<平成19年(ワ)第13265号 損害賠償請求事件>(判決文はこちら)
珍しくわずか4頁の判決です(代理人をたててなかったから…かも?)。
原告は「貴鶏屋」という登録商標の商標権者です。大阪で「貴鶏屋」の居酒屋チェーンを展開しているようです。
被告は「喜度利家」という名古屋の居酒屋のようです。でも、おそらく小さなお店なのか、HPもないようです。
原告はどうやってこの被告を見つけたのでしょう…?事件の内容よりもそっちが気になったりして。
ともあれ、この事件の争点はもちろん「貴鶏屋」と「喜度利家」が似ているか否かです。
裁判所の判断を簡単に説明致します。
まず、称呼(読み方)について。ややはしょって引用します。
『原告登録商標「貴鶏屋」からは「きどりや」「きけーや」等の称呼が生じる。
被告標章「喜度利家」からも「きどりや」との称呼が生じると認められる。
被告は「喜度利家」は「きどりゃあ」と読むと主張する。確かに、名刺に「今日もきどりゃへ来てちょーよ」「マイク片手にきどりゃあ」との記載があることなど弁論の全趣旨によれば、被告自身が「喜度利家」を「きどりぁあ」と呼び、これに伴って被告経営の居酒屋を頻繁に訪れる地元名古屋の常連客であれば、「きどりゃあ」と呼ぶことが多いであろうことは窺える。したがって、「喜度利家」は「きどりゃあ」との称呼も生じるものというべきである。
しかし、「喜度利家」に「きどりゃあ」の振り仮名が付されていない以上、名古屋であることを考慮しても、一般の客は、当て字の通常の読みに従い「きどりや」と呼ぶのが通常であろう。したがって、「喜度利家」からは「きどりや」との称呼も生じ、原告登録商標と称呼を共通にする。』
…名古屋にあるからといって、常連客でもない客が「きどりゃあ」と読むのは通常でない、と。
この裁判所の判断に一票です。というか、名古屋人だからといって、やたらに「みゃあ、りゃあ」言っとりゃあせんわ。
残りの観念と外観ですが、
・観念については、原告登録商標「貴鶏屋」からは、原告が居酒屋を経営していること等からして、敢えて言えば「高価な焼き鳥屋」ほどの観念が生じ得るのに対し、被告標章「喜度利家」からは特別な観念が生じるものとは認められない。
・外観は全く異なる(理由は述べられていません)。
と判断されました。
で、結論としては、『外観を全く異にする上、類似の観念が生じるものでもないから、両者は容易に区別することができ、誤認混同は生じない。だから、称呼に共通するものがあるとしても、全体として類似するものとは認められない』とされました。
称呼が同じだということについて最も長く述べていたのに、外観と称呼が異なるから非類似という結論です。
本日はこの辺で。
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