前回のエントリでは「デザインシンキング」について触れました

「デザインシンキング」は、
①”改良型・漸進型イノベーション” には向いている
②”マーケット・プル型のイノベーション”、”より多く売るためのイノベーション”と評される、
ものと理解されているが、
はたして「革新的なイノベーションに寄与するのか?」については、いまでは多くの人が疑問を呈している、との話を紹介いたしました。

今回は、「デザインシンキング」の一歩先をいくと評される欧州発の「デザイン・ドリブン・イノベーション」について、簡単にご紹介いたします。

「デザイン・ドリブン・イノベーション」が「デザイン思考」と異なる大きな点は、ユーザーから一歩距離を置いて、「問いの立て方」を変えるところです。
外(ユーザー)からのインプットをスタート地点とするのではなく、「なぜ」から始めることでユーザーを創造する「意味のイノベーション」とも言われたりしています。問題の領域設定から始めることで、急進的なイノベーションを創出することもできる、とされています。
 

方法としては、下記のような感じ。

・ユーザー中心ではなく、様々な専門家(「解釈者」)の解釈をつないでネットワーク化し(「デザイン・ディスコース」)、モノに与える「意味」を探求する。

・「意味のイノベーション」を導くアプローチは、従来のモノの前提に疑問を投げかける「批判の精神」がベース。ちなみに、ここでいうところの「批判」は、ネガティブな意味ではなく、建設的なもの。
 ステップ1「個人による熟考」
 ステップ2「ペアによる建設的な批判」
 ステップ3「小さなサークルによる厳しい批判」
 ステップ4「解釈者による批判」

また、デザイン・ドリブン・イノベーション事例として、例えば下記の企業の事例が挙げられています。

アレッシィのアンナG
・アルテミデのメタモルフォシィ

どちらの事例も、ユーザーが感じている既存の問題の解決でなく、「解釈者」の解釈をもとに”新たな意味をユーザーに提案する”という戦略で成功した、とのことです。

これらの事例のように、「デザイン・ドリブン・イノベーション」は、できる範囲のちょっと先をやりながら変換を図ろうとするものであり、テクノロジーやふんだんな資金がなくても長期的にサバイバルできるイノベーションに挑戦できる道筋なので、中小企業でも採用しやすい、と紹介されています。

上記書籍「デザインの次にくるもの…」の八重樫先生の記事安西先生の記事もご参照ください。

 

なるほどー。

 

しかし、これって、めちゃくちゃ大雑把にみると、
「デザイン・ディスコース」を活用して、モノの「意味」という観点から、既存の「差別化戦略」とか「ブルーオーシャン戦略」を実践するもの、ともいえる?
(的外れだったらすみません。書籍で挙げられている事例がどれも古いものなので、ひょっとして後付けで「デザイン・ドリブン・イノベーション」とカテゴライズしてる?と感じたり…汗)

中小企業さんでも挑戦しやすいとのことですが、「デザイン・ディスコース」を作り出すこと自体、ハードル高くないかな~?
と思ったら、
“個人でも「デザイン・ディスコース」を作りあげることはできる。社外ネットワークのお付き合いの中で、コンセプトのヒントを得ることは可能”
とされています。
つまり、日ごろからアンテナ張ってろ、と。これなら、気軽に挑戦しやすそう?
詳細は上記書籍「デザインの次にくるもの…」をご覧ください。

 

また、ここにきて、「アート・シンキング」という考え方も出てきているようです。

これは”プロダクト・プッシュ型”の思考法のようです。
“テクノロジー的なプロダクト・プッシュ型”の反省?として、デザインシンキングみたいな”マーケット・プル型”が謳われだしたことを考えると、なかなかに興味深いです。
(うちのお客さんにも「商品開発するときに、お客の声は聴かない」と豪語している中小企業の商品開発者さんがいたりしますが、その方の思考とちょっと似ているかも)

 

いろんな考え方を知っておくことは引き出しを増やすことにもなり、とても大切ですね。

デザインシンキングも、デザイン・ドリブン・イノベーションも、中小企業さんにとっては取り組みやすく、いままで全く認識していなかった企業さんにとっては、特に有効だと思います。

ただ、どの思考法も万能ではないので、社会変化のスピードや企業規模・分野・慣行等によって、それぞれの思考法の良いとこを柔軟に取り入れて活用できることが肝だ、という一見当たり前の結論に行き着くように思います。

 

ところで、イノベーションもブランディングも、自社の優位性を高めて、収益性を挙げようとするものです。

イノベーション→  アイデアのファーストポジション取り
ブランディング → 記憶のファーストポジション取り

どちらの観点からポジション取りするか、という違いだけのような気がしてきた。
いずれにしても、バックアップとして知財が効いてきますね。