昨日は意匠の新着審決をご紹介できませんでしたので、今週分を来週分と一緒に次回ご紹介いたします。
で、今日は金曜日なので商標の新着審決をご紹介いたします。えー、いつものように、張り切っていってみます(今日は自分を鼓舞w)。
■■■商標新着審決【3条1項各号(&4条1項16号)・2項系】
●異議2009-900246
本件商標
指定役務:第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」等
「Scan to Desktop」(標準文字)
本件商標(登録第5216548号)の指定商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『構成中の「Desktop」の文字は、例えば、「標準パソコン用語辞典最新2009~2010年版」(株式会社秀和システム、2009年1月15日発行)において、「デスクトップ desktop」の項に「『机上』といった意味だが、WindowsやMacintoshでは、基本となる操作画面を机上になぞらえてこのようにいう。また、机の上に置くコンピュータ(デスクトップ型パソコン、デスクトップコンピュータ)の略称としても使われる。」とあるように、「机上」という本来の意味から、コンピュータそのものやその操作画面を指す言葉として使用されていることがうかがえる。』
*一般使用の事実: (証拠に基づき)『してみると、「Scan to」、「スキャン to」又は「スキャン トゥ」などの語に、当該複合機本体で紙文書などをスキャン(電子化)したデータを保存するための方式若しくは装置、ネットワーク上での通信手段若しくは通信プロトコル、又は送信される周辺機器(ファイル)などを表す語である「E-mail」、「HDD」、「FTP」、「PC」又は「USB」などを連接させた類型的な表示は、少なくとも本件商標の登録査定時には、各メーカーがデジタル複合機について、そのスキャンしたデータの処理を表す機能の一つを表すものとして、普通に使用されていたということができる。』
その他関連の異議申立て事件として、異議2009-900247~2009-900250(商標:「Scan to E-mail」、「Scan to USBメモリー」、「Scan to FTP」、「Scan to 共有フォルダ」)も、同じ証拠に基づき、指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すべきものと判断されています。
●不服2009-19519
本願商標
指定役務:第9類及び第42類に属する商品及び役務
本願商標(商願2006-3224)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『「CYBERNET」の語は、英和辞典や、コンピュータ辞典等の辞書には掲載されておらず、その構成中の「CYBER」の文字が「コンピュータやコンピュータネットワークに関すること」を意味し、「NET」の文字が「コンピューターネットワーク」(広辞苑第6版 岩波書店発行)を意味するものであるとしても、これを一体とした「CYBERNET」の文字から直ちに特定の意味合いが生ずるということもできない。
そして、請求人提出の証拠によれば、「CYBERNET」の語は、請求人関連の米国会社が、1970年に創作した造語であり、1970年から1990年かけて、世界的規模のコンピュータ遠隔利用サービスに使用した語であることが認められる。』
*一般使用の事実: 『当審において、職権を持って調査したところ、新聞記事等において、1990年代頃までにおいて、「CYBERNET」及び「サイバーネット」の文字が「コンピューターネットワーク」を意味する語として使用されたことが散見されるものの、それ以後は、請求人若しくはその関連会社の社名や商標として使用されていることは認められるが、商品の品質や役務の質等を具体的に表すものとして、取引上一般に使用されている事実は発見することができなかった。』
●不服2009-20984
本願商標
指定役務:第9類、第16類、第28類及び第41類に属する商品及び役務
「生活リズム計」(標準文字)
本願商標(商願2008-79774)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『該文字は、原審説示の如き意味合いを暗示させることがあるとしても、これが直ちに特定の意味合いをもって親しまれ、あるいは、特定の商品の品質及び役務の質などを具体的に表示するものとして、一般に理解されているとは認め難いところである。』
(なお原審説示の意味合いはこちら『その構成中「リズム」の語は『周期的な動き』の意を有し、「計」の語は『数量・程度を知るための器械』の意を有するものであるから、本願商標は全体として『生活の周期的な動きを知るための器械』の意を容易に認識させるものである。』)
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査するも、「生活リズム計」の文字が、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、商品の品質及び役務の質等を表示するものとして、普通に使用されている事実を見いだすことはできなかった。』
●不服2008-32910
本願商標
指定役務:第9類「ガス消火装置,ガス消火器,ガス消火用ホースノズル,およびそれらの部品並びに付属品」
本願商標(商願2007-127556)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『該図形が直ちに「上辺から下に向かってノズルから噴出されているガス」を理解、認識させるものとは認めがたいばかりでなく、これがその指定商品の品質を直接的かつ具体的に表すものとして取引者、需要者に認識し把握されるとも認められない。』
*一般使用の事実: 『職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、本願商標が商品の品質等を表示するものとして普通に採択、使用されている事実も見いだせなかった。』
●不服2009-15375
本願商標
指定役務:第31類「飼料」
「贅沢ブレンド」(標準文字)
本願商標(商願2008-80920)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『その構成中「贅沢」の語は「必要以上に金をかけること。ものごとが必要な限度を越えていること。」等(広辞苑第6版 株式会社岩波書店発行)の意味を、「ブレンド」の語は「ウイスキー・コーヒー・タバコなどで、品種の異なるものを適当に配合すること。また、配合したもの。」等(広辞苑第6版 株式会社岩波書店発行)の意味を有する語であるが、指定商品との関係において、本願商標の構成文字全体から、原審説示の如き、顧客の吸引、販売促進等のための宣伝語句を理解、認識されるものとはいい難いものである。』
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査したが、「贅沢ブレンド」の文字が、本願指定商品「飼料」を取り扱う業界において、顧客の吸引、販売促進等のための宣伝文句を表示するものとして、取引上一般に使用されているという事実も発見することができなかった。』
指定商品が「飼料」ってところがミソだったw
●不服2009-15896
本願商標
指定役務:第3類及び第5類に属する商品
「シトラスシャワーの香り」(標準文字)
本願商標(商願2008- 30217)は登録すべきものと判断されました。
*商標の構成: 『構成中の「シトラス」の文字は、「柑橘類」を意味し、「シャワー」の文字は、「灌水浴装置,湯や水をじょうろのような噴水口から雨のように注ぐ装置,また、その湯や水」を、そして「香り」の文字は、「よいにおい」を意味するものであるが、当審における補正後の指定商品との関係において、これらを一連に結合してなる本願商標の構成文字全体より、原審説示の如き「柑橘類の香りを発する商品」の意味合いを直ちに理解させるとはいい難いものである。』
*一般使用の事実: 『当審において職権をもって調査するも、本願指定商品を取り扱う業界において、「シトラスシャワーの香り」の文字が、その指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されているという事実も見いだすこともできない。』
●不服2008-19727
本願商標
指定役務:第20類「寝台,クッション,座布団,まくら,マットレス」及び第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」
「西川品質」
本願商標(商願2007-102879)は登録すべきもの(3条1項6号非該当)と判断されました。
*使用の事実など: 『構成中の「西川」の文字は、補正後の指定商品との関係においては、請求人(出願人)及びその関連企業が、1566年の創業以来永年にわたりふとん・寝具類を製造・販売しそれらの商品に使用し続けてきた結果、現在においては、我が国の老舗寝具メーカーを表示するものとして、取引者・需要者の間に広く知られているものと認められる。
そうすると、「西川」と「品物の性質」等を表す「品質」の文字とを結合させた本願商標全体よりは、これに接する取引者・需要者をして、「ふとん・寝具類の製造・販売業者として知られた西川の品質」程の意味合いを想起し、認識するというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても十分に自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。』
本日は以上です!
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
内容はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→2008/07/23のところ…
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
コメント
西川品質
使用の結果知名度が上がって識別性が薄れる?ちょっと腑に落ちないですね。
Unknown
シェンムーさん、おはようございます!
年末、余裕がなくて、お返事が遅れました。すみません。
ん?識別性を得たと言っているような…
来年も宜しくお願いいたします。
よいお年を~