<平成19年(ワ)第15231号著作権侵害行為差止等請求事件>(判決文はこちら)
商標の事件ではありませんが、ちょっとおもしろかったのでご紹介致します。
この事件の原告は、官僚問題、マスコミ問題などを取り上げてきたジャーナリストさんで、近年は、年金問題を多く取り上げている方です。
被告は、「国」です。代表者は、鳩山法務大臣(発言が軽めの弟くんの方)です。
問題となったのは、原告が雑誌に掲載した執筆記事が、社保庁のLANシステムの電子掲示板にそのまま掲載されたことです。
社保庁のLANシステム、社会保険庁の内部部局におかれる課や、社会保険庁大学校、社会保険庁業務センター、地方社会保険事務局、社会保険事務所が利用できるそうです。
原告は、社保庁の行為は、複製権(著作物をコピーする権利)・公衆送信権(著作物を公衆に向けて送信する権利)の侵害だとして、国を訴えました。
なお、公衆送信権は、その前段階としてサーバーへアップロードする行為にも及びます。で、アップロードするとサーバー内にコピーができるので、複製権も侵害することになります。
さて、国側はまず、社保庁の複製行為(記事の転載行為)は42条1項に該当するので著作権侵害にならない、と主張しました。
42条1項というのは、「行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合」に「必要と認められる限度」において複製しても著作権侵害とならない、という規定です。
国側の主張によると、原告の雑誌記事を掲示板に掲載したのは、国民から社保庁に寄せられる苦情は報道等を契機にしていることが多いので、速やかに報道等の内容を把握し、統一的な応答を社会保険事務所等に周知・徹底せしめるため、ということです。
また、そもそも著作権侵害とならない複製物(転載記事)を公衆送信の方法で利用したとしても、42条1項の目的に沿っている限り、公衆送信権も侵害しないことになる、と主張しました。
国側の主張は受け入れられたでしょうか?
…答えは次回。
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