さて、ある言葉やマークが「商標の内容(品質)をそのまま表すから商標でない」と判断されるようなものでも、使用された結果、「あの商品(サービス)のネーミング(マーク)だね」と認識されるようになることがあります。
このようなネーミングやマークは「商標としての出所識別機能を有するものとなった」として、登録が認められ得ます。アサヒビール(株)の商標で言えば「スーパードライ」(商標登録第2697682号)がその例です。
「本生」についても、そのことが主張の理由とされました。
キモは、出願された「本生」の形態で周知なのか否か、です。
「理由その2」:使用をした結果、出所識別機能を有するものとなった。
・カタログ、チラシ、新聞情報、TVCM等によって大々的に宣伝し、販売促進強化をした結果、発売後2ヶ月間に200万箱を売上げ、最速記録達成。平成13年2月の発売開始から平成17年末までの総売上数量は2億2840万箱(350ml換算で82億6152万本)。著名ブランドとしての地位を獲得。
・「アサヒホンナマ」と称呼して宣伝広告したとしても、「Asahi」は周知著名性を有するハウスマークなので、「本生」はそれと分離して認識され、単独で商品の出所を表していると取引者・需要者に認識される。
これに対する裁判所の判断
・ラベル等をよ~く見ないとこの態様で使用されていることを認識できないし、この態様はごく普通の書体で、特に注意を惹くものでもない。しかもラベル等では「Asahi」の文字が併記された態様で使用されている。
・商品名を「アサヒ本生」とすることを宣言した上で宣言広告活動を展開してきた等、「本生」は常に「アサヒビール株式会社」「アサヒビール」「アサヒ」と併記して表記されている。
・しかも、例えば「スカッと本格『生』」等のフレーズで宣伝広告し、「本生」を商品名として統一的に使用するというより、むしろ「本格」とか「生」の語等を商品の品質・特徴を説明・強調する目的で使用してきた。
・以上より、識別機能を有するのは「アサヒ」「Asahiを併記した本生」「アサヒ本生」であって、「本生」だけでは識別機能を有するもではない。
ということで、原告の主張する「理由その2」も認められませんでした。
あれほど売れている発泡酒のネーミングでも、出願された商標の形態そのものが周知でないと厳しめですね…
なお、「アサヒ本生」(登録第4520206号)、「Asahi本生」(登録第4520207号)は登録が認められています。
本日はこの辺で。
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