復活だ!商標新着審決【2012年1月】No.1

 *2月17日(金)に、今年第1回目の「だが屋」が名古屋駅前で開催されます!詳しくはこちら

 昨年10月依頼停止していた「商標新着審決」コーナーを再開します。お待たせしました!(誰も待ってないか(汗))
 このコーナーでは、新着商標審決のうち、ひろたの独断と偏見に基づくセレクションをご紹介いたします。毎週このコーナーをやるのはちょい無理になってきていたので、1月分まとめてご紹介することにいたします。もう「新着とは言えない」とか言わせないぞ!
 今日は、3条1項各号(&4条1項16号)・2項系と、4条1項11号・10号・15号・8条系の審決だ!懐かしの80年代ロックバンドも登場!張り切っていってみよー!

■■■【3条1項各号(&4条1項16号)・2項系】

●不服2010-4065
本願商標(商願2008-94343)
指定商品:第3類、第29類及び第30類に属する商品
玄米核酸

本願商標は登録すべきでないと判断されました。
*商標の構成: 『…「核酸」とは、「生物の細胞核中に多く含まれる、塩基・糖・燐酸からなる高分子物質。」であるところ、せっけん類や化粧品を取り扱う業界においては、該「核酸」がそれらの原材料として一般に広く用いられているというのが実情である。
 また、「核酸」を原材料とする商品について、例えば「玄米核酸」、「サケの白子核酸」又は「乳核酸」のように、その由来を表す語を結合してなる表記を用いることがしばしば見受けられるところである(別掲1ないし3参照)。
 してみれば、「玄米」の文字と「核酸」の文字とを結合してなる本願商標をその指定商品中、例えば「せっけん類、洗顔料、化粧品」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から容易に「玄米から抽出した核酸」程の意味合いを想起し、これが商品の品質、原材料を表示したものとして認識することも少なくないというのが相当である。
*一般使用の事実: 『…「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年9月4日判決(平成12年(行ケ)第76号)参照)から、たとえ、「玄米酢酸」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして一般に使用されている事実が存在しなくても、本願商標が商品の品質を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。

●異議2011-900162
本件商標(登録第5388674号)         
指定商品:第3類に属する商品
女子力

本件商標の登録は維持すべきと判断されました。
*一般使用の事実: 『…「女子力」の文字(語)が、「女性のメイク、ファッション、センスに対するモチベーション、レベル等をさす言葉」の意味合いを有する語であること、及び「女子力アップ」「女子力UP」「女子力あがる」「女子力向上委員会」「女子力、満ちる。」「女子力応援」などのように、化粧品等について用いられていることは確認できる。
 しかしながら、該甲各号証の内、本件商標の登録査定日前のものと認め得るのは、甲第9号証及び甲第10号証のみであるから、これらをもって、本件商標が、その登録査定時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということは困難である。
 また、職権をもって調査するも、本件商標の登録査定時において、「女子力」の文字(語)が「女性のメイクに対するモチベーション、レベル等を上げるための商品」を意味する語として広く使用され、又は認識されているというべき事情、及び「女子力」の文字からなる本件商標が、これをその指定商品について使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべき事情は発見できなかった。

■■■【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2010-22905
本願商標(商願2009-65587)
指定商品:第3類「化粧品」等及び第6類に属する商品

引用商標1(登録第4801088号)
指定商品:第24類に属する商品
からだ研究所

引用商標2(登録第5284871号)
指定役務:第35類「化粧品の小売等役務」等
BODY LABO

本願商標は引用商標1,2と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…本願商標の構成中、上段部分において、「every」の文字部分は「BODY LABO」の文字部分に比べて小さく、かつ、縦書きに表されているとしても、該構成文字中の「BODY LABO」の語頭の「B」の左横に、下から垂直方向に当該「B」の縦幅と合わせるように配されていることから、かかる構成においては、殊更、「every」を省略して、「BODY LABO」の文字部分のみに着目し、当該文字部分より生ずる称呼をもって取引に当たるというよりも、むしろ、その構成全体をもって不可分一体のものとしてみるのが自然であり、また、該構成文字中の上段部分の構成文字より生ずる「エブリボディーラボ」の称呼も、格別冗長というほどのものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

●異議2011-900196
本件商標(登録第5393958号)
指定商品:第30類「菓子及びパン」
MILKYGOLD

引用商標1~3(登録第537642号等)
指定商品:第30類「飴菓子」
Milky」「ミルキー

本件商標は引用商標1~3と非類似と判断されました。
*本件商標の称呼・外観・観念の認定: 『…ところで、「Milky」の文字及びこれから生ずる読みを片仮名で表した「ミルキー」の文字についてした当審における職権調査によれば、別掲4のとおり、「Milky」及び「ミルキー」の各文字は、少なくとも本件商標の審決時に商品「菓子及びパン」を取り扱う業界において、他の語と組み合わせて使用されているほか、「牛乳をたくさん入れた」の意味をもって、取引上普通に使用されているものと認められる。
 そうすると、「Milky」及び「ミルキー」の各文字は、本件商標の指定商品「菓子及びパン」を取り扱う業界において、自他商品の識別標識としての機能が弱いか又は無いといわなければならない。
 以上によれば、たとえ、本件商標の構成中の「GOLD」の欧文字部分が商品の品質を誇称表示するものであり、また、「Milky」又は「ミルキー」の各文字は、後述のとおり、申立人が商品「飴菓子」などに使用する周知・著名な商標であるとしても、上記した構成からなる本件商標においては、その構成中の「MILKY」の欧文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできない。
 してみると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「MILKY」の文字部分に着目して取引に資するとはいえず、むしろ、構成文字全体をもって、親しまれた観念を生じない一連一体の造語として認識し、把握するというのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ミルキーゴールド」の称呼のみを生じ、観念は生じないというべきである。
なお、本件商標は4条1項15号にも該当しないと判断されました。

●異議2010-900333
本件商標(登録第5340683号)
指定商品:第9類に属する商品
ほんじょび\ホンジョビ\honjovi

引用商標(登録第2369938号)
指定商品:第9類、第15類及び第28類に属する商品
BON JOVI

本件商標は引用商標と類似と判断されました。
*本件商標と引用商標の類否: 『本件商標より生ずる「ホンジョビ」の称呼と引用商標より生ずる「ボンジョビ」の称呼を比較すると、両称呼は、いずれも4音よりなり、語頭に位置する「ホ」の音と「ボ」の音の差異を有するのみであって、語頭音に続く「ンジョビ」の音を同じくするものである。そして、差異音「ホ」と「ボ」は、清音と濁音の微差にすぎないものであって、かつ、後半部の「ジョビ」の音が比較的強く発音され、印象に残る濁音より構成される音であることを勘案すると、上記差異音が両称呼全体に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえず、それぞれの称呼を全体として称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤られるおそれがあるものといわなければならない。
 また、上記のとおり、引用商標が米国のロックグループの名称ないしそのボーカリストの氏を表すものとして、我が国のロックミュージック関連分野の取引者・需要者の間に広く認識されているところからすると、本件商標は、その構成中の「ほんじょび」の文字部分及び「ホンジョビ」の文字部分が、引用商標を構成する「BON JOVI」の平仮名表記あるいは片仮名表記を表したと誤認、混同されるおそれがあるのみならず、「honjovi」の文字部分についても、引用商標を小文字で表記したものと誤認、混同されるおそれがあるとみるのが相当である。したがって、本件商標は、引用商標と外観において類似するものというべきである。

●不服2010-650069
本願商標(国際登録第991567号に係る国際商標登録出願)
指定商品:第17類「Preformed extruded polyoxymethylene parts for industrial purposes in the form of bars,sheets and tubes.」
ACETRON

引用商標(登録第822300号)
指定商品:第17類に属する商品
エーストロン

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は,…,「マグロ-ヒル 科学技術用語大辞典 改訂第3版(株式会社日刊工業新聞社)」によれば,「acetal(アセタール)」,「acetanilide(アセトアニリド)」,「acetamide(アセトアミド)」,「acetaldehyde(アセトアルデヒド)」,「acetoxime(アセトキシム)」,「acetostearin(アセトステアリン)」,「acetonitrile(アセトニトリル)」,「acetol(アセトール)」及び「acetone(アセトン)」などのように,「ace?」から綴りが始まる物質を指称する単語は,「アセ?」と称されていることが認められる。
 そうすると,本願商標の指定商品との関係を踏まえれば,本願商標からは,その構成文字に応じて,「アセトロン」の称呼が生ずるというのが自然であって,「エーストロン」の称呼は生じないというべきである。

●不服2010-28524
本願商標(商願2010-21917)
指定役務:第35類、第37類及び第41類に属する役務
ONE to ONE ダイレクトメッセージ

引用商標3(登録第5293621号)
指定商品:第17類に属する商品
ONETOONE

本願商標は引用商標3と非類似と判断されました。
*引用商標3の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標3は、「ONETOONE」の文字を標準文字により同書、同体、等間隔に一体不可分で表されているところ、該欧文字は、わが国において特定の読みをもって親しまれた語ではなく、造語と認識させるものであるから、これを称呼するときは、わが国で親しまれた英語読みに従って、「ワンツーン」の称呼のみを生ずるというのが自然であって、「ワントゥーワン」の称呼は生じないというべきである。

●不服2011-650026 
本願商標(国際登録第988420号に係る国際商標登録出願)
指定商品:第10類及び第40類に属する商品及び役務
DOT

引用商標1(国際登録第959974号)
指定商品:第10類「Hearing aids.」

引用商標2(国際登録第976790号)
指定商品:第10類「Hearing aids.」
DOT BY RESOUND

本願商標は引用商標1,2と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は,…「DOT」のアルファベット3文字を大文字で書してなるから,それぞれの文字に応じて「ディオオティ」の称呼が生ずるというのが自然である。
*引用商標1の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標1は,r…構成文字全体に応じて「ドットバイリサウンド」の称呼が生ずるほか,赤い丸の部分は,顕著に大きく表されていることも相まって,印象的で記憶に残りやすいものであるから,当該部分のみが注目され,内部に中抜きで表された「dot」の文字より生ずる「ドット」の称呼をもって取引に資される場合もあるものといえる。
**引用商標2の称呼・外観・観念の認定: 『引用商標2は,…「DOT BY RESOUND」の文字を同書,同大でまとまりよく表してなるものであり,「BY」の部分が「?による」程の意味合いを理解させることより,引用商標2からは,特定の親しまれた観念は生じないものの,構成文字全体より「RESOUNDによるDOT」というようなイメージが想起されるから,「RESOUND」と「DOT」が,「BY」によって結びついているとの印象を抱かせるものである。そうすると,引用商標2は,殊更,「DOT」のみが分離抽出されて認識されるというよりは,構成文字全体が一体となって認識されるというのが相当である。

●不服2011-650024 
本願商標(国際登録第999023号に係る国際商標登録出願)
指定商品:第3類に属する商品

引用商標(登録第4328722号)
指定商品:、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
PRODIGE A

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標と引用商標の類否:  『…称呼においては、両者からそれぞれ生じる「プロディジー」と「プロディージュ」の称呼は、前半部分の「プロディ」の音を共通にし、後半部分に「ジ」の濁音及び長音「ー」と長音「ー」及び「ジュ」の濁拗音の差異を有するものである。
 そして、該差異音は、本願商標において長音を伴って「ジー」と明瞭に発音されるのに対し、引用商標においては、長音の後に発せられる語尾音「ジュ」が、有声摩擦音であり、語尾が途切れるように発音されるものであるから、両者は明確に聴別され、それぞれ一連に称呼しても全体の語調、語感が異なり互いに相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。

●異議2011-900109
本件商標(登録第5379227号)
指定商品:第3類、第16類、第18類、第25類及び第35類に属する商品及び役務

引用商標1~4(登録第1569642号等)
引用商標1~4の指定商品:第3類、第16類、第14類、第18類、第24類、第25類及び第26類に属する商品

本件商標は引用商標1~4と非類似と判断されました。

*本件商標と引用商標の類否: 『いずれも、構成要素となっている4つのアルファベット文字の上下左右を反転・対称させるという構図において共通にするところがあるとしても、上記したとおり、本件商標は、筆記体の大文字の「D」を構成要素としているのに対して、引用商標Aは、筆記体の大文字の「L」を構成要素としている点において顕著な差異があるばかりでなく、その描出方法においても、本件商標にあっては、各文字の曲線部分が丸く大きく表されていることから、全体としてふっくらとした印象を与えるのに対して、引用商標Aにあっては、各文字の曲線部分はさほど大きくはなく、むしろ、斜めに伸びる線状部分が太く強く表されていることから、全体としてシャープな印象を与えるものであり、加えて、各図形の中央部分に表されている菱形図形の表し方においても明らかな差異を有するものである。
なお、本件商標は4条1項15号にも該当しないと判断されました。

日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【紹介記事】
  知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
  2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座

【執筆記事】
  「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  「パテント」誌  2011.2 Vol.64
   (部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 2008/07/23 商標の話題で出演

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい
  また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます

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