2024年の意匠審決をざっと見てみました。といっても当事者系のみですが、
当事者系の審決は、12/12現在で22件出ているようです。
その中で気になった無効審決が次の3件。
1.無効2024-880001
本件意匠登録が、甲1号証に類似するとして、無効と判断された事件。
本件意匠登録:意匠登録第1756786号(物品名「物品提供装置」)
甲第1号証: 中華人民共和国意匠公報CN307639432S
本件意匠 甲第1号証
※本件意匠のハッチング部部分は、透明部分を表すもの。
2.無効2023-880008
本件意匠登録が、甲1号証に類似するとして、無効と判断された事件。
本件意匠登録:意匠登録第1747830号(物品名「マッサージ器」)
甲第1号証: 中華人民共和国意匠公報CN305313600S
本件意匠 甲第1号証
3.無効2023-880007
本件意匠登録が、甲1号証に類似するとして、無効と判断された事件。
本件意匠登録:意匠登録第1691563号(物品名「鼻毛カッター」)
甲第1号証: 中華人民共和国意匠公報CN305830644S
本件意匠 甲第1号証
上記3件の無効審判では、いずれも中国の意匠公報が甲1号証となっていますが、各意匠登録は、審査段階で3条1項各項の拒絶理由はかかっていないし、各甲1号証は、参考文献にも挙がっていません。
これらから言えることは、特許庁は、審査の際、中国の公報を検索していないとみえますね。上記の各甲1号証、検索してたら引っ掛かるはずでしょう…
あいぎでのここ2-3年の意匠出願では、韓国の意匠公報が拒絶理由の引用例として挙がったことがあるので、韓国の意匠公報は検索されているようなんですが、中国のやつは検索してないってことですかね。中国の2023年の意匠出願件数は82万件ほどということですから、1分類だとしても、過去何十年間分も検索するのは、あまりに多すぎて、無理ってことなんですかね。。。
AIを使って、何とかならんもんですかね。上述の甲1号証は、いずれも2019年以降に公開されたもののようですので、過去5年間分ぐらい検索だけでも違う気がします。このままでは、日本の意匠審査の信頼性が揺らいでしまうのでは?
[担当:上田]
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