<平成18年(ワ)第4933号 不正競争行為差止等請求事件>(判決文はこちら)
毎日インターネットを見ていると色んなヒット商品が次々と出てきます。最近では「ビリーズ○ートキャン○」とか…。
ところで、こんな耳かきをご存知ないでしょうか。目にしたことがあるという方も結構多いと思うのですが、この商品の形態は「周知」とか「著名」といえるのでしょうか?
ところで商品の形態自体は、本来は商品の機能・効用の発揮、商品の美感向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示する目的を有するものではありません。これが、出所表示機能を本来的に有する「商標」とは異なる点です。
しかしながら、
『商品の形態が独自の特徴を有し、かつ、その形態が長期間継続的&独占的に使用されるか、又は短期間でも強力な宣伝等が伴って使用されることで、その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合は、不正競争防止法に規定する「商品等表示」であるとして保護されることになる』
と裁判所は述べています。
それで、上記の耳かきですが、原告は、自分の耳かきが不正競争防止法に規定する「商品等表示」に該当するとして、その耳かきと似たような商品を製造販売した会社を訴えました。
これに対して裁判所は、上記耳かきが「商品等表示」に該当するか否か、どのように判断したかというと…
『・原告製品の先端の形態は、他の耳かきとは異なる独自の形態を有している。が…
・耳かきが日用品であること等を考えると、原告製品の形態の周知性・著名性は、日本全国における一般消費者を需要者として、また、一般の薬屋、雑貨屋、コンビニエンスストア等を取引者として考えるのが相当である。しかしながら、その販売数(H11~H18まで累計55万強)は、日本全国の一般消費者の数あるいは日本全国の世帯数を考慮すると多いとはいえない。また、一般の薬屋や雑貨店等で広く扱っていることは認められない。
・また、新聞・雑誌等の紹介記事があるものの、大規模なものではなく、しかも原告自らが宣伝広告をしていないことを考えると、これらの紹介記事により広く一般需要者及び取引者に知られているということは困難である。
・テレビやラジオでの紹介も、深夜や早朝の番組であったり、特定地方に限られる等、これらにより原告製品の形態が一般需要者及び取引者に周知、著名であったと認めるのは困難である。
・原告製品を選択し購入する場合、心地よさ等の使用感や効率よく耳垢をとることができるか等の機能性が重要な役割を果たしているものと推認されるのであって、購入動機を直ちに不正競争防止法が保護している周知・著名商品等表示の営業上の信用と結び付けることは短絡にすぎる。』
というわけで、原告の耳かきは不正競争防止法に規定する「商品等表示」に該当しない、と判断しました。
なお、
『構成とか機能については、特許法や実用新案法による法定期間内の保護が認められるし、デザインについては意匠法による法定期間内の保護が認められるので、不正競争防止法によって半永久的に保護を認めるのも、特許法等による保護とのバランスからしても相当でない。』
とも判示しました。
このように、不正競争防止法の「商品等表示」に該当するとの判断を得ることは、なかなか難しいです。
特許や意匠などの権利を取得しておけば、確実に保護されたかもしれませんね…。
本日はこの辺で。
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