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【米国特許】早期審査制度

2012.02.14
米国出願に適用される早期審査制度を、簡単にご紹介いたします。

1.請願(Petition)による早期審査制度

請願(Petition)により早期審査が適用される制度です。

(1) 審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)
 適用条件:独立請求項3つ以下and全請求項数20以下and複数従属クレームを含まないこと、先行技術調査の実施andIDS提出、先行技術文献に対する特許性の説明、庁費用支払い

(2)製造発明(Manufacture)
 適用条件:実施のための十分な資金及び施設、特許取得までの不実施、米国内での製造、先行技術調査の実施、庁費用支払い
 
(3)侵害(Infringement)
  適用条件:第三者による侵害行為の存在、侵害行為と特許発明(少なくとも1の請求項)との詳細比較、先行技術調査の実施、庁費用支払い

(4)環境改良発明(Environmental Quality)
 適用条件:環境改良発明であること、(有効性が明確でない場合は有効性の説明) ※庁費用は不要

(5)エネルギー関連発明(Energy)
 適用条件:エネルギーの発見/改良又はエネルギーの効率的な使用方法/保全方法に関する発明であること ※庁費用は不要
     
(6)DNA組み換え関連発明(Recombinant DNA)
 適用条件:研究が危険な可能性のあるDNA組み換え関連発明であること、発明と研究の危険性との関係の説明、庁費用支払い

(7)超伝導関連発明(Superconductivity)
 適用条件:超伝導関連発明であること ※庁費用は不要

(8)HIV/エイズ、癌関連発明(HIV/AIDS or Cancer)
 適用条件:HIV/エイズ、癌の診断/治療/予防に貢献する発明であること、貢献性の説明、庁費用支払い
  
(9)抗テロ関連発明(Countering Terrorism)
 適用条件:抗テロに貢献する発明であること、(貢献性が明確でない場合は貢献性の説明) ※庁費用は不要
 
(10) バイオテクノロジー(Biotechnology)
  適用条件:出願人が小規模企業であること、バイオテクノロジー関連発明であること、その発明がその企業の主要資産であること、審査遅延によるテクノロジー発展の阻害性の説明、庁費用支払い
 
(11)年齢、健康状態(Age or Health)
 適用条件:出願人のうち少なくとも1人が65歳以上又は病気のため出願手続が困難な状態にあること ※庁費用は不要

2.優先審査(Prioritized Examination)

いわゆる"トラック1"による優先審査です。こちらをご参照ください

3.特許審査ハイウェイプログラム(Patent Prosecution Highway (PPH))

通常、2-3か月でOAが発行され、12-18カ月で特許が発行されます。特許許可率は、PPHを利用しないケースでは46%(RCEを含む)なのに対し、PPHが適用されたPCT国内移行出願のケースでは91%、PCT-PPHが適用されたケースでは97%となっています(2011年10月現在)。

(1)パリ優先権主張出願、PCT国内移行出願に適用されるPPH
 適用条件:米国での審査開始前であること、日本出願における請求項の少なくとも1つが特許可能とされていること、米国出願の請求項の全てが日本出願の請求項と一致していること、必要書類の提出 ※庁費用は不要
 詳しくはこちらをご覧ください。 
 http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/patent_highway/uspto_japanese.pdf
 http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/patent_highway/epo-uspto-sinsei.pdf

(2)PCT国際段階成果物を利用するPPH(PCT-PPH)
 適用条件:米国での審査開始前であること、国際調査機関/国際予備審査機関作成の見解書において少なくとも1つが特許可能とされていること、米国出願の請求項の全てが国際段階で特許可能とされた請求項と一致していること、必要書類の提出 ※庁費用は不要
 詳しくはこちらをご覧ください。 
 http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/patent_highway/after_uspto_japanese_kai.pdf

 (3)Mottainaiプログラム
 適用条件:米国での審査開始前であること、Mottainaiプログラム参加国(第一国に限らない)において請求項の少なくとも1つが特許可能とされていること、必要書類の提出
 概要はこちらをご覧ください。 
 http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110617002/20110617002.pdf


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