<平成22年(行ケ)第10114号審決取消請求事件>(判決文はこちら)
今日はアマゾンのハナシはちょいとお休みです。
唐突ですが、皆さん、うどんは好きですか?
名古屋といえば「きしめん」を思い浮かべる方も多いと思いますが、名古屋市内でふつーに「きしめん」を食べている方ってそれほど多くないように思います。名古屋といえども「うどん」がスタンダードなのです。
そんな名古屋にも数年前から「讃岐うどん」な波が押し寄せてきており、大別すると「丸亀製麺」と「讃岐製麺」が勢力を二分している感じです(たまに「花まるうどん」あり)。
で、早速IPDLをたたいてみる(第43類「飲食物の提供」系限定で)。
↓↓↓
・「さぬき\丸亀製麺\うどん 」(登録第5310243号)、「讃岐 釜揚げうどん\丸亀製麺∞丸亀\製麺 」(商願2010-31742)
・「自家製麺∞讃岐\製麺∞讃岐\製麺」(登録第5334584号)
さすがに「讃岐製麺」の方は、文字単独ではなくて、図が入っていたりします。
では、
「讃岐庵」という標準文字で、
「飲食物の提供」系ではなく、第30類「穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,調味料」の商品を指定した場合、
登録され得ますでしょうか?
…というのが、本日ご紹介する審決取消訴訟なのでした。
○その前段階の拒絶査定不服審判(不服2009-6464)では、本願商標「讃岐庵」(標準文字)は、「穀物の加工品」との関係で、3条1項6号&4条1項16号に該当する、という審決が出ておりました。
ちなみにこの審決では、「讃岐庵」のと同一の使用例が少ないという出願人(請求人)の主張に対して、このように述べておりました。
『商標法第3条第1項各号は、当該商標が、自他商品の識別標識として機能する部分を有していない場合は、登録できない旨を定めたものであるところ、その判断に当たっては、「取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、適用する時点において、当該表示態様が、現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである。」(平成13年12月26日 東京高等裁判所 平成13年(行ケ)第207号)と判示していることから、本願商標「讃岐庵」と同一の使用例が少ないからといって、商標登録を受けることはできない。』(なお、平成13年(行ケ)第207号は「フラワーセラピー」の識別性に関して争われた審決取消訴訟です。)
○この審決の取消しを求めて争われた今回の訴訟ですが…
判決の中では、
・「讃岐」は「讃岐うどん」の産地として全国的に有名な香川県の旧国名であり、また、うどんを提供する店舗において、「うどんのめん」を商品として販売することも一般に行われていることからすると、「讃岐庵」を「うどんのめん」に使用するときは、取引者・需要者は「讃岐うどんを販売又は提供する店」又は「讃岐うどんを販売又は提供する店が販売するうどんのめん」と認識するので、本願商標は識別力を欠く、
↓
・「飲食物の提供」を行う店舗の店名や屋号として「讃岐庵」が多数存在するので、「讃岐庵」自体に識別力が備わっていると認めることはできない、
↓
・ゆえに、このように識別力のない商標は独占適用性がなく公益上適当でない、
旨が述べられ、3条1項6号該当性が肯定されています(判決文6頁)。
また、4条1項16号該当性も肯定され(判決文7頁)、請求は棄却されました。
ちなみに、「飲食物の提供」系では、「さぬき庵」(毛筆で書いたような書体)が登録されていたりします(登録第4655056号)。個人的にはこの「さぬき庵」の存在が色んな意味で気になったりしたのでした…
本日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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【告知】8月27日(金)に東海地方の知財系親睦会「だが屋」が開催されます!詳しくはこちら。
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
内容はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォ
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コメント
Unknown
こんにちわ
最近影が薄いですが、サガミ系列の「どんどん庵」ってありますよね。
自分で麺を湯がいてダシを蛇口からドボドボっと入れるスタイルで、最近のなんちゃって讃岐うどんとは一線を画しているのですが、
肝心の麺が「なんちゃって」なのが残念だったりします。。。
この「どんどん庵」、通ってた高校のそばにあって、部活の後140円の素うどんで2時間ぐらい粘ってました。懐かしい想い出です。
そう言えば昔、水沢うどん事件の検討に際に、「すいざわうどん」と読んで恥をかいたことがあります。
Unknown
m-kenさん、おはようございます!
いつもお世話になっとります(笑)。
「どんどん庵」、自宅の近くにまだありますよー。
この間、久しぶりに蛇口汁を堪能いたしました。
イカ天も付けてね。
「水沢うどん」…伊香保の近くの岩場に行ったとき食べ逃しました…orz
Unknown
しばらくです。
私は「きしめん」がいいですね。
理由は簡単。
「うどん」は、粉がよくないのか、うまくない。
「そば」は、半分以上が小麦粉で、そばの味がしない。
残るは「きしめん」という訳で。
ちょっと寂しい選択。
なんちゃって讃岐うどんは、感心しませんね。
讃岐の人が食べたら驚くのでは?
粉に問題があると思うのですよ。
で、うどんといえば「五島うどん」!!
長崎空港の1階、思いのほか美味い。
Unknown
hisashi49さん、お久しぶりです!
消去法的「きしめん」派なんですね…
実は私は「きしめん」も「うどん」も「そば」もそれほど食べなかったりする派(どんな派?)ですが、
強いていえば冬の「味噌煮込みうどん」派かなー。
「五島うどん」…
食べに行くには遠いです…orz