食べてますよ、それ

 前回の続きです。
 「こくうま」が「キムチ」の品質等表示に該当するか否か、が争点でありました。

 そして、裁判所の判断はこうなりました(判決文45頁~46頁)。
 『ア本件商標は,「こくうま」と平仮名で縦に記載したものであるところ,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)以前に「こくうま」の語が国語辞典に掲載されていたことを認めるに足りる証拠はないから,「こくうま」の語は,日本語として一般的に用いられている語とまでいうことはできず,食品の品質等を暗示ないしは間接的に表示するものとはいえても,直接的に表示したものとまでいうことはできない。
 また,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)より前から,「こくうま」の表記は,ラーメン,カレー,コーヒー,惣菜の素などに用いられているものの,「こくうま」の表記がキムチに用いられた例が被告商品以外に存したとは認められない。前記(1)認定のとおり,原告は,本件商標の登録査定日より前から,「こく旨」,「KOKUUMA」の表記を含む商品名のキムチを販売しており,キムチについて「コクうま」との表現を用いた新聞記事も存したが,これらの表記は,いずれも本件商標とは異なっているし,原告商品の販売数量等も明らかでなく,また,これら以外に「こくうま」の称呼を有する表記がキムチに用いられた例が存したとは認められない。さらに,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日より前から,キムチの「コク」や「うまみ」について述べた書籍が存するが,それらも「こくうま」との表記を用いているものではないし,被告発行のパンフレット「『こくうま』熟うま辛キムチシリーズ商品概要」(甲64)の記載も,コクのあるキムチが好まれていることを示すものにすぎない。
 以上を総合すると,本件商標を「キムチ」に用いた場合,需要者・取引者には,「こくがあってうまい」というキムチの品質それ自体を表示するものと認識されるとまでいうことはできないから,本件商標が,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるとは認められない。
』(下線は筆者が付しました)
 下線の箇所ですが、おそらくネット検索でも見つからなかったのかな~。最近、3条1項各号の判断におけるネットの力は大きいでありますですね。

 それはそうと、そもそも本件商標は、出願時に第29類中の商品をたくさん指定していたのを、「キムチ」だけに限定補正したから3条1項3号クリアして登録されたのでしたね。つまり、かなりピンポイント的な3条1項3号クリア型だったのです。
 実は、そんな例が被告(商標権者)の以前の出願にもあったのでそれにならったのかも?(判決文41頁に記載されている「こくうま 熟 うま辛キムチ」(登録第4820484号)の例。)
 そして、本件商標の「キムチ」への限定補正についても、かする程度に触れられていたりします(判決文47頁4行目~7行目)。

 そんなこんなで、結論としては、審決の取消請求は棄却されたのでありました。

  ちなみに…
  この判決を見るまで、被告の東海漬物さんの「こくうま」は、『濃くて旨い』だと思っとった…(『こくがあって旨い』とは気づかなんだ。アホですか?)。こんな私のような需要者の存在は、3条1項3号クリアに貢献できますか?

 そして、東海漬物さんの「こくうま」キムチシリーズ、我が家のテーブルにしばしば登場いたします。なにせ「東海漬物」の名が示すとおり、東海地方で活躍なさっていますから。特に「プチこくうま」は我が家サイズで結構使い易いので、「プチこくうま」が置いてあるスーパーをチェックしてたりします。
 あ…東海漬物さんのマワシモノではありません…

 本日はこの辺で。次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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