<平成19年(行ケ)第10293号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
最近、立体商標とドアラがホットですね。ドラゴンズの明るい話題といったらドアラしか…
あ、いや、気を取り直して。
本日はチョコレートの立体商標の話題です。
(ちなみに優先権主張手続のし忘れの苦肉策の続きは「名古屋の意匠亭」にてどうぞ。)
以前、こんな形状のチョコレートの立体商標の登録が認められなかった事件がありました(平成13年(行ケ)第418号)。
形状に識別力が認められず、また3条2項にも該当しないと判断されたものです。
でも、今回の事件のチョコレートはこんな形です。
左から「車えび」、「扇形の貝殻」、「龍の落とし子」、「ムラサキガイ」のマーブル模様の図柄です。
これが立体商標として認められるか否かが争いとなりました。
立体商標として認められないか否か(3条1項3号に該当するか否か)については、
(1)特定人に独占させることが適当でないか(独占不適商標該当性)、
(2)識別力を欠き商標としての機能を果たし得ないか(自他商品識別力欠如商標該当性)、
というポイントが判断されました。
裁判所は、
(1)のポイントについては、
『他に同様の標章が存在を認めることができないという意味で個性的なんだけど、原告(出願人)が1958年の創業当時から使用していた図柄を採用して構成し創作したものと認められるので、特定人に独占させることが適当でないとは認められない』
として、独占不適商標該当性を否定し、
(2)のポイントについては、
『チョコレートの取引実情からすると、このチョコレートの図柄の選択・組合せ・配列・マーブル色彩の結合が新規で、他に同じような標章の存在を認めることができない。チョコの需要者にとっては商品選択の基準の標識とするに足りる程度に十分に特徴的である。』
として、自他商品識別力欠如商標該当性を否定しました。
つまり、立体商標として認められる、と判断したわけです。
なお、(2)のポイントについて、被告である特許庁は、
『商品等の機能又は美感と関係のない特異な形状に限って自他商品識別力を有するものである』と主張していたようですが、
裁判所は、
『商品の本来的価値が機能や美感にあることに照らすと、このような基準を満たし得る商品形状を想定することは殆ど困難であり、このような考え方は立体商標制度の存在意義を余りに限定するものであって妥当とは言い難い。』
と述べました。
3条2項を使わずして登録可能と判断されましたね。
(こないだのコカコーラの瓶は3条2項適用でしたね。→判決文はこちら)
指定商品的に他に見られない特徴的な形状であれば立体商標として認められるという一事例ですね。
たまにお客さんに、
「あの商品、結構売れているから意匠登録できないかなぁ」と聞かれ、
「どのくらい前から販売してますか?」と聞き返すと
「5年くらい前だね~」
と言われたりして、ありゃ~と思ったりしますが、
指定商品的に見たことない特徴的な形状で、需要者にも認知されているものであれば、あわよくば立体商標として登録できるかも?
そうかもね…?と思われた方、ぷちっと押していただけると嬉しいです
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