっとりますが、引用意匠では放射状に延びたりしとる部分がなくて割かし真円を描くようになっていて、中心部との境界が明確になっとるところがミソです。

で、裁判所は、それをどうやって判断したのでしょうか。その部分を抜粋いたします。

 『上記のとおり,本願意匠における「内周部」及び「内周縁部」は,全体的に淡い灰色に配色された下地に,濃黒色及び灰色に着色され,内周部から中心に向かって収束する方向に延伸する「棒状形状」(各棒形状は,太さ,長さが一様ではなく,また,やや曲がっているものもみられる。)が描かれていること,及び「棒状形状」が連結するように描かれていることなどの点に照らすならば,本願意匠は,看者に対して,ヒトの目との比較において,より自然で調和的,かつ穏やかな印象を与えるような美感を有するものと評価できる。これに対して,引用意匠における「内周部」及び「内周縁部」は,規則正しく配置された小円の集合により構成されていること,山形形状部等の全体の模様は,小円の大きさ,濃淡及び配置の相違のみによって表現されていること,山形形状部の高さ等が均一的,画一的であることなどの点において,引用意匠は,看者に対して,ヒトの目との比較において,自然らしさを捨象し,人工的,メカニカルな印象を与えるような美感を有するものと評価できる。』(判決文13頁)

 なるほど、ヒトの目との比較で美感を述べとりますね…
 実際にはめたときの感じは、本願意匠と引用意匠で結構違うんでしょうか。

 本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
 ↓↓↓
 

 あいぎ特許事務所のfacebookです!皆さんのおかげで固定URL取れました!ありがとうございます。
 よかったら「いいね」ボタンを押してあげてくださいねー。若手所員が中心となって頑張って更新しています(たまに姐御HMも登場)。
 

ちっちゃいことでも。
 被災地救援・復興ポータルサイト
 Todoke! 届け。被災地へ、心へ、明日へ。
 全社協 被災地支援・災害ボランティア情報

**********************************

※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【紹介記事】
  知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
  2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 2008/07/23 商標の話題で出演

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>

コメント

  1. Unknown
    情報ありがとうございました。一般の人には類似と見えても、業界人やその分野の需要者にとっては、細かい差異によって非類似かもしれませんね。大変参考になりました。

  2. Unknown
    ことうさん

    こんにちは!コメントありがとうございました。
    「だが屋」でお会いできてグッドタイミングでした。
    また面白そうな件があったらお知らせいたします~

タイトルとURLをコピーしました