商標登録されても、登録商標を指定商品・指定役務に使用していなければ取消審判を請求される可能性があります。
どういった場合が「登録商標の指定商品・指定役務についての使用」といえるのか?の続きです。
登録商標と全く同一でなく多少変更を加えたものでも、社会通念上「同一性のある商標」なら「登録商標」の使用と認められる、と商標法では規定されています。
どの程度の変更なら「同一性のある商標」と認められるのでしょうか?
例示されているものを拾ってみると、
・書体のみに変更を加えたもの、
・平仮名・カタカナ・ローマ字を相互に変更するものであって、同一の称呼・観念を生じるもの、
・外観上同視される図形からなるもの、
など。
まずこれらの例示から、書体のみに変更を加えた「あいぎ」と、平仮名とローマ字間の変更である「AIGI」も同一の称呼・観念を生じると思うので、大丈夫そうです(観念については、具体的なものを特定できなさそうなので…。愛知県民・岐阜県民の一部以外は)。
じゃあ「あいき」はどうでしょうか。変更を加えても、商標としての印象(識別性)を左右する程の範囲でなければ「同一性のある商標」と認められ得ます。このレタリングでは称呼も観念も「あいぎ」と同じといえそうですね。大丈夫そうだと思うのですが?
それでは、お菓子(ネーミングは「あいぎ」)の販促品であるボールペンに、お菓子の絵柄の中に小さく「あいぎ」「あいき」「AIGI」を表示していることについては?
お菓子の販促品に表示しても、あくまでお菓子のネーミングとして「あいぎ」「あいき」「AIGI」を表示していると捉えられるのでは?「ボールペン」のネーミングとして表示してるとは考えにくいですよね。ここ最近はそういう使い方しかしていのなら、「登録商標を指定商品に使用している」とはいいにくいかもしれません…。
ふ~ん。
じゃあ、取消したがっとる相手がおるのを知ってから、「登録商標を指定商品に」ちょびっと使えば、使用の既成事実ができて取消されんのでは?
と思っても、それはダメです!そういう相手がいるのを知った後は、その相手が取消審判を請求する前3ヶ月内に名目的に使ったとしても、使用の既成事実ができたとはされないんです!
ということで、商標権を得たら、その登録商標を指定商品・指定役務にちゃんと使用していないと取消される可能性があるので要注意です!
本日はこの辺で。
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コメント
Unknown
ひろたさん。
こんにちわ。
今回の話題は、『不使用取消審判』(50条)ですね。
よく論文の問題で出てきます。
せっかく商標権取得しても、三年使用していないと
取消審判される可能性が、あるのが怖いですね。
怖いと言えば、今夜来るという台風も
怖いです。
Unknown
全然使用してないという単純なケースではハナから争いにならないのでしょうが、実際は今回の記事で書いたケースよりもっと微妙な場合で争いになることが多いです。「同一性」「指定商品・指定役務についての使用か」の問題は、実務的に結構大きいです。
ところで、怖いと言えば、私は昨日から大阪の球団が怖いです。