<平成20年(行ケ)第10220号審決取消請求事件>(判決文はこちら)
昨日の午後は腰痛レベルが最高潮に達しておりました。座っとれんし、立ってもおれん。皆さん、こんなときどうしてますか?。でも夜は痛み止め(アルコール)が効いたのか、調子がよかったです(ペインクリニック的効果)。
と思ったら、今朝は痛み止めの効き目が切れたようで、またぶり返しております。
さて、本日の事件は、無効審判の請求人が原告となって提訴した審決取消請求事件でございます(つまり、審判で商標登録が無効にならなかった)。
その登録商標(本件商標)はこちら。指定商品は第11類「家庭用・業務用電気式床暖房装置」です。
(ちなみに商標権者である(株)ScutSystemのHPはこちら)
原告(無効審判請求人)が主張した無効理由は、4条1項7号・10号・15号でした。
ところで、この事件の原告(無効審判請求人)と被告(商標権者)との関係が、ちょっと複雑で…(判決文9頁~12頁)。
思いっきり端折ります。
・むかし、日本地場産業という会社がありました。この会社は、「Scut床暖房」等の商標を使用して床暖房を製造販売しておりました(H10~)。
・その後、日本地場産業は倒産してしまいました(H14)。原告(無効審判請求人)は、日本地場産業が倉庫及び事務所として賃借し、譲渡担保の対象とされた機械類、工具、資材等が置かれていた建物について、日本地場産業に代わって賃貸借契約を締結し、その占有管理をするようになりました。
・一方、かつて日本地場産業の取締役だったAさんは、倒産後、個人で「S-cut床暖房」等の商標を使用して床暖房の販売活動をしておりました。そして、H15には、Aさんの事業を引き継ぐ形で被告(商標権者)が設立され、「S-cut床暖房」「エスカット床暖房」の商標を使用して、床暖房の販売活動を行うようになり、現在まで継続しております。そして、AさんはH18に被告の取締役に就任したのですが、その少し前に原告は本件商標を出願していたのでした。
・さて、そんなこんなの中、原告は、複数の別業者とつきあっておりました。例えばエフアールエーという業者と製造販売委託契約等を結んでおります(H17.3月)。エフアールエーは自ら「FH-Scut床暖房」という商標を使用して床暖房の製造販売を行うようになったのですが、原告との関係が悪化して、原告との契約は解除されました(H17.6月)。しかし、エフアールエーは原告と無関係に、「FH-Scut床暖房」商標を使用して床暖房の製造販売を継続しました。そして、エフアールエーは、「エフエッチエスカット」という商標の登録を受けました(H18.6月)。
・一方、原告は、三栄工事と、三栄工事がScut商標を使用して床暖房の製造販売を行うこと等を内容とする業務提携契約を締結し(H17.5月)、その頃から三栄工事はScut商標を使用して床暖房の製造販売を行っています。
…けっこう端折ったのに長い…
それで、本事件における原告の主張ですが、本件商標が4条1項7号に該当する理由としてこう述べています。
『Aは,もともと日本地場産業の取締役であり,日本地場産業が事実上倒産し,原告が日本地場産業の一切の権利関係を引き継いだことを熟知していたこと,そのことを前提として,Aは本件床暖房の販売活動をしたいと原告に申し入れていること,原告と小林産業との間の取引解消の原因となっていること,被告の設立はその時期であること,被告はAの営業を引き継いで法人なりした会社であるにもかかわらず,Aが当初取締役となっていないこと,Aが被告の取締役となったのは,本件登録出願が行われて約6か月が経過してからであることなどからすると,被告による本件登録出願の経緯には著しく社会的妥当性を欠くものがあり,その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきである。
なお,原告も日本地場産業から承継した権利関係を手続もせずに漫然と放置していたわけではなく,平成15年12月9日,意匠登録出願をしている。
したがって,本件商標は,商標法4条1項7号に該当する。』
さて、さて。
裁判所は、4条1項7号は、
『商標の構成自体が公序良俗に反する場合のみならず,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合にも認められるものと解するのが相当である。』
としています。
それで、原告の登録出願の経緯は、著しく社会的妥当性を欠く等と判断されたのでしょうか?
…原告と被告の関係に少々疲れたので本日はこの辺で。
明日も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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コメント
バリ島なんでも質問箱
何でも答えます。
本当はもっと根深い
私は、倒産した日本地場産業や取締役Aさんも存じています。当時の関係者(取引先等)は、多大な金銭的な被害だけでなく、嫌な思いをさせられました。又、利権関係等色々主張をなさっていますが、何の根拠があって主張されているのか理解出来ません。又、その利権を認め、対価等を支払い、利権をそれぞれ主張なさっている会社が数社あった様ですが、旧日本地場産業の関係者が元々主張されている事に根拠はあったのでしょうか?甚だ疑問に思います…。
Unknown
コメントありがとうございます。
当事者の方は判決文に現われない事情までご存知でしょうから、感じられることが多いのですね…