大手のお客さんはお盆休みに入り、分散夏休みで事務所に来ていない所員も多く、ちょっぴり閑散感漂うmanic Monday。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先週末はアマゾンに怒られた方の話で結構笑っちゃったのですが(←当事者の方に失礼だろー)、そもそも商標になってるコトバをドメインとしてだけ使うことってNGでしたっけ?というのが本日のお話。
まあこの問題は色んなところで語られているので、今更な感じがしないでもないんですが。
結論からいうと、ドメインをどのような態様で使っているかによってNGとなったりならなかったりするのですが、これではちょと曖昧すぎますね。
○特に問題になりやいのが、まさにAmazonみたいな周知著名商標だと思うのですが、そんな周知著名商標について、まずは不競法上の「商品等表示としての使用」に該当するか否かを考えてみるとします。
青木博通先生が仰るところによると、不競法2条1項1号・2号の「商品等表示としての使用」に関しては以下の二つの考え方があるとのことです(※)。
(1)URLで表示されるサイトにも、ドメイン名の要部と商品販売や役務提供に関する情報の記載表示がなされている場合に、その表示と共に(あいまって)、商品等表示として把握する。
(2)ドメイン名をサイトという媒体の表示として捉える。
(1)は、“「商品等表示としての使用」に該当するためには、サイト内でドメイン名が使用されてることが必要”という考え方で、
JACCS事件(名古屋高裁金沢判H13.9.10)や、J-PHONE事件(東京高判H13.10.25)や、MP3事件(東京地判H14.7.25)がそんな事案だとされとります。
(2)は、“「商品等表示としての使用」に該当するために、サイト内でのドメイン名の使用は不要”という考え方で、
JACCS事件控訴審判決(名古屋高裁金沢判H13.9.10)も、傍論ながらこの考え方をとっているとされとります。
(2)の考え方を採った判決がある以上、ここはやはり周知著名商標をドメイン名として使用するのは注意したいところ。
なお、Amazonさんの場合、アソシエイトであっても規約にはっきり書いてありますので、怒られること必至です(笑)。
○それでは周知著名でなくても、登録されてる商標をドメイン名的に使う場合はどうでしょう?
商標は、商品や役務との具体的な関係において使用される必要がありますので、サイトで商品や役務の広告的に使用されていなければ「商標との使用」といえなくなくない?ということになりますでしょうか。
これに関してはYODEL事件(平成15年(ワ)11661号)が参考になります。
判決では上記(1)に似た考え方が採られているように思います。
すなわち、『URLに用いられた文字列が,そのURLによって表示される画面に表示された商品ないし役務と関連する文字列であると閲覧した者が認識し得る場合には,当該URLの文字列における使用も,商標としての使用に該当すると考える余地はある。』という考え方の下、
当該事案においては、
『被告のURLにおける「yodel」なる文字列の使用態様は,ドメイン名における使用ではなく,被告に与えられたドメイン名(例えば,「esuroku.co.jp」)が割り振られたサーバーにアクセスし,そこで「under」などというディレクトリ内にある「goods」などというディレクトリの中の「yodel_a.html」などというファイルを取得してブラウザに表示するための文字列の表示であり,その画面上の表示もごく小さなものである。』ので、
『本件において問題となっているホームページの画面は,現商標商品の写真や現商標が掲載され,あるいは,新商標商品の写真が掲載され,新商標が表示されているものであるので,被告標章7に格別の周知性があるとは認めることができない本件においては,これらの画面を閲覧した者が,URLの被告標章7(yodel)を見て,画面に掲載されている被告製品の識別標識(標章)であると認識するとは認めることはできない。』とされました(注:「現商標」は「「SunYodel HERB&FIBER/サンヨーデル ハーブ&ファイバー」、「新商標」は「SUNYODEL/サンヨーデル」です)。
この事案では、文字列が下位ディレクトリにおける表示であったことや、画面で表示される商品との関係性が認められなかったことから、「商標としての使用」と認められませんでしたが。。。
でも、周知著名でなくても、登録されている商標を含むドメインを、画面で表示される商品や役務と関連するような使い方をすることは要注意だと思います(もちろん周知著名商標が登録されてても同じです)。
本日はこの辺で。
次回もアマゾンのハナシの続きです。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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※『新商標法の論点』編者 第二東京弁護士会知的財産権法研究会、商事法務発行p.339~p.334
※蛇足ですが、サイバースクワッティング的にドメイン名を先取りしても、ドメイン名紛争処理手続によって、取消しや移転がなされ得ることはご存知の通り。最近の事件はこちらをご参照ください→「ツィッタードメイン裁定事件」(駒沢公園行政書士事務所日記)
※なお、ドメインちっくな体裁をしてるけど、商標として使っていたと認められた事案として「Careerjapan.jp事件」(大阪地判H16.4.20)があります。
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この記事をご覧になって、商標などに興味を持たれた方は…
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