<平成9年(ワ)第10409号 商標権侵害差止等請求事件>(判決文はこちら)
商品商標は、包装容器やパッケージに付されることが多いですが、容器やパッケージには商標以外にも色んな情報がプリントされたりしています。
その中で、このマークは商標だと思いますか?
(→こちらの3ページ目の「被告標章目録ニ」の「always」「オールウェイズ」という文字。また、わかりにくいですが、2ページ目の「被告標章目録一」の白抜きの円弧に沿って記載された「ALWAYS」という文字。)
今回の事件では、この「always」「オールウェイズ」「ALWAYS」という文字を使うことが、原告の登録商標「オールウェイ」の商標権の侵害行為に該当するのか否かが争われました。
前提として、「商標」というのは、商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を有するものでした。逆に言うと、このような機能を果たしえない文字やマークは「商標」とは認められません。
それで、さっきの「always」「オールウェイズ」「ALWAYS」は、このような機能を果たすものでしょうか?
これについて裁判所は、
『・被告は、従来から「Always Coca-cola」等のキャッチフレーズを、キャンペーンの一環として、長期間にわたり大規模に宣伝広告活動を行ってきた、
・「always」「オールウェイズ」「ALWAYS」の文字は、著名商標である「Coca-Cola」に隣接した位置に一体的に記載されている、
・このキャッチフレーズは、商品の購買意欲を高める効果を有する内容だと理解できる表現である、
~などなどから、「always」「オールウェイズ」「ALWAYS」を見た一般顧客は、販売促進のためのキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識するものと解される。
~これらの表記は、いずれも商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を果たす態様で用いられているとはいえないから、商標として用いられているとはいえない。』
としました。
そして、『被告の商品に付された文字やマークのうち、識別力を有する要部は「Coca-cola」の部分である』として、原告の登録商標「オールウェイ」とは外観、称呼、観念のいずれも類似せず、被告の行為は侵害行為ではない、と判断しました。
…というように、自分の登録商標と似たような文字やマークが使われているからといって、全てが侵害行為に該当するわけではありません。早とちりしないように要注意です。
本日はこの辺で。
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