字数制限があって書きたいことが書けない…orz 刺青の彫師が出てくる事件あり。張り切っていってみよー!
■■■商標新着審決【その他】
●無効2009-890024
本件商標
指定商品:第9類に属する商品
「BORRI」
引用標章(請求人のハウスマーク)
本件商標(登録第5019499号)は4条1項7号に該当しないと判断されました。
なお、最初に知財高裁の7号に関する考え方が引用されていますが、長いので割愛させていただきます。
その考えに基づき、本件については以下のように判断されました。
『たしかに、被請求人の代表者Brocchi及びその社員のMoriが請求人の元社員であることは、甲第8号証ないし甲第10号証及び甲第45号証によって推認することができる。したがって、Brocchi及びMoriが、引用商標を知っていたことも推認することができる。
しかしながら、引用商標は秘密にされていたわけではなく、一般需要者であれば誰もが知り得る立場にいたのであるから、被請求人の社員が引用商標を知っていたという事実だけで、本件商標が、不正目的で出願され登録されたということはできない。
しかも、被請求人と被請求人の社員とは別の人格であるから、仮に、被請求人の社員に不正の目的があったとしても、当然に本件商標が、被請求人によって、不正目的で出願され登録されとする根拠とはならない。』
『さらに、請求人の主張、甲第12号証、甲第31号証及び甲第33号証によれば、請求人は、1932年に設立されたことが認められ、また、請求人は、遅くとも、1993年には、引用商標を使用していたものと推認することができる。一方、本件商標の登録出願日は、2006年5月17日である。
そうとすれば、請求人は、本件商標が商標登録出願がされる前に、自らすみやかに、引用商標について商標登録出願することが十分可能であったにもかかわらず、我が国への商標登録出願を怠っていたというべきである。』
『加えて、上記(2)で認定したとおり、引用商標は、登録査定時に引用商標は外国及び日本において周知、著名になっているものとは認められないのであるから、請求人の主張は、前提を欠くというべきである。』
●無効2009-890100
本件商標
指定商品:第25類「洋服」など
引用標章
刺青師としての中野義仁の著名な雅号ないし芸名である「三代目彫よし/HORIYOSHI III」
本件商標(登録第5046484号)は4条1項8号に該当すると判断されました。
『「HORIYOSHI III」は、刺青師である中野義仁を表示する雅号ないし芸名として、本件商標の登録出願日である平成18年11月13日及びその査定日である平成19年3月20日の時点において、国内外の刺青に関連する取引者、需要者は言うに及ばず、映画、絵画等の芸術に関連する分野においても、著名性を獲得していたものとみるのが相当である(この点に関し、被請求人は争うことを明らかにしていない。)。』
『以上の乙第1号証ないし乙第4号証を総合すると、2005年(平成17年)から2006年(平成18年)にかけて、商標権者と「三代目 彫よし」たる中野義仁との間には、中野義仁が描いた絵を、商標権者の販売に係る被服に使用することについて、何らかの取り決めがあったことを窺うことができる。しかし、その取り決めの具体的な内容については、全て口約束で許可を受けたと主張するのみで、他に証拠の提出もないから明らかではない。
そして、上記証拠をもって、商標権者が本件商標を登録出願し、登録を受けることについて、中野義仁の承諾を得たものとまで認めることは到底できない。また、他に商標権者が本件商標を登録出願するについて、中野義仁の承諾があったという事実を裏付ける証拠は見出せない。したがって、被請求人の上記主張を認めることはできない。』
なお、無効2009-890101では下記商標(登録第5046485号)が同様に4条1項8号に該当すると判断されています。
■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】
●不服2009-5613
本願商標
指定商品・役務:第9類に属する「トランプゲームを内容とする業務用テレビゲーム機」などの商品及び第41類に属する「ストリーミング方式による電子計算機端末による通信を用いて行う映像の提供」などの役務
引用商標
「Plus\プラス」など、『プラス』の称呼が付された登録商標25件以上
本願商標(商願2008-11414)は引用商標(登録第399007号など25件以上)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、…当該構成は、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく表されているものであって、これより生ずる「モンテカルロプラス」の称呼も語呂よく一連に称呼し得るものである。
そして、たとえ構成中に「+」の記号を有するとしても、「+」の部分は記号として容易に理解されるものであるから、独立して自他商品の識別機能を果たすものとはいいえず、かかる構成においては、その構成全体をもって、一体不可分の一種の造語を形成しているものと認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、本願商標は、その構成全体に相応して、「モンテカルロプラス」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。』
なお、本件商標は4条1項16号にも該当しないとされました。
『本願商標は、…その構成中「モンテカルロ」の文字部分が、「モナコ公国の北東部の地区。地中海に面した国際的な観光・保養地。(大辞林)」であるとしても、それにとどまるものであって、該「モンテカルロ」の文字部分が、本願の補正後の指定商品の販売地を表すものとして、直ちに、認識、理解されるとはいい難く、本願商標は、これをその指定商品中のいずれの商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないとみるのが相当である。』
●不服2009-13397
本願商標
指定役務:第35類「茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
引用商標1
指定商品:第29類に属する商品
引用商標2
指定商品:第30類「紅茶」
引用商標3
指定商品:第30類「紅茶」
本願商標(商願2008-306)は引用商標1~3(登録第2338393号、登録第4225494号、登録第4834594号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、…その構成中の上段の「Grand」の文字は、「壮大な、雄大な、威厳のある、気品のある、重要な」(「ベーシック ジーニアス英和辞典」初版 株式会社大修館書店 2009年4月1日発行)、「グランド【grand】『大規模の』『大型の』の意」(「広辞苑」第6版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)等の意味を有する語であり、…
そうとすると、本願商標は、その構成中、上段の「Grand」の文字が本願商標の指定役務との関係において、店舗の規模を表示するものとして、自他役務識別標識としての機能が極めて希薄なものであると認められる。
一方、本願商標の下段の「Afternoon Tea」の文字が取引者、需要者にとって出所識別標章として強く支配的な印象を与えるものと認められ、独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るというのが相当であるから、…上記のとおり、本願商標の下段からは、「午後に飲むお茶」、「午後のお茶の時間にとる、サンドイッチ・ケーキ・紅茶などの軽食」及び「午後のお茶の会」程の意味合いが生じるものとみるのが自然である。
したがって、本願商標は、その構成文字全体に相応して「グランドアフタヌンティー」の称呼を生ずるほかに、「アフタヌーンティー」の称呼も生ずるものであり、また、これよりは、「午後に飲むお茶」、「午後のお茶の時間にとる、サンドイッチ・ケーキ・紅茶などの軽食」及び「午後のお茶の会」の観念を生じるものである。』
『引用商標は、…、「AFTERNOON TEA」又は「Afternoon Tea」の欧文字は、…請求人提出の甲第6号証ないし甲第8号証、甲第10号証ないし甲第16号証によると、引用商標の指定商品「紅茶」において、午後のお茶会用に適したものであることを表示するものとして、取引上普通に使用されていることが認められるものである。
してみれば、該文字は、指定商品との関係においては、取引者、需要者に商品の品質又は用途を表示するものとして認識され、自他商品識別標識としての機能が極めて弱い部分であるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その最も大きく書された「午後の紅茶」の文字もしくは、引用商標の商標権者の代表的出所標識として知られている「KIRIN」の文字が自他商品識別標識としての機能を果たすものというべきであり、その構成中の「AFTERNOON TEA」又は「Afternoon Tea」の文字部分をもって、取引にあたることはないというのが相当である。
してみれば、引用商標は、「午後の紅茶」の文字部分より「ゴゴノコーチャ」の称呼が生じ、また、これより、「午後の紅茶」の観念が生じるものである。
さらに、引用商標1及び引用商標3は、上記称呼、観念に加えて、太い欧文字で書された「KIRIN」の文字部分に相応する「キリン」の称呼及び当該会社の観念も生じるものと認められる。』
●不服2009-5557
本願商標
指定役務:第30類「持ち帰り用調理済みのすし」及び第43類「すしの提供」
引用商標1
指定役務:第42類「すしの提供」
引用商標2
指定役務:第42類「宿泊施設の提供,すしの提供,その他の日本料理を主とする飲食物の提供」など
「SUSHIKO」
引用商標3
指定商品:第30類「すし」など
「SUSHIKO」
本願商標(商願2007-28730)は引用商標1~3(登録第3124553号、登録第4075975号、登録第4874488号)と類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、…その構成中「銀座」の文字部分は、地名を表すもので、単に商品の販売地及び役務の提供場所を表示するにすぎないから、該文字は、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分といわざるを得ない。後半の「本店」の文字が「営業の本拠である店。」(広辞苑 第六版)を意味し、屋号、店名等に対し、数ある当該店舗の中で中心となる店であることを表示するために取引上普通に使用されているものであるから、これに接する取引者、需要者は、「寿司幸」の文字部分を店名の如く認識し、該部分より生ずる「スシコー」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当である。』
『引用商標1は、…、「SUSHIKO」、「築地」及び「すし好」の各文字は視覚上分離して看取され、また、その構成中、「築地」の文字部分は、地名を表すもので、単に役務の提供場所を表示するにすぎず、該文字は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分といわざるを得ないから、これに接する取引者、需要者は「SUSHIKO」及び「すし好」の各文字部分を要部と認識し、該文字より生ずる「スシコー」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものというべきであり、また、観念については、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。』
*取引実情: 『請求人は、「本願商標が富裕層や接待向けの高級寿司店であるのに対し、引用商標は回転寿司に代表される大衆向けチェーン店であることから、需要者層が異なり、出所の混同を生ずることはない。」旨主張しているが、たとえ、両商標の品質、嗜好、価格等によって需要者層が異なる場合があるとしても、本願商標と引用商標の指定商品及び指定役務が、共に商品「すし」及び役務「すしの提供」という点で共通していることから、相互の店舗に関心を寄せる需要者が多いと見るのが自然であり、両商標の需要者は完全に二極化されたものとは断定し得ず、むしろ、需要者を共通にするものといえる。
そして、他に両商標の商品及び役務の出所の混同を生ずるおそれがないと考えさせる具体的な取引の実情を見いだすことはできず、かつ、請求人は、該主張を裏付ける具体的な資料も提出していない。』
●異議2009-900115
本件商標
指定商品:第3類「せっけん,化粧品」など
「TAMING ELIXIR」
引用商標1
指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き」
引用商標2
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」
「エリクシール/ELIXIR」
引用商標3
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」など
「ELIXIR」
本件商標(登録第5191234号)のうち指定商品中第3類「せっけん類,化粧品」について4条1項15号に該当すると判断されました。
申立人の主張から抜粋します。
『本件商標は、…その構成中の「TAMING」の文字部分は、「テイミング」と発音され、「(鳥獣を)飼いならす、(人を)服従させる」との意味の英語「tame」の現在分詞を表すものであるが(甲第4号証)、我が国においてはほとんど知られていないものである。
また、その構成中の「ELIXIR」の文字部分は、本来「(錬金術の)霊薬、エリクシル(卑金属を金に化するために錬金術師が調合したもの)、エリキシル(剤)(主薬・香料・甘味剤を混合したアルコール性液剤)」(株式会社研究社1998年発行「研究社新英和大辞典」、共立出版株式会社1993年発行「化学大辞典1縮刷版」)などを意味する既成語の英語であるが、我が国において一般的には知られていないものであるから、本件商標は、その構成文字全体として特定の意味合いを有するものではなく、「TAMING」の語と「ELIXIR」の語とを分離して認識することを妨げる事情は認められない。』
『他方、各引用使用商標は、上記2のとおり、「ELIXIR」及び「エリクシール」の文字よりなるところ、両文字は、申立人の「化粧品」のブランド名として同一商品に使用されていることから、各引用使用商標からは、「エリクシール」の称呼が生ずるものであり、また、「申立人の使用する著名商標」という程の観念を生ずるものというのが相当である。
そうすると、本件商標の構成中「ELIXIR」の文字部分は、我が国において既成語として知られておらず、化粧品などの取引者、需要者の間においては申立人の取り扱いに係る「化粧品」などの商品の出所を表示するものとして周知・著名となっている「引用使用商標1」と綴り字が同一の構成であり、かつ、各引用使用商標と「エリクシール」の称呼を同一にし、「申立人の使用する著名商標」の観念を同一にするものである。』
本日は以上です!
おもしろかった?ならぷちっと押してね…
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※名古屋市さんのご好意により画面左上のキャラクターの画像データを提供していただきました。
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
コメント
いつも参考になります
出願人の立場として、モンテカルロ+の原査定はさすがにちょっとアレかなと。審決の論理構成はなかなかうまく収まってると思います。
寿司幸はいまさらというか、自業自得ですね。こういうことがままあるので、商標登録が必要ですよ~、というのがお決まりの営業トークですね。しかし廻る寿司と廻らない寿司で類似群コードが分かれたりすると面白いかも。
Unknown
シェンムーさん、コメントありがとうございます。
参考になると仰っていただくと励みになります。
モンテカルロ+の原査定はちょっと気の毒な気がしますね。この件は4-1-16の判断も面白いと思いました。
寿司幸の件は、取引実情で強力な証拠が提出できたら判断が違ったでしょうね…