審判部が「果てしない派」なわけでなく。

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 一昨日に「クリキンは4条1項8号も絡む」といったのに、昨日は4条1項8号について何も触れておりませんでした。
 (今回の裁判は侵害訴訟だったので)

 それでは、クリキン商標と4条1項8号の関係は?

 実は、「クリスタルキング」登録商標には、拒絶査定が出ていたのでした。
 そして、その拒絶の理由が、4条1項8号なのでした。
 
 拒絶の理由をかいつまむと、要は、クリスタルキングは著名なバンド名だけど、「大都会」がヒットした当時のメンバー全員の承諾を得られたと認められないので、4条1項8号に該当するんだ、と。
 低音ボーカルさんが代表者の会社が出願人で当会社の承諾はあるのですが、「大都会」がヒットした当時のメンバーだった高音ボーカルさん達の承諾がない、という事情だったんでしょうか。

 そんな拒絶査定に対し、低音ボーカルさんの会社(出願人)は不服審判を請求しました。
 
 バンドだったら、メンバーが変わるのはよくあるハナシですよね。
 
 審決では、
 『複数人から構成されているグループの場合、特定時期の構成メンバー個々人のみが該グループとしての人格権保護の享受を占有するというのは合理的ではなく、途中メンバー変更等があったとしても、該グループ名をもって業を継続的に行い、著名性を獲得した時期のグループと、グループとしての同一性が認められるのであれば、人格権保護の対象となるのは、継続性、同一性が認められた、現在、業を行っている現在のメンバーからなるグループにあると言うべきである。
 そして、本願について請求人(出願人)が提出した各資料によれば、該グループ「クリスタルキング」は、楽曲「大都会」によって著名性を獲得した1979年以降、構成メンバーの変更はあったものの、現在に至るまで「クリスタルキング」として継続して業を行ってきたものと認められ、請求人(出願人)の代表者が一貫してリーダーとしてメンバーに加わっているとともに、請求人(出願人)がその活動を管理していることが認められるものである。
 してみれば、本件請求人がその指定役務に使用することが直ちに該グループ「クリスタルキング」の人格権を毀損することになるものとは認められない

 とされ、4条1項8号の該当性が否定されました。
 
 この審決、承諾を得るべき対象について述べていて、ちょっとおもしろいな、と思いました。

 …ということで「クリスタルキング」の商標は登録され、その後、昨日ご紹介した訴訟に至ったわけです。

 本日はこの辺で。

 次回は年度末に大量にアップされた判決のうち、どれかご紹介する予定です。
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