昨日は、弁理士試験に合格した若手Kくんのお祝い会でした。自分は昼間に外食産業フェアのセミナー講師をした関係でお酒を入手し、それをお祝いにあげました。(Kくん、北陸出身で日本酒好きだから)。合格したことだし、これから呑みに付き合ってね~。
さて。
本日は金曜日なので、商標の新着審決をご紹介します。張り切っていってみよー!
■■■商標新着審決【50条等取消系】
●取消2009-300691
本件商標
指定商品:第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品」
「SANTEC\サンテク」(二段横書き)
使用商標
各種の乾電池を扱う通信販売に係るホームページ、納品書等で、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用
本件商標(第2158035号)の指定商品中、請求に係る「電池」等について、不使用とされず登録は取消されませんでした。
*商品についての使用: 『請求人は、被請求人の取扱いに係る商品は「パナソニック(株)」等他社の商品であるから、小売業務において行われる顧客に対する便益の提供であり、被請求人の商標の使用でない旨述べている。
ところで、商標法第2条第3項では、「この法律で標章について『使用』とは、次に掲げる行為をいう。」とされ、同法同条同項第8号では、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定されている。
これを本件に当てはめると、被請求人は「パナソニック(株)等の商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法(ホームページに掲載)により提供する行為」を行ったといい得るものである。
そうとすると、被請求人の商標の使用が、小売りに属すものであるかどうかはさておき、販売する商品に自己の商標を付さなければ、使用と認められないということもないものであるから、請求人のかかる主張は、採用し得ない。』
●取消2008-300942
本件商標
指定商品:第3類「発毛効果を有する養毛料」
「養毛力」
使用商標
ヘアケア商品を紹介するパンフレットにて使用
本件商標(登録第4284388号)は不使用とされず登録は取消されませんでした。
*商品についての使用: 『商標法上の商品分類は、商品の混同を防止し商標使用者の業務上の信用と需要者の利益を保護する法の目的に即し、取引の実情を考慮して分類されているものであり、いわゆる「養毛、育毛」を目的とする商品は、前記のとおり、特定の疾病の治療薬(医薬品)として取引されるもの」は、第5類「薬剤」に属するものであるが、そうではなく「人体に対する作用が緩和なものであって、・・・毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するもの」は、第3類「化粧品」の範疇に属するものである。
そうとすれば、その商品の用途、性質、効果、効能等を考慮し、仮に、「薬剤」に近い効果、効能を有する場合があるとしても、特定の疾病の治療を目的としない場合は、商標法上第3類「化粧品」に属するものと解して差し支えないものである。』
『…「ヘアケア商品」及び「ヘアドクターが開発した商品」と記載して数種類の商品を紹介している。そしてそのひとつである「養毛力」の紹介には、「発毛育毛促進剤」、「養毛剤」及び「発毛促進剤」等の表示があるものの、特定の疾病の治療を目的する「医薬品」又は「医薬部外品」の表示はない。
そうとすれば、商品「養毛料」について、仮に、その効果、効能を強調するかのように「発毛育毛促進剤」、「養毛剤」及び「発毛促進剤」の文字を使用していたとしても、そもそも「ヘアケア商品」として該商品を紹介し販売していると認め得るものであるから、「発毛育毛促進剤」、「養毛剤」及び「発毛促進剤」の表示があるとしても、それをもって直ちに「薬剤である」ということはできない。
また、商標法第5類の「薬剤」は、上記(3)のとおり、特定の疾病の治療薬(医薬品)として取引されるものに限られるから、特定の疾病の治療を目的等を記載していない本件使用は、第3類に属する「化粧品」の範疇に含まれる商品「発毛効果を有する養毛料」の使用と認めて差しつかえないというべきである。』
■■■商標新着審決【その他】
●不服2009-3208
本願商標
指定役務:第7類、第9類、第37類の商品・役務
「AMC株式会社」
引用標章
「A・M・C株式会社」
本願商標(商願2007-116199)は4条1項8号に該当しないと判断されました。
*4条1項8号該当性: 『商標法第4条第1項第8号が、他人の名称等を含む商標について、商標登録を受けることができないと規定する趣旨は、当該他人の人格権を保護する点にあるところ、他人の「名称」について著名性を要件としていないのは、「名称」は、通常登記申請等の所定の手続を経て決定され、登記簿によってこれを確認できるものであり、恣意的に選択する余地がないことによるものと解される。
以上の趣旨よりすれば、商標法第4条第1項第8号の「名称」に該当するというためには、その商標が、他人の名称と同一であることを要するというべきである。
これを本件についてみるに、当審において嘱託により引用会社の登記簿事項証明の調査を行ったところ、引用会社の名称は、「A・M・C株式会社」であった。
しかして、本願商標「AMC株式会社」と 引用会社の名称「A・M・C株式会社」とは、中点の有無に差異を有しているため、同一であると認めることはできない。』
●異議2009-685017
本件商標
指定役務:第14類「Watches and jewellery.」
「OLIMP」
引用商標1
指定商品:第3類、第14類、第16類及び第25類の商品
引用商標2
指定役務:第41類「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催」等
「オリンピック」
引用商標3
指定役務:第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,スポーツの企画・運営又は開催,映画の制作」
「OLYMPIC」
本件商標(国際商標登録第955999号)は4条1項6号、4条1項15号、4条1項7号又は4条1項19号に該当しないと判断されました。
*4条1項6号該当性: 『外観については、それぞれの構成よりみて十分に区別できるものである。称呼については、本件商標より生ずる「オリンプ」の称呼と、引用商標より生ずる「オリンピック」の称呼とは、その音構成において語頭からの「オリン」の音を共通にするも語尾音及び後半部の音の「プ」と「ピック」の音に明確な差異を有するものであり、称呼上明確に聴別し得るものである。観念については、本件商標は、特定の観念を生じ得ないものであるから、両者は観念上比較し得ないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても十分に区別し得る非類似の商標といい得るものである。』『、「OLYMP」の欧文字から始まる言葉、例えば、オリンピック競技大会を指標する著名な標章「OLYMPIC」、古代オリンピック競技会発祥の地である「OLYMPIA」、国際オリンピック大会の意味を有する「OLYMPIAD」及びオリンピック競技大会の出場選手の意味を有する「OLYMPIAN」の語が、申立人の運営するオリンピック競技大会と極めて関連性の深い語であるとしても、該「OLIMP」の文字がオリンピック競技大会を指標する著名な標章「OLYMPIC」の略称などとして使用されているものではないことから、本件商標は、単なる造語として理解されるものであって、「OLYMPIC」(オリンピック競技大会)を想起するものということはできない。』
■■■商標新着審決【3条1項各号(&4条1項16号)・2項系】
●不服2010-8384
本願商標
指定役務:第16類「棒状の筆記具」
本願商標(商願2008-57547)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『構成中の各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって、外観上、まとまりよく一体的に表現されているものである。
そして、たとえ構成前半の「STICK」の文字が「棒、棒状のもの」の意味を有し、また、構成後半の「PAINT」の文字が「塗料の総称」の意味を有するものであるとしても、原審説示のごとき商品の品質を直接かつ具体的に表示するものとして直ちに理解できるものとも言い難い。』
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査するも、「STICKPAINT」の文字が、補正後の本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実は発見できなかった。』
●不服2009-17878
本願商標
指定役務:第1類「米由来のスクワランを化粧品の原料としてなる化学品」及び第3類「米由来のスクワランを主原料とする化粧品」
「オリザスクワラン\ORYZA SQUALANE\Oryza Squalane」
本願商標(商願2008-30422)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『その構成中の「オリザ」、「ORYZA」、「Oryza」の文字が「イネ」の意味を有するラテン語であるとしても、それが我が国の需要者に知られているとはいえないから、これと「スクワラン」、「SQUALANE」、「Squalane」を組み合わせた本願商標の構成文字全体より、原審説示の如き意味合いを直ちに理解させ、商品の品質等を、直接的かつ具体的に表示するものとして、取引者、需要者に、認識、把握されるものとはいい難いというのが相当である。』
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査するも、本願指定商品を取り扱う業界において、「オリザスクワラン」、「ORYZA SQUALANE」、「Oryza Squalane」の文字が、その指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されているという事実も見出すこともできない。』
●不服2008-25312
本願商標
指定役務:第9類第9類「発光式又は機械式の道路標識,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」
「MR-LED」(標準文字)
本願商標(商願2007-121958)は拒絶すべきものと判断されました。
*一般使用の事実: 『前記第3の平成21年7月24日付けの証拠調べ通知書により通知した記載の事実によれば、本願商標構成中前半の「MR」及び「MR-」の文字は、商品の品番、形式などを表す文字として普通に使用されているものであり、また、構成中後半の「LED」の文字は、「発光ダイオード」を意味する「Light-Emitting Diode」の略語として、発光ダイオードを使用してなる商品に普通に使用されていることが認められる。』
『そうすると、本願商標を本願指定商品中「発光ダイオードを使用してなる商品」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「品番(形式)がMRの発光ダイオードを使用してなる商品」と認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものである』
●不服2009-650169
本願商標
指定役務:第9類、第10類及び第35類に属する商品及び役務
「MORE CONTROL.\LESS RISK.」
本願商標(国際登録第968285号商標に係る国際商標登録出願)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『構成全体として、まとまりよく一体的に表されいるものである。
そして、その構成中の「MORE CONTROL」の語が「より多くのコントロール」程の意味を有し、「LESS RISK」の語が「より少ないリスク」程の意味を有する英語であるとしても、かかる構成の本願商標が、原審説示の如き意味合いを直ちに理解させるものとはいい難く、商品の販売又は役務の提供の促進のためのキャッチフレーズ等を表したものとも認識し得ないものである。』
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査するも、本願商標が、本願商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においてキャッチフレーズ等として実際に使用されているという事実は見いだせず、また、商品の品質及び役務の質を直接的、かつ具体的に表示するものとして一般的に使用されている事実も見いだせなかった。』
本日はこの辺で。
次回は、最近入った新人くんのアホバナシ。それでも見ていいかなって方、ぷちっと押してね…
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名古屋のゆるキャラをよろしくね!
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
内容はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→2008/07/23のところ…
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
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