<平成21年(行ケ)第10351号審決取消請求事件(商標)>(判決文はこちら)
昨夜は東京虎ノ門で飲み会に参加しておりました。
相変わらずフレンドリーな意匠委員会の先生方とお話ができてとても楽しかったです。
「桃はおかずとしての適応性があるか否か」問題について熱い議論を戦わせたり。 …ん?
東京の飲み会はいつも途中で中座しなければならないので、悔しい限りです。
意匠委員会の報告はこのブログでもちょこまかしていきますね~(差し障りのない範囲で、ですが…)。
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さて、本日は、その筋の方ならすぐわかるのかも?な商標に関する事件をご紹介いたします。
その商標(本件商標:登録第5047898号)はこちら。
声優検定(標準文字)
指定役務:第41類「「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」
本件商標は、無効審判の審決で、商標法3条1項3号が規定する「その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する、とされたのでした。
この審決に対して商標権者さんが取消しを求めて提起したのが、今回の事件です。
この本件商標を見た瞬間、なぜかマリンちゃんの声が頭を駆け巡った…
いや、私自身はパチンコやりませんよ、名古屋人ですがね。
(でもあいぎ特許事務所の所員のパチンコ好き率は、名古屋においても突出して高いような気がする。)
さて、原告たる商標権者さんは、どうやらこんな検定を実施されているようです。
「滑舌」を試す問題もあるのか…うー、難しそう…
「声の使い分け」は私も得意だな。所員とアホバナシしているときの声と、お客さんと電話でお話しするときの声は全く違うぞ。
んー「並木優希」って誰だろう…
へぇー、原告(商標権者)さん、「声検」(登録第5097055号)という登録商標も持ってらっしゃるんだー。
…おっと、夢中になって本題からずれた。
えーと、本事件ですが、結論からいうと、原告さんの請求は認められませんでした。
つまり、本件商標が商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断に誤りはない、とされたわけです。
そんな裁判所が示した理由のうち、参考になりそうな箇所だけピックアップします。
〇無効審判の審決では、GEORGIA事件(最高裁昭和60年(行ツ)第68号,昭和61年1月23日第一小法廷判決参照)が引用された上で原告さんの商標登録が無効とされましたが、
これに対し原告さんは、
『本件商標「声優検定」は、上記最高際判決の事案の商標とは異なり、複数の意義を有することを前提として、商標の現実の使用事実が認められなければ、そのような多義的な商標は、「役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」には該当しない』
と主張していました。
この原告さんの主張に対し、裁判所の判断を述べた箇所をピックアップします。
『本件商標の指定役務は,前記のとおり,「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」であって,声優についての一般的な検定ではなく,声優の「適性能力」の検定に関するものであることが明記されている以上,その指定役務に関する需要者又は取引者が,本件商標を「声優に関するクイズ」又はそれに係る役務とまで認識する余地はないものといわなければならない。したがって,原告らの主張を採用することはできない。』(判決文17頁、下線は私が付しました)
商標が有する意義を指定役務との関係で見てますね。
『原告らは,本件商標の登録査定時(平成19年4月10日)において「声優の適性能力の検定」の使用事実が認められない以上,本件商標は,「役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」には該当しないと主張する。しかし,「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,指定
役務に関する需要者又は取引者が当該商標に接した場合,これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから,需要者又は取引者が,役務の質,すなわち,役務の内容を表示したものと一般に認識することをもって足り,それ以上に,現実にその役務が実施されていることまで必要ということはできない。そして,本件商標の指定役務の需要者又は取引者が,その言語的意味からして,本件商標「声優検定」を「声優の適性能力の検定」という役務の内容を表示したものと一般に認識することは,前記のとおりである。したがって,原告らの主張を採用することはできない。』(判決文17頁、下線は私が付しました)
現実の実施より需要者又は取引者の認識・理解が重要だという、GEROGIA事件的判断ですね。
裁判所の示した理由その他詳細に興味がありましたら、判決文でご確認くださいね~
今日は「声優能力検定」があることを知ったことが最大の収穫だったなぁ。(え?)
本日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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この記事をご覧になって、商標などに興味を持たれた方は…
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