〇プチトピックNo.1(商標編)
あれれ?iPhoneが中国でも商標ですったもんだしたようですね…(サーチナの2010/01/05の記事より)。
〇プチトピックNo.2(日常編?)
冬至は過ぎたものの、家を出る頃はまだ星が輝いてるし、かなりさぶいです。そんな中でもジョギングしてる人がいるんですよね…素晴らしすぎます。
さて。
本題の昨日の続きです。フォーカスポイントは、“商標権者(原告)が標章を使用している「M型形鋼」は「鋼」に該当するや否や?”でございました。
特許庁は「否。むしろ「建築用又は構築用のスチール製専用材料」である。「鋼」については使用してないから登録を取消す」として取消審決を出したのでありましたね。
そして、裁判所の判断は?
ちょっと長いけど判決文10~13頁からそのまま引用いたします。
『(ア) 原告が登録商標を使用した原告商品が,被告において登録商標の取消しを求めた指定商品である「鋼」に含まれるか否かを判断する(なお,取消審判の争点は,原告が登録商標を使用した原告商品が,商標法施行規則6条別表所定の「鋼」に形式的に該当するか否かではなく,原告商品が,被告において取消しを求めた指定商品である「鋼」に該当するか否かである。この点は,商標法50条1項は,登録商標の不使用を理由として,登録商標の取消しを求める者は,登録商標に係る指定商品等の全部又は一部の任意の指定商品を選択して,その取消しの審判を求めることができる趣旨,同条2項は,商標権者等において,審判請求人の取消請求に係る指定商品等の使用をしていることを証明しない限り,その指定商品等に係る登録商標の登録の取消しを免れない趣旨を,それぞれ規定していることから明らかである。)。
上記のとおり,原告は,審判の請求の登録がされた平成19年11月6日の前3年以内に,原告商品の宣伝広告,見積書,契約書等に,使用標章を表記してこれを使用している。そして,原告商品は,次のとおりの特徴を有している。すなわち,①原告商品は,断面形状につき,直角に互い違いに6回折り曲げて構成されたM字型様の鋼材(形鋼)であること,②原告商品は,国土交通大臣から,安全上,防火上又は衛生上必要な品質に関して,建築基準法所定の認定を受けた建築材料(構造用鋼材及び鋳鋼)であること,③原告商品は,住宅,店舗等の建物の材料として使用されることが多いが,その他,駐車場等の構造物,ごみ収集箱,テーブル,棚等の材料として使用されることもあること,④原告商品は,オーストラリアのCDS-Nu-Steel社が製造し,原告が同社から輸入販売しているものであること等の性質及び特徴がある。
原告商品は,このような性質・特徴を持った典型的な鋼材であるから,被告において登録商標の取消しを求めた指定商品である「鋼」に含まれることは明らかである。
(イ) この点,被告は,原告商品が「建築用又は建築用のスチール製専用材料」に該当するから「鋼」には含まれない,したがって,審決の認定,判断に誤りはないと主張するようである。
しかし,被告の主張は,以下のとおり失当である。
商標法50条は,何人も,登録商標に係る指定商品等について,その登録商標の取消しの審判を請求することができる旨,及び,被請求人(商標権者)が,その請求に係る指定商品等のいずれかについて登録商標の使用を証明しない限り,登録商標の取消しを免れない旨を規定する。不使用取消しに係る審判請求人において,広範な範囲の指定商品等を不使用取消請求の対象として選択すれば,広範な範囲で取消しの効果を得ることができるが,他方,被請求人(商標権者)は,広範な範囲の指定商品等のいずれかについて,登録商標を使用していることを証明することによって,登録商標の取消しを回避することができ,立証負担は軽減されることになる。同条は,そのような公平の観点から規定されたものであり,不使用取消に係る審判請求人は,これらの得失を考慮して,取消しを求める指定商品の範囲を選択することになる。
ところで,本件において,被告が請求した本件不使用取消しの審判は,指定商品「鋼」についての登録商標の不使用を理由とするものであって,「建築用又は建築用のスチール製専用材料を除外した,その余の鋼」についての登録商標の不使用を理由とするものではない(このような特定方法が,取消請求の適法な特定として許されるか否かについて,ここでは言及しない。)。そして,原告(登録商標権者)は,同審判において,本件商標を「鋼」について使用したこと証明できた以上,不使用を理由とする取消しを免れるのはいうまでもない。
なお,本件商標の指定商品は,「鋼」とともに「建築用又は構築用のスチール製専用材料」の両者が併記して登録されているが,そのような指定商品の登録があるからといって,指定商品「鋼」の意義を,下位概念である指定商品を除く趣旨に解釈しなければならない根拠とはなり得ないのみならず,被告のした不使用取消審判の対象とした指定商品について,「建築用又は建築用のスチール製専用材料を除外した『鋼』」と解する根拠にもなり得ない。』(下線は私が付しました)
つまり、裁判所は、「鋼」と「建築用又は構築用のスチール製専用材料」は並列関係でなく、上位ー下位関係にあるとし、「建築用又は構築用のスチール製専用材料」についての使用によって「鋼」についての使用が証明されたと判断したのでした。
それで、取消審決が取消されたのです(いつも思うけど、取消審決の取消し…ややこやしい~)。
…本日はこの辺で。
次回はきっともっと軽いハナシだと思います。
ので、次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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