皆様、5連休をお楽しみでしょうか。わたくしのダンナは一般ピープルなので5連休。そそくさと山に出掛けてしましました(剣岳方面へ4日間の縦走だそうです。くそー)。
一方、わたくしは、ひっそり事務所にこもって一人ぼっちで仕事をしております(泣)。
今日はまず、この前ちらりと書いた「ドアラが放った球をあいぎの某弁理士くんがキャッチした件」について。
その状況描写に若干の訂正の要望がございました。詳しくはこの前の記事のコメントをご覧ください。
さて、間延びしてしまいましたが、今日は先日のクイズ(?)の続きです。
問題は、
『拒絶査定では、本願商標「アイディー」の第9類の指定商品のうち、どの商品について3条1項6号該当と判断されたのでしょう?』
でございました。
(…すみません、拒絶査定の理由が判決文に引用されていませんでした(汗)。審決の理由でご勘弁を…)
答えは、
『例えば「システム・情報等のセキュリティに関する商品を含む電子応用機械器具及びその部品並びに電気通信機械器具(「テレビジョン受信機・ラジオ受信機・音声周波機械器具・映像周波機械器具」を除く。)」』
でございました(「例えば」つう言い回しが少々微妙ですが)。
つまり、本願商標「アイディー」に接する取引者・需要者は、『「識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号」を意味する語,さらには,「コンピュータ,情報セキュリティに関する一用語」である「ID」の表音と理解・認識するにとどまり,自他商品の識別標識として認識し得ない。』というわけです(判決文2~3頁)。
これに対し、原告(出願人)は、『そのように理解・認識されるのは,あくまでも大文字アルファベットの「ID」であって,片仮名文字による本願商標からはそのように理解・認識されない』旨主張いたしました(判決文3頁)。
それでは、裁判所はどう判断したのでしょう。
「ID」の概念がどのように理解・使用されているかについて、裁判所は
(1)国語辞書における記載、
(2)情報通信関連の各種辞典類における記載、
(3)・ウェブサイト上の用語辞典における記載、
(4)電子商取引等における認証としての使用、
(5)商品名の一部としての使用、
を参照いたしました(判決文5~9頁)。
その結果、
(1)と(2)から、『「ID」の語は,本件商標登録出願の時点において,主としてユーザー等の個人を識別するための識別子を意味するパソコン用語として広く知られていたものであり,本件商標登録出願後,拒絶査定時又は本件審決時までの間に,インターネットの普及に伴って更に広く認知され,国語辞典に登載されるまでに一般化してきたものということができる』とし、
(3)ないし(5)から、『「ID」の語はウェブサイト上でも広く紹介され,「ID」がユーザー等の個人を識別するための識別子であることを前提として,このような認識なくしては利用することができない各種サービスが広く一般に行われているほか,電気通信機械器具に属する機器の商品名には,上記のような識別子を意味するものとして「ID」の文字を使用してその機能を説明するものも存在し,反対に,「アイディー」と発音する「ID」の語に,上記で認定したものと異なる特定の語義が存在するとの事情は認めることができない。』としました。
そして、『そのような「ID」の語についての認識及び使用の状況にかんがみると,「ID」の語が,その読みである「アイディー」と切り離して,大文字のアルファベット「ID」としてのみ認識されているということはできないのであって,本願商標の指定商品の取引者・需要者にとってみれば,「ID」の表記と「アイディー」との読みは一体のものと認識・理解されているといわざるを得ない。
そうすると,本願商標の取引者・需要者は,「アイディー」と片仮名表記された本願商標から,個人を識別するための識別子を意味する語としてすでに一般的に認識されている大文字アルファベットの「ID」を想起するに至るものというべきであって,本願商標「アイディー」がそのような識別子を意味する「ID」を認識させるものではないとの原告の主張を採用することはできないというほかない。』と判断しました。
で、結論的には、本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした審決の判断に誤りはない、と。
第9類だけ分割して勝負をかけたのだと思いますが、審決は取消されませんでした…。
ということで、本日はこの辺で。
次回は…皆さん、お休みですよね…、だけど見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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