<平成20年(ワ)第19774号商標権侵害差止等請求事件>(判決文はこちら)
本日は「シルバーヴィラ商標権侵害事件」を取り上げたいと思いますが、
「事件の概要その他は大塚先生の「駒沢公園行政書士事務所日記」で見てね」
という、何ともおーちゃきー感じ(横着な感じ)で済ませようという魂胆です。
大塚先生、許してー。
で、このブログでは、私がこの事件でおもしろいと思ったトコだけピックアップしてご紹介いたします。
■おもしろいと思ったのは、原告さん所有の登録商標の指定役務「老人の養護」の解釈についてです。
「老人の養護」という役務は、原告さん商標の出願時に施行規則に掲載されていたもので、類似群コード42W02が付されておりました。
そして出願後に、施行規則の改正により、現在の第44類「介護」と第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)」に分けられました。類似群コードは42W02となっています。
このことから、原告さんは
『「老人の養護」には,「介護」と「高齢者用入所施設の提供」の双方が含まれ,医学的管理下における介護も含有する。』
と主張していました(判決文8頁)。
これに対し、裁判所は、このように解釈しています(判決文29頁)。
『「養護」とは,①危険がないように保護し育てること,②学校教育で,児童・生徒の健康の保持・増進に努めること,③心身障害又は社会的な理由で,特に手当を必要とする者を保護し助けることをいうものと認められる(新村出編「広辞苑第6版」)。
したがって,「老人の養護」とは,老齢又はこれに伴う心身障害により,特に手当を必要とする者を保護し,助けることを意味すると認められる。』
ま、裁判所が類似群コード云々等を考慮する必要はないのですが、専ら広辞苑に基づいて解釈してるところがちょい興味を惹きました。
一方、被告さんが行っている役務については、同じく広辞苑での意義やら介護保険法の規定に照らして、このように述べています(判決文30、31頁)。
『被告がシルバーヴィラ揖保川において提供する役務は,前記(1)の「老人の養護」の意義(老齢又はこれに伴う心身障害により,特に手当を必要とする者を保護し助けること)に該当し,少なくともこれに類似するものと認められる。』
『居宅介護支援事業所は,介護そのものを役務として提供するものではないが,介護を要する者に対し,適切な介護サービスの提供が確保されるための役務を提供するものであることから,前記(1)の「老人の養護」の意義(老齢又はこれに伴う心身障害により,特に手当を必要とする者を保護し助けること)に含まれ,少なくともこれに類似する役務ということができる。』
したがって、被告さんが各施設において提供する役務は、原告さんの商標権の指定役務に含まれ、又は類似する、としています。
本日は以上です!
…え…おもしろくなかったですか…orz すんません。
これに懲りずにまた見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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※ちなみに、被告さんは、この裁判の最中に本件商標の登録について不使用取消審判を請求しておりましたが、請求は認められておりません(取消2009-300134)。
※あと、すげー細かいとこだけど、判決文49頁の「商標法51条」って「商標法50条」の誤り?
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この記事をご覧になって、商標などに興味を持たれた方は…
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