郷土のヒーローの名前を商標登録されて

 東京の業者が「吉田松陰」「高杉晋作」「桂小五郎」という名前を商標登録していたというニュースがありました(詳しくはこちら)。
 指定商品は、第29類の食品類等です。

 これらの商標登録、審査段階で一旦は拒絶されたようです。
 拒絶理由は、公序良俗違反(4条1項7号)です。

 ところで、商標法では、他人の肖像、氏名、著名な雅号・芸名・筆名等は登録できないという規定があります(4条1項8号)。ただ、ここでいう「他人」とは、現存する人をいい、故人は含まないとされています。したがって、上記商標を4条1項8号で拒絶することは無理があったのですね。

 では、故人の氏名等は、他人に勝手に商標登録されてきたのかというと、そうではありません。
 公序良俗違反で拒絶にされたもの・無効にされたものも多数あります。
 例えば、「MARILYIN MONROE」、「ジョンレノン/JOHN LENON」等。
 著名な人物の名前等は財産的価値がありますから、それを勝手に利用することは公正な取引秩序を害すると考えられるため、拒絶・無効にされるわけです。

 でも、著名な人物の名前等に財産的価値があるといっても、永久的に存続するわけではなく、時間が経てば消滅する場合もあると考えられます。
 そうすると、そういった名前を商標出願した場合、公序良俗違反に該当するのかどうかが問題となります。これが、今回の「吉田松陰」「高杉晋作」「桂小五郎」に当てはまる問題となったのでしょう。

 「吉田松陰」「高杉晋作」「桂小五郎」は、一旦は公序良俗違反で拒絶査定となったものの、査定不服審判を請求した結果、登録審決を得たようです。つまり、審判では公序良俗違反ではないと判断されたわけです。
 理由は、『その構成自体が矯激、卑猥、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、本願商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでもない。さらに、本願商標は、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認めることはできない』というもの。ほぼ審査基準に沿った判断です。

 これら3つの登録商標に対し、山口県萩市は登録異議申立てを行うようです。
 でも、IPDLで検索したら発見したのですが、「吉田松陰」と「桂小五郎」は、過去に他の企業にも登録されているようです(別の指定商品で)。
 これらについては何とも思わなかったのでしょうか?それとも、気付かなかった?
 
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コメント

  1. Unknown
    商品の名称を見て、それが「吉田・・」、「高杉・・」、「桂・・」としたらば、長門の国の縁を感じさせるものと理解するのが普通でしょうね。
    人の名前じゃなくて、山の名前、川の通称ならば、原則的に登録されないでしょうね。
    商品の中身と名前とがちぐはぐだとしたら、消費者は手を出すだろうか???

    「鬼饅頭」が登録されていますが、これは京都の大江山の鬼退治からきた「鬼」を使った菓子のようです。
    とても大きな饅頭らしいです。そこで鬼という形容を饅頭に付けたようですね。
    でもね、尾張地区では鬼饅頭といえば、分かりますよね。
    母がよく作ってくれました。

  2. Unknown
    「吉田・・」、「高杉・・」、「桂・・」というネーミング、お土産グッズみたいですね。
    商品名から想起される地域と、実際の製造地とがずれていることは結構あることですが(マカデミアナッツチョコレートが台湾産とか)、確かにがっかり感があります。

    「鬼饅頭」はもちろん知っています。というか、大好きです。
    でも、私の中では「鬼まんじゅう」。「まんじゅう」は平仮名でないと、黄色の薩摩芋の入ったあのお菓子をイメージできないです。

  3. Unknown
    あ~、そうですね。おっしゃるとおり。
    「鬼まんじゅう」というひらがなの語感のイメージが合いますね。
    小さい頃は「なんで、鬼だ??」でしたが、後々、浅間山の鬼押し出しを見て、桜島の麓に立って、「あ~、昔の人はいいこと言うなぁ。」と感じました。
    鹿児島に鬼まんじゅうは無いのでしょうが、もしあったら、桜島まんじゅうなんて名前は、姿かたちがぴったりと思います。それに、なんたって、薩摩芋ですから。

  4. Unknown
    ごつごつとした感じが「鬼」っぽいですよね
    鬼まんじゅうが売られているとつい買ってしまうのですが、コンビニで売られているのは東海地方だけでしょうか?

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