昨日のエントリでなぜパブリシティ権を唐突に取り上げたかというと、最近、その手のご相談が多かったからでございます。
そんなご相談を受けながら、芸能界に疎くてはいかんなとしきりに反省しておったのでございます。
でも今日はさらにハードル高いです。
「黒夢」ってご存知ですか?
ふっ。
わたくしの予想では「知らない…」と呟かれた方が7割はいるんじゃないかと。知財業界に生息されている方が対象ですからね。
…え!ご存知なんですか!
………ガーン、知らなかったのは自分だけ…orz
Wikipedia先生が仰るには、名古屋出身のロックバンドとのこと。
ええ、そうです、そうですよ、知らなかったなんて、名古屋人失格です、誠に申し訳ございませんでした。
で、何か言いたいかというと、このバンドもパブリシティ権繋がりなので、その事件をちらっと取り上げたいと。
黒夢事件(東京高裁H14.7.17)
■お題はこちら。パブリシティ権の性質について。
『パブリシティ権とは財産権的なものなのか、人格権的なものなのか。』
○どっちを取るかは、こんなところで変わってきますよねー。
財産的なものと捉えるなら、法律で規定されとらんよーわからん権利なのに、差止請求していいのん?相続はOKだよね?とか。
人格権的なものと捉えるなら、本人主体を離れて使用権を第三者に移転できるのん?相続は著作権法的に考えたらええのん?とか。
○判決の中で、直接的に財産権的なものと認めた事件としては、昨日ご紹介した「おニャン子クラブ事件(東京高裁H3.9.26)」「ブブカスペシャル7一審(東京地裁H16.7.14))の他に、「キング・クリムゾン一審(東京地裁H12.2.29)」や「中田英寿事件(東京高裁H12.12.25)」がございました。
○これらに対し、「黒夢事件」は、パブ権の譲渡性を認めることで、間接的に財産権的なものと認めた事件なのでございました。
事件の概要はこうだったでございます。
黒夢を結成した原告Xさんは、当初A社とマネージメント契約をし肖像パブ権・氏名パブ権などを譲渡していました。その後A社の地位は他企業C社に譲渡され、そのC社はYさんと、原告Xさんには無断で黒夢の写真集を出版しました。よって、原告XさんがC社らに対して損害賠償を請求した…ということでした。
で、パブ権の譲渡性を認めた判示箇所はこちら。
『控訴人は、肖像は経済的利益を生むのみならず個人の人格的価値に直結するもので、このような肖像の重要性に鑑みると、肖像の使用は何人に対しても承諾されるものではなく一定の信頼関係が構築されている者に対してのみ承諾されるのが通常であり、とりわけ芸能人の場合はこの要請が高いから本人の承諾が必要である旨主張する。
しかし、肖像の重要性に鑑みても控訴人の主張のように一個の債権である肖像使用権の譲渡に際し,本人の承諾が必要であるとまではいえず,更に本件では専属契約書……6条2項には控訴人のイメージの保持等正当な理由があるときは肖像を使用するいわゆるキャラクター商品の製造・販売を拒否することができる旨定められているなど本人の保護が図られており,控訴人の主張は理由がない。』
○ちなみに、最近は、パブ権を人格権的なものと捉える判決が多いようで。例えば「矢沢永吉パチンコ事件(東京地裁H17.8.31)」とか、昨日ご紹介した「ブブカスペシャル7事件(東京高裁H18.4.26、最決H20.10.5)」「ピンクレディ事件(知財高裁H21.8.27)」とか。
…で?
オチは何もないです。
取りとめのないハナシになってしまいました…。
本日はこの辺でさよなら…。
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
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sp; 内容
はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→2008/07/23のところ…
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
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