■『俺の

自宅のわりと近くに『俺の味』という屋号の、こじんまりとしたパスタ屋さんがあります。

数年前から知っており、気になりつつも、まだ行ったことがないです。

 

『俺の味』の『』って…

確実に 店主さん のことですよね?

つまり、

俺の味

っつーのは、店主さんのこだわりの味 ってことですよね?

 

どきどき…

 

食べ終わったら、起立!

して、直立不動で

自分はぁ、おいしいと思ったのであります!

とか叫ばんといかんような雰囲気…?

 

こ 怖い…

 

なので、いまだに勇気を振り絞れず、入れていません。

(※ ネット検索すると、ディープな情報がわんさかヒットして、さらにハードルが。)

 

 

ところで、屋号に

俺の

という言葉を入れた飲食店シリーズで展開していらっしゃる企業さんがあります。

俺の株式会社

有名なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

俺のイタリアン
俺のフレンチ

などなど、洋食から和食まで種々展開していらっしゃるようです。


このようにたくさんある『俺の』シリーズの屋号を守るために、全て商標登録しようすると、なかなかに大変そうですね!

ウェブサイトを拝見しただけで11種類もありますので、全て商標登録したとしたら、コストもさることながら、管理も大変そうです。


なので、いっそ、

俺の

だけで商標登録したら、シリーズモノを全部カバーできるのではないか!?

と考えるのが人情というものです。

 

で、調べてみたら、

ありました。

ええ、ありましたよ(笑)。

俺の

だけで登録されている例が。

・登録第1527581号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1976-019554/051B5E23D2067CBFEBD29EB946B85D79EA1CA56D8B2F7265DC1BF71CF64B1577/40/ja

・登録第5611697号
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2013-034833/CE240E04A9E2A386E6EEC21A920F5089822853FA347A77ADFA9E077AB58400B7/40/ja

 

しかし…

これら『俺の』だけ登録は、はたして、どのくらい効果的なのか!?

 

そもそも『俺の』の『の』が格助詞だけに、やはり、『俺の○○』というように被修飾語『○○』が続かないと、商標としては完成しているようには思えませんね? 『俺の』だけで使ってる様子はないように思えますが…

仮にそうだとしたら、問題点としては、主に、以下の2つがあると思います。

(1)『俺の』だけでは、『俺の○○』に対して権利主張ができないと思われる。

完成版としての『俺の○○』は、『○○』の部分を変えた色んなバージョンが商標登録されています。

(以下、権利者が別の飲食店の屋号(指定役務が「飲食物の提供」)の登録商標です。)

「俺の餃子」登録5301333
「俺の丼ぶり」登録5358494
「俺の中華」登録5547247
「おれのラーメン」登録5586860
…などなど。

つまり、『○○』の部分を変えたバージョンは、互いに “非” 類似として登録されているわけです。

商標の類否判断の基本は、全体を一体的に見て判断。『○○』があってこそ完成版だったら、『○○』も含めた全体で判断する、というわけですね。

だとすると、『俺の』と『俺の○○』は非類似となりそうで、『俺の』だけでは『俺の○○』に対して権利主張するのは難しい!ということになりそうです。

お得だと思ったら、全然お得じゃなかった…orz  みたいな(泣)。

 

(2)『俺の』だけで登録して、実際には『俺の○○』でしか使ってないと、登録が取り消されてしまうリスクがある。

商標は、使わないと価値が出ない、つまり、 “使ってナンボ”のものです。
これを踏まえて、商標法では、たとえ登録しても、全然使ってない商標については、登録を取り消すことができるという「不使用取消審判」という制度があります。

ここでいう「使う」というのは、原則的に、登録したカタチのままで使う ということです。
登録した商標と違うカタチで使っていても、「使っている」ということにはなりません。

そうすると、『俺の』だけで登録して、実際には『俺の○○』でしか使ってないと、商標法下では、「使ってない!」ということになってしまい、取り消され得るリスクを内在するのです…。

 

以上、まとめます!

原則:商標は、全体が一体となった構成として、把握されます。

 

なるほど…

すると、

俺の味

って、ひょっとして最強じゃないですか!?

だって、どのジャンルの料理でもいける、汎用性が最も高い言葉だし…。

 

 

■『iPhone

Apple教の皆さまは、『iPhone』の2019年新型が出たら、買い替えされるのでしょうか?

『iPhone』も、シリーズモノですよね。

調べてみたら、なんと!

20種もあるようではないですか(2018年まで)。

なかなかにエグいですね…

iPhone3G
iPhone3GS
iPhone4
iPhone4S
iPhone5
iPhone5c
iPhone5s
iPhone6
iPhone6Plus
iPhone6s
iPhone6sPlus
iPhoneSE
iPhone7
iPhone7Plus
iPhone8
iPhone8Plus
iPhoneX
iPhoneXS
iPhoneXS
iPhoneXR

 

上記の原則「商標は、全体が一体となった構成として、把握されます」に則ったら、20機種の名前が全部違う商標ってことになります。すると、20コ商標登録しなきゃいかんのか…?

と思いきや、たぶん、『iPhone』だけ登録しておけば、20機種の名前をカバーできると思われます。

なんで!?

 

商標を構成する要素は、商標としての力が強いもの と 弱いもの とに分かれるときがあります。

一般的に、型式を表すような表示(アルファベット・数字2文字まで等)や、商品・サービスの内容を表すような一般的な表示(3G、Plus等)は、商標としての力が弱い部分、と判断されることが多いです(「自他商品役務識別力が弱い」と言ったりします)。

商標としての力が弱い部分は、原則的に、そこを除いて考えるのが、基本セオリー。

『iPhone』も20機種もあるものの、『iPhone○○』の『○○』の部分は、商標としての力が弱いものばかりで、除いても大方に影響ないと考えられます(あくまで商標の話しです~ Apple教の皆さんは、機種が異なれば全然違う!とお思いでしょうが‥)

なので、
『iPhone』だけ登録しておけば十分かもー
となるわけですね。

 

以上、まとめます!

例外:商標を構成する要素のうち、自他商品役務識別力が弱いものは、省いて考えることが、多いです。

 

 

つまり、全部まとめると、こういうこと!

原則的には、シリーズ名の一部だけ登録しても、全然お得でないどころか、リスクがある!

だけど、自他商品役務識別力が弱い部分だけが変化するシリーズモノなら、変化しない部分だけ登録しとけ!

 

以上、お役に立ちましたでしょうか?

(実際には、わかりやすい事例ばかりではないので、迷われたらご相談を~)