昨日の続きです。
スニーカー・カジュアルシューズ(短靴)に使われている「<<」の図柄模様がヒュンメル社の周知な商品等表示であると認められたか。
まず「<<」の図柄模様がヒュンメル社の商品等表示に該当するということは認められました。
ヒュンメルブランドのサッカーシューズ・フットサルシューズのほとんどやカジュアルシューズの大半に共通する図柄の特徴であり、他の主要ブランドの商品中には存在していないということで。
ただ、周知性については、誰の間で(どの需要者層に)広く知られていたのか、が問題です。
確かに、ヒュンメルブランドは、サッカー愛好家の間では独自の周知性を獲得していたと認められました。
しかし、被告が製造販売していたのはスニーカー・カジュアルシューズ(短靴)です。ということは、サッカーとの関係の有無を問わない一般消費者が需要者層であり、その需要者層の間で広く知られていたかどうかが問われるわけです。
で、その観点から検討した結果、
・雑誌のスニーカー特集で2期続けて人気23ブランドの1つに数えられており、価格が1万円を超えるような高級スニーカーの購入者層に対してはそれなりの知名度を有している。
しかし、被告商品は価格が1980円~2980円であり、ブランド物の高級スニーカーの需要者層より広く、ブランドに対する興味が格別高いというわけではない一般的な消費者を需要者層とするものだから、雑誌記事はあまり関係ない。
・アンケート調査によると、一般消費者の間では、ヒュンメルブランドのスニーカー又は同じブランドと思われるスニーカーと、アディダス・ナイキのスニーカーとの認識・記憶度に極めて大きな差がある。ブランド名についてもヒュンメルはそもそ一般消費者の間で認識度が低く、アディダス・ナイキとでは大きな差があり、図柄とブランド名の認識度にも極めて大きな差がある。
・以上に加え、「<<」の図柄はヒュンメルブランドの全品目の約3分の2に過ぎないし、ブランド物でないスニーカーの市場では「<<」っぽい他社商品が複数あるし、そもそも「ヒュンメル」の認識度が低いので「<<」がヒュンメルの図柄模様と被告商品の消費者の間で広く認識されているとは認められない。
したがって、スニーカー・カジュアルシューズ(短靴)に使われている「<<」の図柄模様がヒュンメル社の周知な商品等表示であるとは認められませんでした。
ですので、被告商品の製造販売は権利侵害ではないという結論です。
被告商品の消費者が、わたくしのように高級ブランドスニーカーに疎い、しかもサッカーにあまり興味のない人達なので、こういう結論になったのですね…。
本日はこの辺で。
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