さて、今日は金曜日です。商標の新着審決をご紹介する日です!
■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】
●異議2009-900402
本件商標
指定商品:第12類の自動車等
引用商標1
指定商品:第12類の自動車等
「HUMMER」
引用商標2(構成中に、「HUMMER」の文字を含む。)
指定商品等:第12類の自動車等
引用商標3
指定商品・指定役務:第7類、第9類、第11類及び第37類の商品及び役務
「HUMMER」
引用商標4
指定商品:第12類の自動車等
引用商標5
指定商品:第12類の自動車等
「キューティーハニー」
本件商標(登録第5249917号)は引用商標1(登録第2682898号)、引用商標2(登録第4862872号)、引用商標3(登録第4847540号)、引用商標4(登録第4369078号)及び引用商標5(登録第4135578号)と非類似と判断されました。また、4条1項10号,15号,19号に違反するものでないと判断されました。
*称呼の認定・類否:本件商標と引用商標1~4: 『本件商標は、その文字の態様や色彩及び各文字の描出方法からみて、全体が不可分一体的に構成されているものというべきであって、その結合の度合いは極めて強いものということができる。そして、これより生ずる「キューティハマー」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものであり、たとえ、構成中の「CUTIE」の語が自動車の品質を表す語として用いられている場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質を表すものとして直ちに理解し得るものともいい難いから、むしろ、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、他に、構成中の「HUMMER」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見い出せない。』
本件商標と引用商標5:『本件商標から生ずる「キューティハマー」の称呼と引用商標5から生ずる「キューティーハニー」の称呼とを比較するに、両称呼の差異は、後半部分における「マ」と「ニ」の音の差異のみとはいえ、それぞれの母音である(a)及び(i)の各音は、その発音形態を異にするばかりでなく、(a)の音も(i)の音も共に明瞭に発音され、聴取される母音であるから、この差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。』
*総合判断: 『本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標』
●異議2008-900508
本件商標
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」
「ESTER\エスター」
引用商標
指定商品:第3類「肌回復用化粧品,スキンクリーム,その他の化粧品」
本件商標(登録第5168713号)は引用商標と類似と判断され、指定商品中「化粧品」についての登録が取り消されました。
*称呼の認定・類否: 『引用商標は、その構成に照らし、「Ester」の文字部分と「-C」の部分とが視覚上分離して看取されるばかりでなく、一般に、商品の型式、品番等を表すための記号、符号として、ハイフンを介してローマ字の1字が他の語に付して類型的に使用されていることからすると、引用商標の構成中の「-C」の部分は商品の記号、符号を表したものとして認識し把握される場合があるというべきである。そうすると、引用商標における自他商品の識別標識として要部となる部分は、「Ester」の文字部分にあるというべきであり、引用商標は、これより単に「エスター」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「エスター」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。』
*外観の認定・類否: 『本件商標の欧文字部分についてみれば、引用商標の要部である欧文字部分と同一の綴りからなる同じ文字であり、外観においても相紛らわしいものである』
●無効2009-890114
本件商標
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
引用商標
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
「つくも\九十九」
本件商標(登録第4812302号)は引用商標(登録第4758420号)と非類似と判断されました。また、4条1項15号に違反するものでないと判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標は、…毛筆をもって何らかの文字の如き形象を表したものとはいえるとしても、その態様は極めて特異なものであって、如何なる文字を表したものか明らかではなく、一般的な取引者、需要者が特定の文字として判読することは困難なことといわなければならない。
そうとすれば、本件商標からは、特定の称呼及び観念を生ずることはないものとみるのが自然である。』
『本件商標からは特定の称呼及び観念を生ずることはないものと認められるから、引用商標から「ツクモ」の称呼を生じ、「植物のフトイの異称」あるいは「九十九髪として老女の白髪」の意味合い(観念)を生ずるとしても、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念については比較すべくもないものである。また、両商標の外観についてみても、本件商標は、…その態様は極めて特異なものであり、引用商標とはその外観において全く別異のものであって、この差異から受ける視覚的印象も明らかに異なるものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはないものといわなければならない。』
*総合判断: 『本件商標が取引の場において「ツクモ」の称呼によって取引されている場合があるとしても、上記した外観における顕著な差異を考慮すれば、本件商標と引用商標とは、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。』
●異議2010-900002
本件商標
指定商品:第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。)」
引用商標1
指定商品:第1類「化学品、薬剤、医療補助品」
「アミノトリパ\AMINOTRIPA」
引用商標2
指定商品:第5類「薬剤」
「アミノトリパ」
引用商標3
指定商品:第5類「薬剤」
「AMINOTRIPA」
引用商標4
指定商品:第1類「化学品、薬剤、医療補助品」
「トリパレン\TRIPAREN」
本件商標(第5268010号)は引用商標1(登録2562988号)、引用商標2(登録3051090号)、引用商標3(登録3051091号)及び引用商標4(登録1730999号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 本件商標と引用商標1~3: 『本件商標は、…いずれの文字部分も我が国において意味を有する語として知られていないから、該構成文字に相応し、構成全体として「トリパ」の称呼を生ずるが、観念は生じないものである。』『引用商標1ないし3の構成は、「アミノトリパ」の片仮名文字又は「AMINOTRIPA」の欧文字を同書、同大、同間隔に書してなり、各文字の構成全体から生ずる「アミノトリパ」の称呼は、一気一連に容易に称呼し得るものであり、語頭の「アミノ」「AMINO」の文字部分が間接的に「アミノ酸」を暗示するところがあるとしても、商品の出所識別力を有しないために称呼されないと認定すべき証左も存在しないから、一体不可分のものとして認識されるというのが相当であり、…』
本件商標と引用商標4: 『引用商標4の構成は、「トリパレン」の片仮名文字及び「TRIPAREN」の欧文字を同書、同大、同間隔に書してなり、各文字の構成全体から生ずる「トリパレン」の称呼は一気一連に容易に称呼し得るものであり、語尾の「レン」「REN」の各文字部分が「腎臓」を意味するラテン語及びその発音表記であるとしても、指定商品である「薬剤」を取り扱う業界において「レン」「REN」が「腎臓」を意味する語として広く知られていること及び「腎臓用の薬剤」を意味する用途表示として一般的に使用されていることの事実は認められず、引用商標4の指定商品は「薬剤」であって「腎臓用の薬剤」に限定されていないところからも商品の用途を認識させるものとして扱われておらず、商品の出所識別力を有しないと認定すべき証左は存在しないから、一体不可分のものとして認識されるというのが相当であり、…』
『申立人は、「薬剤」等人体に関わる商品については、通常の類否判断よりも慎重な判断がなされるべきである旨主張するが、「薬剤」等人体に関わる商品について通常の類否判断とは異なる基準に基づき判断しなければならない合理的根拠はなく、この主張も採用できない(東京高裁平成2年(行ケ)第72号 同年9月10日判決、知財高裁平成19年(行ケ)第10090号 同年8月30日判決参照)。』『両者は、語尾音「レン」の有無において相違するので、互いに相紛れるおそれのない称呼上非類似の商標である。』
*総合判断: 本件商標と引用商標1~3: 『本件商標は、引用商標1ないし3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からしても、相紛れるおそれのない非類似のものである…』
本件商標と引用商標4: 『本件商標は、引用商標4とは外観、称呼及び観念のいずれの点からしても、相紛れるおそれのない非類似のものである』
●不服2008-26369
本願商標
指定商品・役務:第6類、第7類、第20類、第36類、第37類、第42類の石油・ガスに関連する商品・役務
引用商標2
指定商品:第22類「原料繊維,編みひも,真田ひも,のり付けひも,よりひも,綱類,網類(金属製又は石綿製のものを除く。),布製包装用容器,わら製包装用容器,ターポリン,帆,雨覆い,天幕,日覆い,日よけ,よしず,靴用ろう引き縫糸」
「MODEX」
本願商標(商願2007-54047)は引用商標2(登録第4017596号)と非類似と判断されました。
*称呼・観念の認定・類否、取引の実情: 『本願商標は、…、該図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特段の事情も見いだせないから、それぞれ独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を有し、簡易迅速を旨とする商取引においては、「MODEC」の文字部分を捉えて取引に資する場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。そうすると、本願商標の該文字部分より、その構成文字に相応して「モデック」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を有しない造語よりなるものというのが相当である。』
『本願商標から生ずる「モデック」の称呼と、引用商標2から生ずる「モデックス」の称呼とを比較すると、両称呼は、促音を含め4音と5音という比較的短い称呼において、語尾における「ス」の音の有無に差異があるものである。
本願商標の指定商品中の「海底の石油又はガス用さく井機・海底の石油の採油機・海底のガスの採ガス機・石油又はガスの海上貯蔵用金属製又はプラスチック製貯蔵槽及び石油又はガスの海上輸送用金属製又はプラスチック製パイプを搭載し、生産設備を備えてなる石油又はガス採掘専用船」が引用商標2の指定商品中の「ターポリン,帆」と抵触するものであるところ、請求人の提出に係る資料によれば、本願商標にかかる当該商品は、顧客の求める仕様により一基当たり500億?1000億円の高価な商品であり、かつ、日常使用される商品とは異なり、特殊な用途に使用されるものであることから、その取引者、需要者は、商標の異同について相当の注意を払うものと認められる。
そうとすれば、本願商標と引用商標の称呼における「ス」の音の有無が、比較的短い両称呼に及ぼす影響は大きいものといえ、それぞれを一連に称呼しても、十分に聴別し得るものといわなければならない。』
*総合判断: 『本願商標と引用商標2とは、観念上は比較できないものであり、外観及び称呼において類似するものではないから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標』
●異議2009-900427
本件商標
指定商品:第25類の商品
「ムジガスキ」
引用商標
衣類、雑貨、生活雑貨、食品など各種商品や店舗名
「無印良品」「MUJI」
本件商標(登録第5255519号)は引用商標と出所混同を生じるおそれがない(4条1項15号に違反しない)と判断され、登録が維持されました。
*引用商標の周知著名性: 『商標「無印良品」は、「無印良品」ブランドを中心に専門店事業の運営や商品企画から小売りまでを主な事業内容とする申立人が、衣類、雑貨、生活雑貨、食品など各種商品や店舗名に「無印良品」の表示を使用した結果、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものであり、また、商標「MUJI」も店舗名などに使用された結果、申立人の業務に係る商品を表示するものとして相当程度に需要者の間に認識されているものと判断するのが相当である。
しかしながら、申立人提出の証拠からは、特定の限られた者の間で「無印良品」を「ムジ」と呼ぶことがあることは確認できる(甲第45号証及び甲第46号証)としても、「ムジ」の文字自体が商標や店舗名として使用された事実は見いだせないから、「ムジ」の文字が我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは到底認めることはできない。』
*称呼・外観・観念の認定・混同: 『本件商標は、上記1のとおり、「ムジガスキ」の片仮名を標準文字で表してなり、その構成は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表され、これより生じる「ムジガスキ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
また、観念においては、その構成文字から「無地が好き」の如き意味合いを暗示させるといえないこともないが、むしろ全体として、任意に片仮名5字が羅列された特定の意味を有しない造語と認識されるとみるのが相当である。』
『申立人が引用する商標「無印良品」及び「MUJI」と本件商標「ムジガスキ」とは、その外観、称呼において非類似のものであることは明らかであり、観念においては比較できないから、両者は別異の商標というべきである。
そして、本件商標が商標「無印良品」又は商標「MUJI」を連想、想起させると言うべき事情は見いだすことができない。』
以上、独断と偏見でチョイスした新着審決でした!
次回も見ていただける方、ぷちっと押してね!でないと来週ブログアップできない…
↓↓↓
**************************
名古屋開府400年祭開催中!→公式サイトはこちら
※名古屋市さんのご好意により「はち丸とかなえっち」の画像データを提供していただきました。
コメント
いつも勉強になります
MODECの審決は、しょうざん事件そのものですね。商品の特性・取引実情の話を商標の類否判断にすりかえる、松田先生が怒っておられます。
Unknown
シェンムーさん、こんにちは!
コメントありがとうございました。
はい、松田先生にお叱りを受けそうですが(笑)、
裁判所が取引実情を重視する姿勢を打ち出しているので、JPO的にもなかなか難しいかもしれませんね…
Unknown
シェンムーさん、こんにちは!
コメントありがとうございました。
はい、松田先生にお叱りを受けそうですが(笑)、
裁判所が取引実情を重視する姿勢を打ち出しているので、JPO的にもなかなか難しいかもしれませんね…
ところで、ナビでお名前を検索したのですが、出てきませんでした。なんでかな??
その名前は。。
繋げて読んでください。。。スミマセン
Unknown
ん?
うーむ、
「ipippiでは必ず本名を正確に登録してください。」
をマに受けてた…
本名でなくていいならそうしたかったけど、今更遅いですね…
本当は
16707です
よろしくお願いします