勉強会と忘年会と夜景と

一昨日は、弁護士の方と弁理士の勉強会があり、昨日は事務所の忘年会があり、人と人とのつながりから刺激を受ける年の瀬でございます。

まず勉強会の方ですが、愛知県弁護士会若手活動部と、弁理士会東海会フレッシュ委員会との合同イベントです。
例年は相互に発表しあっていたらしいのですが、今年は、知的財産に関するトピックについて弁護士の方が発表してくださり、フレッシュ委員が弁理士視点のコメントを出して意見交換をするという形式での開催となりました。

テーマのひとつがライセンス契約で、契約成立の要件から始まり、実際に契約書を交わすときの文章表現の諸注意まで、詳しく解説していただきました。

とりわけ、契約の錯誤取消しを防ぐための特許調査の必要性については、思わず膝を打つものでした。
復習のためにまとめると、こんな感じでしょうか。

既に交わされた契約であっても、その法律行為の基礎とした事情についての認識が、当事者の重大な過失による錯誤により、真実に反するものであった場合、民法95条で取り消しができる。

ライセンス契約は、特許権が有効であるということを前提に交わされており、もし契約後に特許権が無効となってしまった場合は、この錯誤取消の対象となる場合がある。
合理的な事業者ならば、特許発明の技術的範囲の広さだけでなく、特許無効の可能性についても、総合的に検討考慮しておくことは当然。

仮に特許権が無効になった場合、当然行うべき特許権の有効性についての評価検討が不十分だったとなると、特許権者側に重大な過失があったと認められることがある。→ライセンス契約自体が取り消される。
→契約に基づいて支払われていたライセンス料についても、契約がなかったことになると、不当に受けた利益ということになる。
→ライセンシーが特許権者に対して不当利得返還請求を行うことも可能となる。

それを防ぐために、契約書に特許が無効となった場合のライセンス料不返還の条項を盛り込むことができる。

特許無効の可能性については判断が難しいところであり、特許権者であっても自分で分析評価することが難しいケースもありますが、その場合であっても、ならしょうがないよね、とはならず、専門家の意見を求めるなどして、適宜の評価をすることは可能だよねということで、弁理士に特許調査を依頼していないと、特許権者の過失と判断されてしまうこともあるそうです。
つまり、裁判所の立場では、ライセンス契約をするなら、弁理士の調査を依頼するくらいは至極当然ということなので、専門家として社会に必要とされ、期待されている印象を受けました。

 

そして翌日、事務所の忘年会の方では、尊敬する先輩に思いがけず期待のお言葉をいただくことができまして、弁理士となった自分は、このありがたい期待を少しでも返していかないといけないなと思う次第……。
名古屋の街を一望できる素敵空間で、きらっきらの夜景を見下ろしながら、ぴっかぴかの期待に応えたいなと、モチベーションの降ってくる夜でした。

きらきらの夜景

[担当:岩田]

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