<平成19年(ワ)第3083号先使用権確認請求事件>(判決文はこちら)
私の御用達(自分で言うな?)の一つ「餃子の王将」。仕事帰りに一人で立ち寄ってビールセットを頼むのが楽しみだったりします。最近業績いいようですが、私も貢献してますか?
一方、スーパーなんかで売っている餃子で有名なのは?
…どうやら東京あたりでは「ケンちゃん餃子」という銘柄のものが有名で人気があるようです(ググってみてください。ブログなんかで結構取り上げられています)。
今回取り上げる事件では、ケンちゃん餃子(株)が使用していた標章「ケンちゃん餃子」につき、先使用権があるか否かが争われました。
対する本件商標(登録第4222852号)はこちら。本件商標の権利者は大阪の方のようです。
商標:「ケンちゃんギョーザ」、指定商品:「ぎょうざ」。出願日:H8.12.6
まずは、この訴訟に至るまでの経緯を簡単に。
H14頃に商標権者から標章の使用について異議を述べられたケンちゃん餃子(株)は、自分の「ケンちゃん餃子」標章を使用することについて商標権者に協議を申し入れたのですが、応対されませんでした。なので大阪簡裁に調停を申し立てたのですが、不成立に終わっています。
さて、ケンちゃん餃子(株)は、S44頃からずっと餃子の製造販売を続けているんですね。しかも餃子一筋で。
そして、ラジオCMを、関東地方1都6県(神奈川県,埼玉県,千葉県,栃木県,茨城県)と山梨県、福島県、長野県、静岡県、新潟県の一部に向けて放送していたようです。
その他努力の甲斐もあって、東京工場と新潟工場と合わせて、毎年だいたい8億円以上の売り上げがあるようです。特にH2には、東京工場と新潟工場と合わせて7000万個の餃子を作り、国内200社の中で5番目のシェアを有していたそうです(もちろん、本件商標の出願日前のことであります)。
ところで、商標権者は大阪の方のようですが、上記の地域には大阪は入っていませんね。
先使用権には必ずしも全国的な周知性まで必要されないといのが多数説ですが、「ケンちゃん餃子」の場合、上記地域においては、取引者のみならず需要者にも周知だったようです。
ですので、この地域での「ケンちゃん餃子」という態様につき、先使用権がみとめられました。
ちなみに、ケンちゃん餃子(株)の創業者の名前も、商標権者の名前も、ニックネーム的に「ケンちゃん」だったのが争いの始まりだったんですね、不幸にも…。
なお、東海地方での「ケンちゃん餃子」事情はどうなんでしょう? 東海地方の皆さん「ケンちゃん餃子」ご存知ですか?私は見たことないです。
ブログなんかで見てみるとかなり興味をそそられる感じなので、東海地方にも進出していただきたいですが、今回認められた先使用権の範囲を逸脱するので商標権侵害になっちゃうですか
今晩は餃子にするか…とつぶやきつつ、今日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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